内藤エスカルゴ - ( ^ω^)牌繋のようです - 第一話 「数え役満」

第一話 「数え役満」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:25:25.59 ID:wRqqklJ6O


5月の終わり頃。冬の寒さも夏の暑さも忘れた、暖かな時期の事だ。

高校生活も2年目に入ったが、クラスが変わらないからか特に新鮮さはない。
ただ薄ぼんやりと生きれる時間がまた短くなったと、無意識の内に忘れる事項が増えただけ。

何も変わらない日々。

まずそれが、変わった。





 第一話 「数え役満」





4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:26:22.64 ID:wRqqklJ6O



中学時代から帰宅部で、もはや歴戦の帰宅部員。
そんな僕が放課後にする事なんか決まってる。

真直ぐ帰る。それだけ。

「ちょっとちょっと! そこの君ッ!」

( ^ω^)「……僕かお?」

(*゚∀゚) 「そうそ、君君ッ! ねぇ、君って麻雀打てるッ!?」

( ^ω^)「……へ? 麻雀?」

だが今日は、そうも行かない気がした。

( ^ω^)「まぁ……それなりに」

(*゚∀゚) 「やたッ! んじゃ着いて来てッ!!」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:27:45.65 ID:wRqqklJ6O

小柄な女生徒はそれだけ言うと、タタタッと小気味よく駆けていく。
全くもって説明不足のあの先輩は、一体なんだろうか。

先輩……内履きの色でそう判断したんだけど、先輩でいいんだろうか……。

(*゚∀゚) 「早く早くッ!」

廊下の先から大声で、手招きする彼女の姿が見える。
なんか周囲の視線も痛いし、既に断るに断れない状況だ。

僕は鞄を肩に掛けると、小走りで彼女の後を追った。







8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:29:31.45 ID:wRqqklJ6O



(*゚∀゚) 「あぁ忘れてたッ! アタシ3年のつー、君はッ!?」

( ^ω^)「あ、内藤ですお。それで……これから何処n」

(*゚∀゚) 「さァ着いたよーッ!」

(;^ω^)「えッ!?」

つーさんが足を止めたのは、普段は少人数で行う授業用の教室、その中の一つ。
他に比べても此処は、かなり使われる事はないかもしれない。少なくとも僕は無い。

(*゚∀゚) 「さ、麻雀同好会へようこそー」

そんな台詞と共に、ドアを押して開く。
その言葉。薄々わかっていた事なのに、僕は内心ドキリとした。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:31:36.20 ID:wRqqklJ6O

(*゚∀゚)ノ「うっす! 4人目見っけたよォー!」

廊下と変わらぬ元気な声で報告する先は、教室の真ん中に置かれた、全自動卓に座る2人。
よく学校にそんなものを……とも思いはしたが、それより僕の心を揺さ振ったのは……。

ξ゚听)ξ「……ブーン?」

ツン。僕の幼なじみ。

(*゚∀゚) 「アヒャ? 知り合いだったの?」

ξ゚听)ξ「……なんで来たのよ」

( ^ω^)「ツン……」

ξ#゚听)ξ「私が居るのッ……知ってるでしょ!?」

まだツンは、嫌だったんだ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:33:08.65 ID:wRqqklJ6O

( ^ω^)「……ごめんお」

突然怒鳴ったツンを見て、流石のつーさんも黙っていた。
でも、悪いのは僕だ。分かってる筈なのに分からないフリをして誤魔化す、僕。

ξ゚听)ξ「……今日は帰りますッ」

(;^ω^)「ちょ……!」

(;*゚∀゚) 「ままま、待ってよツン!」

僕よりも先につーさんが、鞄を持ち立ち上がったツンに駆け寄った。

(*゚∀゚) 「一局だけ! 一局だけ打とうよッ!!」

お願いッ!と、両手を合わせて頭を下げる。
ツンは立ち尽くす僕を一つ睨むと、じゃあ一局だけ、と小さくため息交じりに言った。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:34:15.13 ID:wRqqklJ6O

(*゚∀゚) 「あ、やっぱ半荘ね」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「ま、それならそれで……。東場で終わりますけどね」

(*゚∀゚) 「アヒャヒャ、えらい自信だねー。
     あ、一応聞くけどペニは?」

('、`*川「別に……ツンが良ければやるよ」

(*゚∀゚) 「おk! ほら内藤君ッ! ボケッとしてないで座って!」

( ^ω^)「あ、はい……」

卓は高そうだが、椅子は普通に学校のやつ。
座り慣れてるそれに腰を置くと、久しぶりの感覚が僕を襲った。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:35:14.87 ID:wRqqklJ6O

ξ゚听)ξ「……はァ」

(*゚∀゚) 「まぁまぁツン、内藤君はアタシが無理矢理誘ったもんだしさ!」

( ^ω^)「……悪いのは、僕ですお」

ξ゚听)ξ「……」

ツンが上家。左だ。
つーさんが対面で、ペニ?さんが下家。

麻雀。家のPCではたまにやる程度。
だが卓を囲むのは、本当に久しぶり。

しかもそれが、ツンの居る卓で。

( ^ω^)「……よろしくお願いしますお」

自動で山が積まれ、ボタン一つでサイが回る。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:37:03.66 ID:wRqqklJ6O

( ^ω^)(自動卓……やるな貴様)

ξ゚听)ξ「……チッ」

(;^ω^)「……」

(*゚∀゚) 「んあ、アタシ立親か。
     そだ内藤君、オカウマ無しのアリアリ、赤は3枚だから」

( ^ω^)「わかりましたお」

ξ゚听)ξ「ハコ割れ清算は?」

(*゚∀゚) 「ん? いつも払ってるじゃん。滅多にないけど」

ツンは一つ頷き、山から手牌を取る。
今の質問は……本当にツンは、東場で終わらせたいらしい。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:38:02.75 ID:wRqqklJ6O

( ^ω^)「……」

そんな東一局。ドラ表示牌は西、ドラは北だ。

そして、僕の配牌は……。

 一八VV\2459西南發白

( ^ω^)(これはヒドイ……)

どうやら牌に嫌われているらしい。

(*゚∀゚) 「んじゃ、頑張って南場まで生き残ろうかなーッと!」

そんなおどけた言葉と共に、起家の牌が切られた。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:39:13.78 ID:wRqqklJ6O

それから八巡が回り、字牌はドラの北以外一切れで、役牌も死んだ。
死んだ、というか殺した。前巡に切られたから落とした發を、次巡ツモ。白も同様。

まぁ珍しい事でも無いが、凹む。

( ^ω^)(ドラの北……つーさんには見えんお。下家かお?)

親のつーさんの河を見れば、順当にヤオチュウ牌を整理している。
恐らく平和タンヤオ。麻雀の基本役。

となると、親がリーチでも掛けてこない限りは下家を注意していた方がいい。
どうせ僕はアガれないし。

それから二巡、つーさんが不意に口を開いた。

(*゚∀゚) 「内藤君は麻雀打つの?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:40:32.36 ID:wRqqklJ6O

今打ってるじゃないか、と言い掛けたが、意訳をして返す。

( ^ω^)「ほとんどネットですお。牌を触るのも久しぶりなくらいで……」

(*゚∀゚) 「へぇー……」

と、つーさんが索子の赤五をノータイムでツモ切り。
これで三巡連続だ。まず張ってるだろう。
しかし未だ全ての河に北は無し。それを警戒してか、仕掛けて来ないんだと予想。

それに比べ僕は……

 六八VVWX2245699

まだコレ。鳴きたいのは山々なのだが、なかなか必要牌が落ちてこず、今に至る。

が、今ツモったのは二筒。
手牌から九筒を切り、なんとか一向聴まで持ってきた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:42:24.74 ID:wRqqklJ6O

(;^ω^)(まぁタンヤオのみだけど……)

次の下家も、時間を置かずに西をツモ切り。
動きがあったのは、次のつーさんの番でだ。

(*゚∀゚) 「アヒャヒャ……カンッ!」

手牌から二枚の七萬が倒され、両隣の牌も伏せられる。そのまま四枚の牌を右側に滑らせた。

(*゚∀゚) 「来たよ……リーチッ!!」

新ドラを捲り、嶺上をツモり、手牌から一萬を横向きに河へ置き、リーチ棒をセット。

流れるような動作ではあったが、僕が魅了されたのはそれではない。
新たな表示牌の、一筒。

( ^ω^)(ドラ3……!)

さっきまでなんら魅力のなかった一向聴が、一気に満貫手まで膨れ掛けた瞬間だ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:44:01.02 ID:wRqqklJ6O

が、当然障害も多い。
まず、親のリーチ。役は平和が消えたが、裏ドラが乗れば大物手だ。
さらにこれは僕の話だが、七萬の消失。今から新たな順子を作るのは厳しい。

( ^ω^)(でも……!)

この手をアガれば、流れも掴めそうな気がする。
非科学的な話だが、僕は信じてる方だ。だからこそ、麻雀が楽しい。

ξ゚听)ξ「……」

上家のツンが、少し時間を掛けて一索を切り、僕のツモ。

( ^ω^)「……ッ!」

赤い五萬。

すぐに安牌の八萬を切った。
一向聴は変わらずだが、これで456の三色も見えた。しかも両面。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:46:04.68 ID:wRqqklJ6O


……が。

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)(……ッ!?)

麻雀とは本当に、上手くいかない。


('、`*川「……」

下家はツモった三切れの中。当然通る。

(*゚∀゚) (チッ……一発は無し……)

次につーさんが、ツモった六索を切る。

それをツンが、迷わずに喰った。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:48:03.24 ID:wRqqklJ6O

ξ゚听)ξ「チー」

僕の左手側に、三枚の牌が縦に並べられる。
上から、縦向きの六索、横向きの五索七索。

ツンはこれで、テンパった。

(;^ω^)「……ッ」

ツンの一筒切りは通り、僕の手番。
ツモは、四萬。絶好の牌……だった。

( ^ω^)「……」

直後、僕が切った牌は六萬。

左から聞こえる、ロン。

ξ゚听)ξ「タンヤオのみ、1000点」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:49:53.63 ID:wRqqklJ6O

篏張待ちなので30符。僕は点棒入れから赤い丸の入った棒を、ツンに手渡した。

(*゚∀゚) 「うへぇ……喰いタンか……」

流されて悔しいのだろう。肩を落として、開いた穴に手牌を落とす。

ジャラジャラとした音が暫らく鳴り、次の山が昇ってくる。

( ^ω^)(……しょうがないお)

もともと、ツンに無理を言ってしてる麻雀なんだ。
しょうがないと、腹を括って打つべき立場なんだ、僕は。

ξ )ξ「……」

早々に親のツンが牌を切り、東二局が始まった。





28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:51:06.95 ID:wRqqklJ6O




流局――――

ξ゚听)ξ「テンパイ」

( ^ω^)「ノーテンですお……」

('、`*川「ノーテン」

(*゚∀゚) 「テンパ〜イ」

またジャラジャラと牌が鳴り、下から東一局で使った青い背の牌が出てきた。

東二局、一本場。ドラは三索。
僕は22500でドベ。ツンが28500でトップだ。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:53:06.41 ID:wRqqklJ6O

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……!」

勝負手が入った。僕ではなく、ツンに。

ξ゚听)ξ「……」

こうなるとやる事は一つ。
僕の手牌など関係なく必要牌をただ残し、無駄牌を切り落としていく。

それが暗刻だろうが順子だろうが、関係ない。




ξ゚听)ξ「カン」

(;*゚∀゚) 「うぃえッ!?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:54:48.38 ID:wRqqklJ6O

十巡目、ツンがドラの三索を暗カン。
新ドラは二萬。これでドラ6。相変わらずツンの鳴きは強い。

( ^ω^)(……来たッ)

そして僕が引いた牌は、新ドラの二萬。
これで準備は整った。

ξ゚听)ξ「リーチ」

(;*゚∀゚) 「うぞッ!?」

次巡、ツンがリーチ。
テンパイ自体は八巡目にしていたというのが笑えない。

( ^ω^)「……」

僕の手番。ツモりはしたが、その牌は見てもない。
もう切る牌は決まってるから。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:57:28.60 ID:wRqqklJ6O

パシッと音を立て、二萬を河へと捨てる。

('、`*川「!?」

(*゚∀゚) 「……はい?」

ξ゚听)ξ「ロン」

ツンの手牌が倒される。見ると聞くとじゃ多違い。
綺麗に揃った、見とれそうな手牌だ。

 二二三四TTT888 VVVV 二

ξ゚听)ξ「立直・一発・三暗刻・ドラ……」

細く白い手が伸ばされ、裏ドラの七筒と白がコロリと落とされた。

ξ゚听)ξ「……10。数え役満」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 22:58:58.52 ID:wRqqklJ6O

(;*゚∀゚) 「ぶふッ!!」

思わず吹き出すつーさん。確かに、ドラ乗りすぎ。

( ^ω^)「……トビましたお」

当然、こんな符数を数えるのも面倒な上がりには点棒も持たず、
僕の点数は−25800、配給原点を突破です。本当にありがとうございました。

ξ゚听)ξ「お疲れさまでした」

ガタッと椅子を鳴らしてツンが立ち上がる。
それを止めたのは、物静かそうな下家の……

 ヘニさん?

  ……ペニよ。ペニサス伊藤。

 あぁ、ペニサスさんかお。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 23:15:01.93 ID:wRqqklJ6O
('、`*川「待ってよ。なに今の、差し込み?」

( ^ω^)「……」

(*゚∀゚) 「そいやぁ内藤君動揺0だし……
     てゆかいくら新ドラだからって、普通一発巡目にアレは切らないよ?」

まぁ言われるのも、バレるのも当然か……。
2人、特にペニサスさんは不満を顔に出して、僕とツンを睨む。

ξ゚听)ξ「……だから止めるって言ったのに」

そう呟くとツンは、つーさんに山から適当に牌を取るよう言った。

(*゚∀゚) 「……?」

小首を傾げながら、手付かずの山から6枚、伏せたまま適当に撰ぶ。
ツンは自分の両脇に2人を呼ぶと、卓越しに正面の僕にだけ、見えないように牌を捲った。

('、`*川「……?」

( ^ω^)「……北」

(;*゚∀゚) 「へッ!?」

2枚目も同じようにして捲り、見えない僕はそれを言い当てる。
6度も必要なかったのだろう。ツンは3枚目を僕が言い当てた後、こういう事、と呟いた。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 23:02:55.77 ID:wRqqklJ6O

2枚目も同じようにして捲り、見えない僕はそれを言い当てる。
6度も必要なかったのだろう。ツンは3枚目を僕が言い当てた後、こういう事、と呟いた。

(;*゚∀゚) 「なにそれ……超スゲぇんだけど」

('、`*川「……テレパシー?」

ξ゚听)ξ「まぁ、そんなトコよ」

透視でも通しでもなく、テレパシー。
いやテレパシーよりももっと雑な、大雑把すぎる代物だ。

( ^ω^)「……近くに居るだけで、ツンの心が視えるんだお」

ξ゚听)ξ「……私も、ブーンの心が聴こえる。
      耳を塞いでも、目を閉じても。五感じゃないもので聴こえるのよ」

それは丁度、卓を囲むならば範囲内。対面でもだ。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 23:06:47.17 ID:wRqqklJ6O

ξ゚听)ξ「……無心で麻雀なんて、出来ると思う?」

無理だ。ただでさえ考えなきゃならない事柄が多いのだから。

ξ゚听)ξ「一局目は、私が無理矢理ブーンに振り込ませた。
      さっきのも、それと一緒。まぁ役満になるとは思わなかったけど」

( ^ω^)「……ごめんなさいお」

居たたまれなくなり、頭を下げる。

 ツンは、謝らなくていいお。全部、僕が悪いんだから。

  ……馬鹿。

ふっ、と感覚が無くなる。
ツンが一歩下がり、範囲内から出たんだろう。

(*゚∀゚) 「そっか……悪かったね、無理言って」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 23:10:41.22 ID:wRqqklJ6O
( ^ω^)「つーさんは悪くありませんお。
       麻雀を誘われた時点で断らない、僕が悪いんですお」

そう、ツンがこの麻雀同好会に入ってるのは知っていた。
でも……それでも僕は。

ξ゚听)ξ「お先失礼します」

(;^ω^)「あッ……ツン!」

鞄を持ったツンが、スタスタとドアまで歩いていく。
追って話をしたかったが、その前に彼女は言った。

「……思い出したでしょ? 私と打っても面白くないって」

背を向けられて、ツンの顔は見えない。
僕は途端に、彼女が遠くへ行ってしまったような気がした。

「……もう、此処に来ないで」




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