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121 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:30:16.88 ID:zHcHmu6q0
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『3ターン目終了だ。ジョルジュ長岡、ゲームオーバー』


( ゚∀゚)「くそっ!! 負けたじゃねぇか! クー!!」

ジョルジュは、自分の敗北を聞いたとたん、大声で叫んだ。

川 ゚ -゚)「……運がなかったんだろ。私には関係ないな」

クーはいたって冷静に返答していた。

( ゚∀゚)「なんだとっ!! お前の言うとおりにすれば、負けることはねぇって言っただろうが!」

川 ゚ -゚)「確実ではないと、言ったはずだが?」

( ゚∀゚)「ふざけんな! 俺を嵌めたんだ、そうだろ!」

川 ゚ -゚)「そうかもしれないな。好きに思うといいさ」

( ゚∀゚)「……あぁ? てめぇ、生意気なんだよコラ」

次の瞬間、想像していなかった出来事がぼくの目の前で起こった。
いや、想像はできたはずだ。ただ、したくなかっただけなのかもしれない。

ジョルジュはクーに飛び掛り、拳を浴びせかけたのだった。

124 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:34:27.58 ID:zHcHmu6q0
川メ゚ -゚)「うっ……」

( ゚∀゚)「ハハハ、痛ぇか、このアマ。その苦しむ顔ゾクゾクするぜぇ」

さらにジョルジュはクーを殴り続ける。

( ゚∀゚)「ハハハハハ、ヒャハハハハ!! 楽しいなぁ!! 
     今からよぉ、お前のさぁ、体中の穴という穴を犯しつくしてやるよぉ。
     これ以上お預け食らっちゃ、たまったもんじゃねぇ」

狂ってる。

ぼくはここにきて漸く、殺人鬼の本性というものを知ることができたのだと思う。
とめた方がいいのは百も承知だが、本気になった殺人鬼はぼくの手に負えるはずもなく、
ぼくはひたすら見ていることしかできなかった。

殴られる度に出すクーの呻き声が、ただただ痛々しかった。
誰かが止めてくれるのを祈ることしかできない自分が不甲斐なかった。

最終的に、狂ったレイプ魔をとめたのは、ショボンだった。

(´・ω・`)「ジョルジュ、君さ、醜いよ? ぶちころすぞ」

( ゚∀゚)「あぁ? 邪魔するんじゃねぇよ」

ジョルジュは振り返ると、ショボンに向かって右ストレートをはなった。
ショボンは難なくその攻撃をかわして、ジョルジュの首の根っこを掴んで体ごと持ち上げる。

ぼくはショボンの俊敏な動きに驚きを隠せなかった。

125 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:36:05.29 ID:zHcHmu6q0
( ゚∀゚)「ぐぁ……はな…………せ……」

(´・ω・`)「僕はね、醜いものが嫌いなんだ」

( ゚∀゚)「あ……あ……」

ショボンが手を離したころには、もうジョルジュは意識を失っていた。

('A`)「………」

( ^ω^)「……ショボン、やりすぎだお」

(´・ω・`)「そうかい? ちゃんと、殺さないように手加減したよ。
       ……あ、そうだ。おーい、これはさ、防衛だからさ、ペナルティはなしでいいよね?」

『……やりすぎだ、ショボン。しかし、止めなければクーの命が危なかったかもしれないからな。
 今回だけは特別にペナルティなしとしよう。次やったら、どうされても文句を言うなよ』

スピーカーの音が広間に響く。

(´・ω・`)「把握した。あと、早くジョルジュを始末してくれないかな」

『こっちにも準備というものがある。あと、10分くらい待て』

(´・ω・`)「準備……ねぇ……ククク」

ショボンがスピーカーの声の主としゃべってる間に、ぼくはクーのことが心配になって、彼女の元へ駆け寄った。

126 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:39:08.16 ID:zHcHmu6q0
( ^ω^)「……大丈夫かお?」

川メ゚ -;;゚メ)「あ……ぅっ……すま……なぃ……」

どう考えても大丈夫じゃない。
ところどころ服が破けていて、直視するに耐えなかった。

ぼくの囚人服の上を脱いでクーの服の上から被せ、クーを床に寝かす。
しばらくは安静にしておくのがいいと思ったからだ。

こんな中、未だゲームの結果に混乱している人間が1人居た。
ドクオだ。

('A`)「……どうなってるんだ、なんでジョルジュが負けて」

(´・ω・`)「自分も負けてるんだ……かい?」

スピーカーの声と会話しきったショボンが応じる。

('A`)「そうだ。ジョルジュは俺たちの目の前で白を押したはずじゃないか」

(´・ω・`)「……ククク、自分で考えたらどうだい?」

('A`)「てめぇ……」

(´・ω・`)「ククク、冗談さ。……そうだな、ブーン。君がなぜ白を選んだのか、教えてあげなよ」

ショボンはぼくに振ってきた。

128 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:40:44.32 ID:zHcHmu6q0
( ^ω^)「あうあう……でも、クーが……」

川メ゚ -;;゚メ)「……ぅ……」

クーをこのまま放っておいて、話すのも気が引けた。

(´・ω・`)「嫉妬しちゃうなぁ、全く。でも今、君は何もすることはできないだろう?
       だからさ、話してくれないか。僕も聞きたいんだよ。君がどうして白をえらんだのかさ」

確かにぼくはこれ以上何もできない。
あと、嫉妬云々は聞かなかったことにしよう。
仕方ない、話すとするか。

129 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:43:41.36 ID:zHcHmu6q0
( ^ω^)「……僕が、最初に違和感を覚えたのは、クーたちが協調すると言い出したときだったお。
       協調ってことは、2人とも同じ白色を出さなきゃいけないってことだお」

('A`)「俺はジョルジュがなんで負けてるのか聞いてるんだが……」

(´・ω・`)「まあ黙って聞いてなよ……クックック……」

('A`)「ちっ……、それがどうして違和感なんだ?」

( ^ω^)「僕はこのターンが始まる前に、クーとジョルジュの会話の一部を聞いていたんだお。
       “俺ならアンタの為に、わざと負けてやってもいい”だったかお。
       それで、この協調案が何かおかしいことに気づいたんだお」

('A`)「その会話こそ、おかしくねぇか。実際ジョルジュは勝とうとしていたじゃないか」

( ^ω^)「あうあう、確かにそうだお。でも、どちらかが勝とうとしていたのは事実だったお。
       つまり2人の協力は、どちらかが確実に勝てるようにするための協力だったはずだお」

(´・ω・`)「……なるほどね、そう考えたか」

( ^ω^)「だから、2人とも白ってのはまずありえないんだお。
       だって、どちらも負けてしまう確率が大きくなってしまうから」

('A`)「……それは分かった。でも、2人とも白を押したところを見たじゃないか」

( ^ω^)「それはフェイクだお。
       ショボンが“一度ボタンを押したら、別のボタンを押そうが変更はできない”ってルールを聞いたのを覚えているかお」

132 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:47:28.62 ID:zHcHmu6q0
('A`)「ああ……」

( ^ω^)「ショボンはその言葉を聞いて、確信を持って僕に白を押せと言ったお。
       ここでショボンは、ジョルジュたちのどちらかが、僕たちの目の前で白を押す前に、黒を押してた可能性があることを見抜いたんだお」

('A`)「あっ、そういうことか!」

( ^ω^)「それに、ショボンが黒を押した時点で、ジョルジュは相当焦っていたお。
      あの時点で、黒をジョルジュを除いて2人押すのは、状況から明らかだお。
      だから、ジョルジュの白はフェイクだと思ったお」

('A`)「……なるほどな」

( ^ω^)「そして、ショボンの僕に対するアドバイスが決め手だったお。
       ショボンは何らかの理由で僕に今回勝たせたくて、こんな行動を取ったはずだお。
       こう思って、僕は白を選んだお」

(´・ω・`)「……ククク」


140 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/02/01(木) 02:54:16.55 ID:zHcHmu6q0
('A`)「フン、蓋を開けてみりゃ大したことはないな。
    協調案そのものが嘘だったってわけか」

( ^ω^)「そういうことになるお」

(´・ω・`)「……なるほどね。60点ってところかな」

ぼくの考えはほとんど合ってるはずだ。
60点は流石に低すぎやしないか。

( ^ω^)「60点……ってどこか違うのかお」

(´・ω・`)「ククク……、ボタンのトリックは正解だ。でもね、他は的外れもいいところだ。
       僕はさクーだけが本当に白を押したってことを最初から確信していたんだ。
       そして、僕は君を勝たせたかったわけじゃない。試していたんだよ、君を」

試した、だと。
どういうことだ。

( ^ω^)「一体……どういう……」

(´・ω・`)「教えて欲しいかい……ククク、自分で考えてみたらどうかな。
       おっと、そろそろジョルジュの迎えがきたようだ」

鍵がかかっていた扉が開く。
武装した集団が、一斉に広間の中へと入ってきた。


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