47 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 20:42:19.54 ID:TvE3a1Nm0
色を消す能力

全国的に朝がやってきた。

(; ^ω^)「うわっ!!」

ようやく起きる事に成功したブーン。未だかつてあんなに現実じみた、恐ろしい夢は見たことがなかった。

(; ^ω^)「う、うぅ・・」

ただの夢だったはずなのに、つまずいた時に打った膝が痛い。何故か体にも疲れが残っている。

(; ^ω^)「なんだったんだお・・あの夢」

自分が跳ね起きる前に聞こえたあの声。

「あなたに私の力をあげる」

能力とは一体なんなのか。確か夢が覚める少し手前に真っ黒だった空間が真っ白になっていく現象を見たのは覚えている

49 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 20:47:30.76 ID:TvE3a1Nm0
確か最初に白く変わったところは自分の手が触れた所だった。だがそれが「力」と関係あるのだろうか。

いくら考えた所でブーンには答えを出す事は出来なかった。

(; ^ω^)「・・とりあえず下にでもいくお」

ベットから降りようと、思い切り手をついたその時だった。

(; ^ω^)「!!!!」

ブーンが思い切り押したベットのその部分だけ、色を奪われ、真っ白になっていた。

もともと濃い青だったベットの色がいきなり自分が触っただけで白くなるなんてまずありえない話だ。

50 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 20:50:40.05 ID:TvE3a1Nm0
今、自分の身に何が起こっているのか。それを全く把握できずにいるブーン。

(; ^ω^)「僕の体・・一体どうしちゃったんだお」

考えたところで答えなんて出てくるはずも無いのに、ブーンはひたすら考えた。やっぱり答えなんて出てこない。

(; ^ω^)「あっ、そういえば昨日、にちゃんに不思議なスレがあったのを思い出したお。多分落ちてると思うけど、みてみるおかお」

ブーンは今の状態を何とか打開する為に、わずかな可能性にかけて、そのスレを探してみる事にした。

(; ^ω^)「えーと・・世界中の色を消してみたいと思わないか?っと・・」

エンターキーを恐る恐る押してみる。もしあのスレがなかったら、何も解決策なんて出てこない。

カチ。

52 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 20:55:34.93 ID:TvE3a1Nm0
63、世界中の色を奪って見たいと思わないか?(650)

ブーンはその光景に唖然とした。自分が書き込む前は30となかったレスが一晩の間にこんなに伸びていたのだから。

しばらくブーンは呆然として、そのスレを開く事が出来なかった。

( ^ω^)「・・・はっ、早くヒントを探さなければいけないお」

ブーンはスレを覗いてみた。確か自分のレスは随分前の方。とりあえずそこらへんあたりから探してみることにした。

最初のレスは自分に対する悪口ばかりだった。

「ホントにそんなことできんのかよ?」

「根拠も無いのにそんなこというんじゃねーよ」

「超中二病乙」

( ^ω^)「・・まあ叩かれるのは目に見えてたお。こんなことどうでもいいお」

53 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 20:58:22.98 ID:TvE3a1Nm0
ブーンがタイピングしてる間にも、そのキーボードは元々黒かったのに、触る所だけドンドン白くなっている事にブーンは気がついちゃいない。

それだけ必死だった。

レスが320あたりに差し掛かった時、ブーンは気になる文章を発見する。

「まさか私とおんなじ力を持ってる人がいるなんてね」

( ^ω^)「これ・・文体は女だお。ちょっと特定してみるかお」

ブーンはPCのプロでもあった。その書き込みから相手のIPホストを確定する事くらい簡単だった。

三十分ほどしてブーンは落胆する。


56 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:02:49.90 ID:TvE3a1Nm0
(; ^ω^)「IPが・・無い」

そんなことは絶対ありえないはずだった。PC、携帯からの書き込みなら、絶対にそれが無ければおかしい。

だが、それがないのだ。こんな現象が起こることなんて。ブーンはまだ自分が夢の中にいるんじゃないかと疑った。

( ^ω^)「し、仕方ないお。この人らしきレスを他にも探してみるんだお」

ブーンは細い目を更に細くして、画面をゆっくり動かした。絶対に見落としの無いように。

レスが500あたりに差し掛かる時、またIPの無い書き込みを発見した。おそらく彼女だ。

「いや、あなたは力なんて持ってないわね。欲しいのでしょう?その力が・・」

またブーンは驚愕した。何故わかったのか。いや、普通ならありえないと考えるはずなのだが。何故この人は真面目にブーンに話しかけるのか。


57 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:05:46.03 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「こいつ・・何者なんだお」

思わず言葉が口をついて出てしまう。その答えも見つかるはずは無い。

確かにドクオと一緒に話してるとき、こんな能力があったらいいなと思った。なぜ、この女はブーンの感情を読めたのだろうか。

また唖然としてしまうブーン。だが答えを探す為、この女のレスを追ってみる。

( ^ω^)「あった・・」

女のレスを発見するブーン。そのレスが書き込みされた時間はちょうどブーンが布団に入る時間だった。

「今日、あなたのところに行くわ。待っててね」

58 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:08:00.76 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「まさか・・こいつが僕の夢に出てきた女なのかお?」

どう考えてもありえない話だった。書き込みにIPすらない女が、自分の思い、行動をすべて把握し、夢に出てくるなんて。

あまりに非現実的、ありえない話。そして朝起きてみると自分が色を消す。

( ^ω^)「こいつは一体・・それに僕も。別の世界に来てしまったのかお。それともこれ自体夢・・?」

ブーンは試しに自分の頬をつねってみる。あまりにも痛い。まるで自分の力じゃないみたいに。

( ^ω^)「僕、こんなに力が強かったかお?」

60 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:11:17.88 ID:TvE3a1Nm0
自分自身にも疑問を覚えるブーン。その力を試してみることにした。とりあえずジャンプを破る事に挑戦してみる事にした。

( ^ω^)「フンッ!」

ビリッ。対して力を入れた気もしないのに、ジャンプはすぐに破れてしまった。

(;^ω^)「え・・ホントにどうしたんだお。僕」

また自分自身に疑問を持つ。今まで自分はろくに運動も筋トレもしてこなかったのに、恐ろしい力がついた。

しかも一日で。

( ^ω^)「もしやこの力は・・色を消す力を手に入れたからこうなったのかお?」

63 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:14:52.71 ID:TvE3a1Nm0
今その理由を説明するにはそれしか無い。

そしてキーボードの色まで落ちていることに今気がついたブーン。動揺のあまりキーボードを思い切り叩いていたせいで色が落ちてしまったようだ。

そこでブーンの頭の中にある疑問符が出てきた。

( ^ω^)(さっき布団をどかした時は色は落ちなかった・・でもベットを思い切り押した時は落ちていた・・)

その力の起こし方。未だにハッキリしない。少し考えていると、突然携帯が鳴り響く。メールのようだ。

ブーンは友達が少ない。携帯のメモリに登録されてる人も十件くらいしか居ない。しかもその中からこんな朝早くからメールを送ってくる人なんていなかった。

( ^ω^)「誰だお・・?」

さっきのスレを見て、自分の力を発動させた直後のメール。またブーンは不安に襲われていた。


64 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:15:12.09 ID:TvE3a1Nm0
意を決して、携帯を開いてみた。

「その力をどう使うもあなた次第・・世界中の色を消すのもよし。何もしないもよし。全てはあなた次第よ」

またあの女か。スレのカキコにIPが無かったように、今度は送り先が無かった。

(; ^ω^)「こいつ・・一体何者だお。名前はおろか、アドレスまで出してこないなんて・・」

この女の存在にブーンは改めて恐怖させられた。この事実、そして何が起こってるのかを知ってるのはこの女だけ。

( ^ω^)「教えてくれお!僕の体に何が起こったのか!!」

そう叫んでも帰ってくるのは静寂だけだった。

( ^ω^)「でも・・力の発動の仕方だけはわかったお。僕が力を込めて物を触れば、色が落ちる」

( ^ω^)「はぁ、この力を一体に何に使えばいいのか分からないお」


65 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 21:15:29.68 ID:TvE3a1Nm0
確かに昨日は思いつきでドクオに話した。でも実際、こんな力を手に入れるとは思っていなかったので、少し考えた。

色の無いこの世界・・それも見てみたいような気がする。まだ現実を受け入れることは出来てないが、どうせこの能力はすぐにはなくならないだろう。

なら、暇つぶしついでにここらへん一体の色を消してみようか。ブーンにはそんな考えも思い浮かんでいた。

( ^ω^)「このつまらない毎日を変えてみるのもいいかも知れないお」

自分の人生はとてもつまらないものだと思っていた。今までいじめられるばかりで、何ひとつ楽しいことなんて無かった。

イジメから自分を助けてくれなかった社会に対する報復もいいと思った。

今の自分の力があれば世界ごと変えることが出来るかもしれない、とも思った。

( ^ω^)「・・決めたお。僕はこの力を使って、世界ごと変えるお」

ブーンのこの決断は間違ったものなのかも知れなかった。

だが彼を止められる人間はいないのかもしれない。

ブーンは早速出かける準備をして、町へと向かっていった。

色を消す能力 完


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