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17 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/01/31(水) 01:51:00.10 ID:3zavgZe20
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クーとジョルジュが立て続けに白を押した後、ショボンは黒を押しておいて、ぼくに白を押すよう言ってきた。

つまり、ぼくに犠牲になれ、と。
ショボン自らが勝つために。

そういうことなのか、ショボン。


( ^ω^)「……それは僕に犠牲になれと言ってるのかお」

(´・ω・`)「ククク……どう受け取ってもらっても結構。僕が個人的に白を押してもらいたいだけさ」

ショボンの意図がわからない。
さっきまでぼくに勝つよう仄めかしていたのに、どういうことだ。

( ゚∀゚)「くそっ。て、てめぇ、何で黒を押しやがった!!」

(´・ω・`)「……最初から言ってるじゃないか、僕は協調する気はないと」

川 ゚ -゚)「……」

ぼくはショボンの言動に何かしらの違和感を感じた。
ショボンは一度協調すると言ったはずじゃないか。

19 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/01/31(水) 01:55:52.60 ID:3zavgZe20
それに加えて、どうしてジョルジュが焦ってるんだろう。
ショボンが黒を押して、協調の可能性がなくなったからか。
ぼくと同じくジョルジュも残り1ポイントだから、焦って当然といえば当然だけど。

何かがひっかかる。


そんなぼくの葛藤とは裏腹に、ドクオがこの時点で既に動いていたことを、すぐに彼自身の言葉によって知ることとなった。

('A`)「おい……悪いがな、ブーン。俺はショボンが黒を押したすぐ後に黒のボタンを押させてもらったぞ。
    ちんたらしていた、お前の負けだ」

しまった、と、思っても、もう遅かった。
このゲームは宣言せずとも押すことはできる。
流れに気を取られていて、ドクオが押すはずだという当たり前のことをすっかり忘れていた。

( ^ω^)「え……もう……押したのか……お……?」

('A`)「そうだ。だからどうせ負けるなら、白を押してジョルジュを巻き込んで負けろ」

なんということだろう。
畜生。戸惑うべきじゃなかったんだ。
これで、ぼくの負けが決まってしまったじゃないか。

20 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/01/31(水) 01:59:15.93 ID:3zavgZe20
例えるならば、ぼくの馬鹿さ加減は、ババを切ることのできなかったババ抜きの敗者に通じるところがあるだろう。
最後まで貧乏くじを持ち続けてしまった、というわけだ。

復讐するとついさっき心に誓ったばかりなのに、こうも簡単に負けが決まってしまうとは。
結局、誰かを潰す前に、自分から潰れてしまったのだ。
自分の愚かさに至極うんざりする。

( ω )「これでぼくの……負けか……お……」

こうなってしまった以上できることといえば、どちらを巻き添えにするか、を考えるくらいだ。
今ぼくにはそれだけしか能がない。

クーとジョルジュか、ショボンとドクオか。
この二者択一なら、ぼくが負ける事態を引き起こしたショボンとドクオを巻き添えにするべきだろ。
常識的に考えて……。

('A`)「ブーン。早く押せ」

催促されるがままに、ぼくは機械に手を伸ばし、黒のボタンを押そうとする。


その瞬間、ふと頭の中で考えがよぎる。

今のぼくは、果たして正確な判断ができているのだろうか、と。

22 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/01/31(水) 02:03:26.75 ID:3zavgZe20
いや、できてるはずがない。
恐らく、ツンの仇がこの中にいると聞かされたときからそうであったろう。

だから、しっかり考えてみようじゃないか。

違和感の正体も分からないまま、押していいのか。
少し、考慮し直すべきじゃないのか。

こんな風に何も考えられない状態になるようじゃ、最初から復讐なんて叶うわけがなかろうに。
復讐はまだ果たせてない。果たすまで、ぼくは勝つために考え続けなきゃならない。

だから、考え直そう。

今までの発言を。

2回目のターンが終わってから、今に至るまでの全員の行動を。

何かおかしなところはないか。
変わったところはないか。


ふとバラバラだった違和感の正体が一本の線になって解消される感覚を覚える。

もしかして。
いや、可能性は果てしなくゼロに近い。
でも、この考えに賭けてみる価値はある。
負け、以外の選択肢があり得るならば。

ぼくは白のボタンを力強く押した。


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