9
- 4 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:26:12.39 ID:gM0ZlZaQ0
- 9
ぼくらはその後、2、3会話をして、即ボタンを押すことで意見が一致した。
そして、全員が一斉にボタンを押した。
『2ターン目終了だ』
というアナウンスが流れ、自分の液晶の表示が変化する。
ぼくは表示を確認し、愕然とした。
また、負けたのだ。
残りのポイントは1。崖っぷちに立たされてしまった。
- 5 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:27:34.81 ID:gM0ZlZaQ0
- 結果に対して落ち込んでるぼくに、ショボンが、ボソッとつぶやいた。
(´・ω・`)「騙されたね。かわいそうに」
と。
誰に。
クーに、か。
どういう意味だ。
- 6 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:30:58.82 ID:gM0ZlZaQ0
- ぼくは、皆に休憩を提案し、クーに何も言わず、ふらふらとトイレまできた。
トイレまで、クーが追いかけてくることはないだろう、と、思ったからだ。
ぼくは、1人になりたかった。
1人で、本当に、騙されたのか、考えたかった。
- 7 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:31:42.37 ID:gM0ZlZaQ0
- トイレの個室に入り、ショボン対策のため十分に鍵を閉めたことを確認して、さっきの結果を思い出す。
僕は黒を押し、その結果、マイナス1。
クーは宣言どおり白を押したのなら、勝ってプラス1、残りポイントは3になってるはずだ。
黒を押したのは、ぼくの意思以外の何でもない。
だから、原因は自分。
仕方ないのだ。
それでも、ショボンの言葉が引っかかる。
『騙されたね。かわいそうに』
- 8 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:32:35.67 ID:gM0ZlZaQ0
- ぼくが、黒を押した理由、それは、確率について考えた結果だ。
つまり、白を押す人間が1人確定している状況でぼくも白を押して勝てるか、と、いうこと。
確率はきわめて低い。
勝つに残りの3人が黒を押さなきゃならないからだ。
単純に考えても、8分の1。15%にも満たない。
逆に黒で勝てる確率は、3人のうち、誰か1人だけが黒を選ぶ確率に等しいはず。
ショボン黒、ドクオ白、ジョルジュ白
ショボン白、ドクオ黒、ジョルジュ白
ショボン白、ドクオ白、ジョルジュ黒
の3パターンあるから、さっきの3倍だ。
クーが白を選ぶといった時点で、黒を押したほうが有利だ。
そう考え、ぼくは黒を押して、負けた。
ただ、どのみち黒を選んでも、8分の3だ。
結局、負ける可能性の方が高い。
8分の3に入れなかったぼくは、ただ運が悪かっただけだ。
だから、騙すも騙されるもない。
単にぼくの運の問題だ。
彼女は関係ない。
- 10 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:34:31.18 ID:gM0ZlZaQ0
- つまり、ショボンはぼくを混乱させようと、つぶやいたことになる。
『騙されたね。かわいそうに』と。
彼に揺さぶりをかけられただけだ。
おそらくショボンは、ぼくとクーが組んだことに気づいていたのだろう。
そして、なんらかの理由でぼくとクーのコンビが邪魔だった。
性的な意味じゃないことを祈りたい。
つまり彼は、ぼくとクーを仲たがいさせたかった。
だから、こんなことを言ったのだろう。
ぼくが負けたことにつけこんで。
いや、待て。
それはおかしい。
なんで、ショボンはぼくが、負けたことを知っているんだ?
- 12 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:36:23.67 ID:gM0ZlZaQ0
- ぼくが、黒を押したのはクーも知らないはずだし、
他の3人も当然知らないはずの事実だ。
押すときは見られないよう細心の注意を払っていたし、わかるはずがない。
じゃあ、何でだ。
もしかして、作戦がばれていたのか?
ぼくと、クーの作戦が聞かれていた可能性は十分ある。
あの会話から、ショボンは、ぼくが黒を押すことを見抜いたのだ。
そして、自分の表示を見て、黒の、ぼくの、負けを知った。
ショボンが超能力者でもない限り、こう考えるのが妥当だろう。
あれ?
待てよ。
ということは、つまり、ショボンと同じ状況のクーも、ぼくが黒を押すことを見抜けるのではないだろうか。
- 15 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:40:48.92 ID:gM0ZlZaQ0
- 頭が痛くなってきたが、もう一度、よく考え直そう。
彼女が白を選ぶことを宣言したのは、ぼくに黒を押させるためだとは考えられないだろうか。
彼女は何らかの理由で白を押すのが有利だと考えていた。
それで、自分の勝つ可能性をあげるため、ぼくに黒を選ばせたかった。
だから、白を押すと宣言したのではないだろうか。
白を押すといえば、確実にぼくが黒を押すと踏んでいたのでは。
クーの言葉を思い出す。
『ドクオがまた黒を押しそうな気がするが、確実ではないし、
ショボンは裏の裏をかいてきそうな奴だ。私たちには予測できない
ジョルジュはどうせ適当に押すだろう。だから、どれも不確実だ』
これはぼくに、みんながどれを選ぶのかわからない、ということを植えつけるために言ったのではないのだろうか。
みんなが、どれを選ぶのかわからない。
それなら、ぼくは確率論にしたがって、黒を押すはずだ、と。
でもクーは、誰が何を押すのか、ある程度想像がついてたのではないだろうか。
- 18 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:46:45.30 ID:gM0ZlZaQ0
- 少し、さっきの状況を検討してみよう。
2ターン目開始直前の、ドクオの状況を考える。
彼は2回目のゲームが始まる時点で、4ポイント持っていた。
2ポイントの人間が3人以上いる中で、優位なポジションにいた。
彼はこう思うのではないか。
もし、ここで全員が黒になったら、自分の1人勝ち、もしくは最低でも3人は屠れると。
そうしたら、彼がその可能性を潰す白を押すだろうか。
おそらく、さっきのターンは彼もぼくと同じように、黒を押したのだろう。
次に2ターン目開始直前の、ジョルジュの状況を考える。
彼は1ターン目に、白を押してマイナスになった。
彼は単純に、白で負けたなら、次は黒を押そうと考えるんじゃないのか。
現に2ターン目は黒が多数になっている。
おそらくジョルジュも黒を押して負けたのだろう。
こうやって、ジョルジュとドクオの2人が黒を押すだろうと予測できる。
もしかしたら、クーは2ターン目を開始する前に、ここまで想像していたのかもしれない。
彼女の提案は、ぼくを陥れるための狡猾な罠だったのではないのか。
- 21 :閉鎖まであと 5日と 2時間:2007/01/18(木) 18:53:04.43 ID:gM0ZlZaQ0
- 疑心が募る。
ぼくがショボンの手のひらで踊らされてる可能性だって十分にある。
彼女を疑うようになった発端は、彼の一言なのも事実だ。
それに今の検討も、ジョルジュが黒を押すはずだってのは、ぼくの主観にすぎない。
こんなことで、彼女を疑ってよいのだろうか。
それに、さっきの確率計算も自信がない。
どこか間違っているような気がする。
確率論的に僕が黒を選ぶはずというのが正しくなかったら、今までの考えは無意味だ。
ただ、ぼくの残りポイントは1だ。
次でゲームオーバーになるかもしれないのに、彼女と協力する意味はあるのか。
そして、素直に彼女を信用していいのだろうか。
考えれば考えるほど、頭が痛くなってきた。
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