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2 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:28:08.54 ID:ZtdgdFmJ0
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辺り一面が赤色に染まった。
血は――ショボンではなくジョルジュの――右足から流れ出している。
男たちの1人が、彼の足を打ち抜いたのだ。

「おとなしくしろ。ジョルジュ」

屈強そうな男が、ジョルジュのこめかみに銃を突きつける。
ジョルジュは観念したのか、手に持っていた銃を手放した。

( ゚∀゚)「いてえ……いてえぇよおぉ」

ジョルジュの悲痛な叫びがぼくの耳に届く。
彼の恨めしそうな視線が嫌で、ぼくは彼と目を合わせないよう努めた。

だが、目をそらそうと思っても、彼の撃たれた右足を無視することはできなかった。
見ただけで、ジョルジュの出血はとまりそうに無いのがわかる。

このまま放って置けば助からないことくらい、医学の心得が無くてもよく理解出来た。

7 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:32:12.30 ID:ZtdgdFmJ0
吐き気がした。
ぼくはここにきて大量の血というものを始めてみたのだと、気付く。
部屋に充満する血の匂いで、ぼくの気は狂いそうだった。

同時に気づいたことがあった。

殺す、ということは、非常におぞましいものである、ということだ。
恐らく本能的に同種の生物を殺すことに対して、タブーを感じさせる何かがあるのだろう。
殺人を冷静に実行できるなど、正気の沙汰じゃない。

そして、ぼくの傍には3人の人間がいる。
当然、彼らは、殺し、をしてきた。
何人も、立て続けに、もしくは、いっぺんに。

こんな、おぞましいものを。


ジョルジュはいまだに叫び続けている。
だが、誰も助ける気はないようだった。
男たちは何やら相談をし、クーは倒れ、ショボンは不気味に笑い、ドクオは黙りこくっている。

その中にぼくはいるのだ。
地獄絵図さながらの光景であった。

10 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:36:23.36 ID:ZtdgdFmJ0
こんな地獄の中で、ぼくは復讐をなしとげねばならないというのか。
ぼくが、これからも、残りの3人を死に追いやらねばならないのか。

自ら手を下さないにしろ、死ぬ状況に追い詰める。
そんなぼくの復讐が、ようやくひとつの現実になろうとしている。

現実、は正気では耐え難い代物であった。

自分のやろうとしていることの大きさに、目がくらむ思いだった。


(´・ω・`)「ブーンさぁ……ジョルジュに聞いておかなくていいのかい?
       もうすぐ死ぬよ、彼」

突然、隣にいたショボンがぼくに話しかけた。
銃を突きつけられているのに、肝がすわっているとしかいいようがない。

ぼくは彼の返答がわりに頷いた。

そう、確かにぼくはジョルジュに尋ねる必要がある。


ぼくの復讐が終わったのか、終わってないか、を――つまり、

ぼくの彼女ツンを――津出麗子を――殺したか、否か、をだ。

11 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:37:24.52 ID:ZtdgdFmJ0
( ^ω^)「おい、ジョルジュ! お前に聞きたいことがある!」

ぼくは、立ち上がった。
銃を持った男なんか、もう知るものか。
ショボンがそうであったように、ゲームに負けない限り撃たれることはないはずだ。

( ^ω^)「お前は……津出麗子という名前に聞き覚えはないか……!!」

( ゚∀゚)「…………何だぁ?」

ジョルジュは消えうせそうな声で返答した。

川゚ -;;゚メ)「津出…………」

('A`)「…………」

ぼくは続けた。

( ^ω^)「お前は僕の彼女を、殺したんじゃないのか……?」

( ゚∀゚)「……俺は殺した……人間の名前……なんて覚えちゃいないんで……ね。
    俺がヤッた……中にいるかも……な……もしかしたら。
    だがな……俺は……一家惨殺なんて…………悪趣味なことはし……」


ジョルジュの言葉はそこで途切れた。
ジョルジュの頭に、ひとつの穴ができたせいだった。


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