内藤エスカルゴ - 完結作品一覧 - ( ^ω^)は合成士のようです - 第13話
1 名前:( ^ω^)は合成士のようです ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:16:23.16 ID:MPPJsRcR0

今晩は。大変お待たせしてすいません。

今回は、罪人合作参加作品「最後の七人のようです」も投下したいと思います。

上記の作品は、途中からの投下になります。
興味のある方は、あらかじめブン文丸さんか、ブログにて読んでおいてくださると
楽しんでいただけると思います。


      まとめ

               内藤エスカルゴ様

                               作者

                                        ◆gMIGdyOjeA

( ^ω^)は合成士のようです 第13話

2 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:19:18.67 ID:MPPJsRcR0

爪'ー`)y‐ フォックス 【能】「守護者」
VIP島守護者のリーダー。
「〜できる」合成。ただし本人の把握していないものは不可。
(例)月を壊せる、海を割れる、等々。

<_プー゚)フ エクスト 【灯】「守護者」
VIP島の施設に明かりを供給している。
かなりの実力の持ち主だが、戦闘的応用は苦手。

/ ,' 3  スカルチノフ 【錘】「守護者」
いっつも寝ているが、実はすごい人。
約1500人が生活している空間全ての強度を保っている。
コンクリートよりも圧倒的に硬いらしい・・・・・・。

{Ξ^ω^} ブーンの父 【順】「八本柱」
認識しているものの順番を入れ替える合成。
(例)風より速く、鉄より重く、など。
認識を超えるモノは合成不可。

J川^ー^し ブーンの母 【原子】「八本柱」
「付加合成」と「創造合成」を行う。
前者は原子の特質を他の原子に与えるもの。
後者は原子を単体で操り、化合物を作り出す。

lw´‐ _‐ノv シュール 【純】「八本柱」
くっつけるだけの合成。非常に単純。VIP島でも多い情報。
(例)大気中の窒素をくっつけ、壁を生み出すなど。



3 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:21:40.06 ID:MPPJsRcR0

( ゚∋゚) クックル 【方向】「八本柱」
これまた、単純。VIP島ではかなり多い情報。
応用によっては、空を飛ぶことも可能。
(例)重力ベクトルを半分上向きにすると、重力に縛られず動ける。

【+  】ゞ゚) オサム 【?】「北の国の国王」
北の国の国王。深い洞察力と、鉄の精神力を誇る。
戦闘時は棺桶を鎧に変化させているため、棺桶を背負っていない。
情報は不明

〈::゚−゚〉 イシ 【空間】「謎の人物」
オサムに対し、唯一敬語を使わない人間。
情報の空間は、同情報合成士の中では現在トップであると考えられる。

ハハ ロ -ロ)ハ ハロ 【?】「子供の世話係」
至近距離での爆発を咄嗟に回避できる能力の持ち主。
土をうまく使っていたみたいだが・・・・・・?
子供たちの世話係をしている

( ∵) ビコーズ 【振動】「北の国の合成士」
振動の質を操ることにより、不可視攻撃や、探査もできる。
割と利便性の高い情報。
幼いころに北の国に連れてこられる。

*(’’)* ヘリカル 【密度】「北の国の合成士」
怒ると口調が乱雑になる。密度の合成士のレベルとしては
さほど高くないが、同年代だけでみると、その力は圧倒的。
ビコーズと同様、幼いころに拉致され、北の国で育てられた。


5 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:25:40.33 ID:MPPJsRcR0


i!iiリ゚ ヮ゚ノル カビン 【?】「?」

ヽiリ,,゚ヮ゚ノi スパム 【?】「?」


12話で出てきた敵。詳しいことは全くの不明。


最強の2人は異国に散った。

ついに本格的な動きを始めた、北の国。
その罠でVIP島の合成士達は、最悪の事態に。


( ^ω^)は合成士のようです 第13話

7 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:28:17.60 ID:MPPJsRcR0

VIP島の上空。はるか高みには一人の人間が立っている。
フォックスの眼下に広がるのは、一つの島とそれを囲む十一の戦艦。

爪゚ー゚)y‐「さぁて。落としましょうか。【左腕】と【割ける】を合成」

急降下、そして海面ギリギリでの方向転換。目の前の戦艦の側面に何かに引っかかれたような跡ができる。
そのまま急上昇して、縦に水面ギリギリまでを抉る。

爪゚ー゚)y‐(おかしい・・・・・・)

十字に抉られ傾いた戦艦からは誰も出てこない。
今にも沈むかもしれない船。
そこから逃げないなどあり得るのか?

爪゚ー゚)y‐「確かめてみますか。【全身】と【貫ける】を合成」

回転を加え、斜め一直線に戦艦をぶち抜く。

爪;゚ー゚)y‐「誰もいない・・・・・・? 操舵室はどこでしょう?」

上から戦艦を見下ろす。一番高い所にある部屋がそうだろう。
再度合成をして部屋に侵入する。

天井を貫いた登場でも人の声一つしない。
だが、無音ではなく人の声でないものは聞こえてきた。



9 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:31:18.52 ID:MPPJsRcR0

(//‰ ゚)アアア・・・・・・もうすぐ爆発します・・・・・・ガー

爪;゚ー゚)y‐「なんですかこれは?」

(//‰ ゚)もうすぐ爆発します

それは録音された音声をひたすら再生する人形。
お情けでも人間とは言えない形をしているが。

(//‰ ゚)もうすぐ爆発します

たった一言を伝えるために作られたそれは、布や綿が飛び出していたり、所々金属が繋げてあったりする。
ただのお遊びだろう。が、幸運にもそれが少なくとも一人の人間を救った。

爪;゚ー゚)y‐「くそっ。【全身】と【飛べる】を合成!」

(//‰ ゚)もうすぐ爆発します

天井の穴から飛翔し離脱する。

(//‰ ゚)もうす

響く爆発音。揺れる大気。
フォックスの目の前の船も真っ赤な光に包まれる。
その中から、何か小さなものが飛んでくる。

爪;゚ー゚)y‐「【右腕】と【弾ける】を合成!」

とっさの合成で弾いたそれは、溶け、焦げた人形の頭だった。

11 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:34:21.83 ID:MPPJsRcR0

一瞬後、同時に十一ヶ所に生まれた大気震動は、島の大部分を覆う森林の葉を散らす。

爪;゚ー゚)y‐「くそ、他の奴らは無事か・・・・・・?」

空を駆け、島の避難所に戻る。中では現状が把握できていず、混乱状態だった。

爪;'ー`)y‐「モラズ! モラズはいるか!」

会議室に駆け込むと、そこには残った守護者と各団のリーダーが集まっていた。

( ・∀  ∀・)「フォックスさん! 手紙が!」

爪;゚ー゚)y‐「それよりも先に、現状把握だ。無事な者はどのくらいいる?」

( ・∀  ∀・)「今報告を受けているところです」

モラズの周りには数十の空間の歪みが生み出されている。

爪;'ー`)y‐「アニジャ!」

( ´_ゝ`)「流石に数百人単位の探索は無理だ、うん。だが死亡者ならさっき調べた。
全二十団600人中死亡者は100余人。大怪我をした奴や、行方不明もいると思う」

爪;'ー`)y‐「・・・・・・そうか」

事前調査をしなかったことが数百人の死亡者を出した。
唇を噛んでも、失ったものは戻らない。


14 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:37:38.04 ID:MPPJsRcR0

了解、と各地から返事が返ってくる。どの声も意気消沈して悲惨なものだった。
モラズの空間を通って帰ってくる者の多くは体の一部が炭になっている。

彼らの負傷を見るたびに、自分の至らなかった部分を責める。

( ´_ゝ`)「とりあえず、手紙を読もう。開けるぞ?」

アニジャの声で現実に引き戻される。
失敗しても自分はやらなければならない、そう心に言い聞かせた。

爪;'ー`)y‐「ん、なになに。避難所が狙われているだと!? 増援を送りたいがしかし・・・・・・」

避難所も全く備えていないわけではない、だが合成士軍団の規模がわからない以上、そのままにしておくわけにはいかない。

( ´_ゝ`)「オトジャたちを帰還させよう。今、避難所に増援を送れば島の防備が疎かになってしまう」

爪;'ー`)y‐「くそっ! いったい、どのくらいの規模で避難所を攻めているんだ!」

怒りの矛先が見つからずに、机を叩いた。

爪;'ー`)y‐「オトジャを帰還させろ」

(;・∀  ∀・)「り了解しました」

重傷者の移動が済み、空間を閉じた。それだけの大合成をしたモラズは大量の汗をかいている。

爪;'ー`)y‐「すまない、この仕事だけ頼む」



15 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:39:24.14 ID:MPPJsRcR0

(;・∀  ∀・;)「ははぁ、ははぁ、緊急通信。こちらVIP島モラズ。」「オトジャ殿、聞こえているか?」

(´<_` )「ああ、聞こえている。こちらは敵の一部隊を殲滅したところだ。上陸直後に見つかってしまった。
何があったんだ?」

(;・∀  ∀・;)「すぐに帰ってきてほしい」「島を囲んでいたのは爆弾を積んだ船で多くの人間が傷ついてしまった」

静かになった戦場から不安の声がちらほら漏れ聞こえてくる。

(´<_` )「そいつは不味いが、帰るほどの事態か? まだ温存戦力がいるだろう」

爪;'ー`)y‐「最強の二人からの連絡で、避難所に敵が向かっているらしい。VIP島から増援を送るつもりだ。
本拠地が手薄にならないようにしたい。戻ってこれないか?」

(´<_`;)「避難所を狙ってくるか。バレてはいない、と思っていたが。
わかった。すぐに帰る」

空間が元通りになって声が聞こえなくなる。

(;・∀  ∀・;)「すすいません、げ限界です」

爪;'ー`)y‐「すまなかったな。部屋に戻って休んでくれていい。
代わりの者はいるか? 空間合成できるものは?」

一人の男が手を挙げる。



17 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:42:13.55 ID:MPPJsRcR0

爪;'ー`)y‐「避難所につなげてもらえるか?」

     「あ、はい。わかりました。ちょっと待って下さい」

    「こちら避難所! こちら避難所! 本拠地聞こえているか?」

合成に集中していた男は大きく口を開けてフリーズしていた。

爪;'ー`)y‐「あ、ああ。こちら、本拠地、フォックスだ」

    「フォックスさん! 大変です。 避難所に多数の戦艦が向かってきています」  

早い。早すぎる。オトジャ達が帰ってくるまで後どれぐらいかかるだろうか。

爪;'ー`)y‐「っく。すぐに応援を向かわせる。それまで堪えれるか?」

    「できるだけやってみます。それでは、早めの応援を頼みます」

迅速な対応が求められる。送るべきか、送らないべきか。

( ´_ゝ`)「少し、休め。送るにしても人員整備をしなけりゃならん。それは俺がしておく」

爪;'ー`)y‐「ああ、すまない」

フォックスは、部屋を出て行った。

( ´_ゝ`)「無傷のやつはここに団番と名前を書いておいてくれ。
出撃していない団のリーダーは、自分の部屋に行って状況説明をしろ」


18 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:45:07.41 ID:MPPJsRcR0

口ぐちに返事をして出ていく。
会議区に残ったのはオトジャ、フォックス、エクストと、これだけの事態にも動じず寝ているスカルチノフだけになった。

<_プー゚)フ「まずいですね・・・・・・」

ずっと黙っていたエクストが口を開く。

( ´_ゝ`)「ああ。状況はかなり悪い」

<_プー゚)フ「せめてあの二人だけでも帰ってきてくれたら違うのですが・・・・・・」

( ´_ゝ`)「手紙にはすぐに帰る、と書いてあったが」

   「た、大変です!」

会議区に駆け込んでくる兵。
手には、赤い手紙。

(;´_ゝ`)「嘘・・・だろ・・・」

最強の合成士には、あらかじめ二種類の手紙を渡していた。
ひとつは連絡用の白い手紙。
もう一つは

<_;プー゚)フ「死んだ・・・・・・?」

二人自身の危機を伝える手紙。

22 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:48:58.98 ID:MPPJsRcR0

(;´_ゝ`)「原子の手紙だけしか来てないが、二人が離れるとは思えん」

<_;プー゚)フ「このことは黙っておきなさい。あなたのほかに知っている人にもそう伝えること」

   「はい!」

男が会議区を出ていくのを確認してからオトジャが口を開いた。

(;´_ゝ`)「ヤバいな・・・・・・」

戦場に立てばそれぞれが一騎当千。向かうところ敵なしだと思われていた。
その二人が落ちた。それが知れ渡れば一気に士気が下がる。

<_;プー゚)フ「とりあえず、打開策を考えなければ」

(;´_ゝ`)「まず、持ちこたえられるだけの戦力を投下、オトジャ達が帰ってきた後に本格的な戦力増強か?」

最初に出て来た案は定石通りのもの。

<_;プー゚)フ「オサムってのはどんな人間なんですか?」

(;´_ゝ`)「俺もそんなに会ったことはないが、なんていうか、変? なんだ。
一手二手どころかもっと先を読んでるような感じだ」



24 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:52:09.33 ID:MPPJsRcR0

アニジャは六本柱として北の国に協力していた頃を思い出して、慎重に口に出す。

<_;プー゚)フ「だとすれば、俺たちが次にうつ一手は定石じゃ足りませんね」

(;´_ゝ`)「どうすればいい? フォックス以外で指揮を出せる人間・・・・・・。
オトジャは今いないし・・・・・・」

と、二人の目線は自然に最高齢者に向く。静かな寝息を立てているスカルチノフ。
元・六本柱にして最強の合成士の一角を担う。

/ 。゚ 3「ワシか?」

常に閉じていた眼は見開かれ、口元には不敵な笑みが張りついている。

(;´_ゝ`)(このジジイ、できんのか?)

<_;プー゚)フ(さぁ。ボケてるって話もありますから)

目線を合わせ声にならない会話をする。

/ 。゚ 3「ならばやってやろう。戦場を指揮するなど久しぶりだ」

立ち上がるやいなや会議区が揺れているのではないかと錯覚するほど大きな声で叫ぶ。

/ 。゚ 3「勝利はVIPにあり!!」

(;´_ゝ`)「で、どうするんだ、ですか?」

頭はおかしくても年上には敬語を使わなければならない、とアニジャは判断した。

26 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:55:14.98 ID:MPPJsRcR0

/ 。゚ 3「ふん。あんな若造の考えてる事など簡単にわかるわい。おおかた避難所の方も囮じゃろうて。
そっちに向かってるときにこっちが狙われるじゃろうな」

(;´_ゝ`)「少しでも時間を稼ぎたいのですが」

/ 。゚ 3「避難所に向うとるのは精々数艦。夜が明けたのちに確認させぇ。
爆弾で船に恐怖を植え付け、今度は完全なおとりの船。若ェもんなら調べることも戸惑うじゃろうな」

<_;プー゚)フ(意外とできる!?)

内心感心するエクスト。ずっと一緒に島を見ていた彼でさえ、
スカルチノフが起きているのをほとんど見たことがないのだから、仕方のない話だ。

/ 。゚ 3「こっちの兵力が島に集中すりゃあ、相手も兵力を集中させざるを得ん。
そこで精鋭だけを向こうに送り、一気にたたく!」

(;´_ゝ`)「向こうにも護衛がいるのでは?」

/ 。゚ 3「寡兵には寡兵の戦い方がある。相手の最強戦力とこちらの最強戦力をぶつける。
これで勝てなければ、数に劣るわしらに勝ち目などない」

スカルチノフはそれだけ言うと再び眠りについた。

(;´_ゝ`)「ジジイの言ってることは正しいと思う。俺は、乗ってみたい」

もしスカルチノフの予想が外れれば、それはVIP島の滅亡に直結する。
だがアニジャにそこまで言わせるほどの説得力を持った言葉だった。



28 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 20:58:35.21 ID:MPPJsRcR0

<_;プー゚)フ「俺も、のろう。あとはフォックスだけか」

( ´_ゝ`)「今は寝かせておいた方がいいだろ。
俺らの仕事は、フォックスが戻ってくるまでに人員整備を終えることだ。
けが人を見てくる」

アニジャが会議区を出て行き、残ったのは二人。

<_プー゚)フ「・・・・・・まさに一発逆転の策、か」

日が昇り、逆転の作戦が実施される。
エクストは会議区でうたた寝をしていたところをたたき起こされた。

( ´_ゝ`)「起きろ、エクスト」

起こしたのは、アニジャ。
その側にフォックスもいた。

<_プー゚)フ「っは! フォックスさん、大丈夫ですか?」

爪'ー`)y‐「だいぶ楽になった。すまなかったな」

弱々しい笑顔には以前より多くの皺が見えた。
一晩で彼の悩みは全て、皺になってしまったのではないかと思えるほどだ。

( ´_ゝ`)「フォックスには俺からジジイの作戦を話しておいた」


30 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:01:49.91 ID:MPPJsRcR0

爪'ー`)y‐「賛成です。私でしたら迷わず救援を送り、負けていたでしょう。
モラズには昨日、まぁ、今日の早朝ですが。だいぶ働いてもらいましたから、今日はこないだの彼を呼んできました」

フォックスの後ろに、空間合成のできる合成士が立っている。

( ´_ゝ`)「では、さっそく頼む」

    「あ、はい。少々お待ちを」

会議区にいる合成士のうち最も若いであろう彼が空間合成をする様子を残りの全員が見守る。
空間の一部に引き込まれるような錯覚を覚える。

    「こちらVIP島、避難所、聞こえますか?」

( ФωФ)「聞こえてるのである。何用か?」

爪'ー`)y‐「ロマネスクか。そちらの様子はどうだ?」

空間の向こう側で騒ぎは聞こえない。まだ、攻撃は仕掛けてきてないようだと、胸をなでおろした。
もし、スカルチノフの予想が正しければ近づいてきてもいないだろう。

( ФωФ)「明るくなってからハッキリとわかったのであるが、相当数の戦艦がきておる。
ただ、どうも、変な感じがするのだ」

爪'ー`)y‐「至急確認してほしいことがある。その戦艦、本物か?」

( ФωФ)「日が昇る前は、細かいところまで見えなかったが、今ならまとまった人数を出すことができる」



32 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:04:08.74 ID:MPPJsRcR0

ロマネスクも突然現れた多数の戦艦に、何か思うところがあるようだ。
話はすぐに決まった。【方向】の合成士数人が戦艦を調べに行く。
あまり近づきすぎず、危険だと思えばすぐに引き返すこと。

( ФωФ)「折り返し、こちらから連絡する」

( ´_ゝ`)「できるだけ急いでくれ」

空間合成をしている合成士が目線をこちらに向ける。
その動作の意図を最初に解したフォックスが答えた。

爪'ー`)y‐「ああ、解いてくれて構わない。御苦労」

    「あ、ありがとうございます。自分はここにいたほうがいいですか?」

( ´_ゝ`)「いや、向こうから連絡がくるし、帰ってもらっていい」

若い合成士は一瞬残念そうにしたが、会議区を出て行った。

爪'ー`)y‐「連絡待ちか」

<_プー゚)フ「・・・・・・。アニジャ」

エクストに促されアニジャが慎重に言葉を選ぶ。

( ´_ゝ`)「先の死亡者と犠牲者を報告する。死者は124人、行方不明者は18人、
戦闘復帰不可能な者が58人で、計200人の戦力が失われた」

感情を出さずに事務的に報告をする。

34 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:05:38.69 ID:MPPJsRcR0

爪'ー`)y‐「そうか・・・・・・。残った者はどうした?」

( ´_ゝ`)「400人は30人ずつに再編成し、13団とした。余った人員は怪我人のバランスを考えて振り分けた」

アニジャは寝ずに部隊を再編させたのだ。
普段はへらへらしているが、必要な時はとてつもない集中力を発揮する。

( ´_ゝ`)「そして、原子から赤い手紙が届きました」

爪;'ー`)y‐「嘘・・・だろ・・・?」

フォックスの驚きはアニジャにとって予想されたものだ。

( ´_ゝ`)「手紙は、ここに」

赤い手紙には所々黒いシミがついている。
それが酸素に触れた血液だと気づくまで、そんな時間はいらなかった。

爪;'ー`)y‐「順、順は?」

もう一人の最強の行方を尋ねる。

( ´_ゝ`)「彼の赤手紙は届いていませんが、一緒に行動していたので、おそらく・・・・・・」

オトジャの予想は、最悪の結果。
フォックスもまた、それを否定することができない。



36 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:08:05.66 ID:MPPJsRcR0

爪;'ー`)y‐「そうか・・・・・・」

希望を失い、絶望が主成分の短い返事。

( ´_ゝ`)「今は、二人は死んだものとして動くことにする」

<_プー゚)フ(この時だけは、オトジャとそっくりだな)

そんなエクストの声は本人には絶対届かないだろう。

爪'ー`)y‐「ブーンには・・・・・・?」

( ´_ゝ`)「生きている可能性がある内は伝えない方がいいかと・・・・・・」

アニジャの考えは正しいだろう。

爪'ー`)y‐「私のせいで、たくさんの犠牲を出してしまった」

( ´_ゝ`)「『気にしないでください』。これは大けが負った奴の言葉だ。
おそらく二度と立って歩くことはできないだろうと思う。だが、やつはまだ望みを捨ててない。
フォックス、あんたのすることは過去を悔いることじゃなく、未来を切り開くことだ」

アニジャはそれだけ言うと部屋から出て行った。

<_プー゚)フ「どこに、行くんですか?」

そんな質問に立った一言、満面の笑みで答えた。

38 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:11:01.85 ID:MPPJsRcR0

そんな質問に立った一言、満面の笑みで答えた。

( ´_ゝ`)+「寝る」

その場にいる全員の目に映った彼は、ひとつ前のセリフよりも圧倒的に輝いて見えた。

爪'ー`)y‐「ああ、構わない。昼頃に今後の方針を決める会議を開く。それまでゆっくりしてきてくれ」

フォックスの言葉にうなずき、アニジャが部屋を後にした。
会議区にはなんとなくあったかい感覚が残る。

<_プー゚)フ(いい仕事を・・・・・・したな)

アニジャが去ってすぐにロマネスクから連絡が来る。
   
( ФωФ)「繋がっておるか?」

爪'ー`)y‐「どうだった?」

( ФωФ)「そちらの予想通りであった。【方向】合成士に調査させたところ、
ほとんどが空間に書かれた"絵"であった。
実際におるのは5〜6艦と見ておる。
それなら現状の兵数でも十分に対応できるはずである」

ロマネスクの報告は最も望んでいたものであった。
これで最悪の結果は回避できた。


41 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:13:53.97 ID:MPPJsRcR0

/ 。゚ 3「これでいい。後は、すぐに準備じゃな?」

いつも寝ている男も、報告を聞いていたようだ。
あれだけ堂々と言い切っても不安は残っていたのかもしれない。

爪'ー`)y‐「その通りです。今すぐ攻めてくるとは思えませんが・・・・・・」

/ 。゚ 3「全面戦争になりそうじゃな。それなりの準備をしてくるじゃろう。
こちらも備えなければならん」

その日は島内の戦力配置の最終確認、現戦力の有効活用方法を話し合っただけに終わった。
帰国したオトジャ達と、起きてきたアニジャもまぜて会議は続いた。
日が沈み、会議内容はほとんど終わった頃、オトジャが口を開く。

(´<_` )「【原子】のことは、ブーンに話すのですか?」

爪'ー`)y‐「決めかねているが、彼はこの戦争に両親が参加していることを知っているから、隠し続けることはできない」

フォックスの反応は是とも非ともとれない。子供に対して親の死を告げることに慣れている者などいない。

爪'ー`)y‐「クックル、どう思う?」

ブーンにヒートのことを話したのはクックルだ。その時の反応から、どうすればいいかも見つかるかもしれない。

( ゚∋゚)「ひどい荒れようだったわ。でも、私は特別扱いすべきでないと思う。他にも親を失った子供もいるだろうから」

lw´‐ _‐ノv 「私も、クックルに賛成です。すべて終わってから、子供たちに話すべきです」



43 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:16:06.82 ID:MPPJsRcR0

二人の意見は一致し、他の者もそれに賛成し始めた。

爪'ー`)y‐「では、すべてが終わってからにする。さて、他に何かあるか?
なければ解散とする」

会議は、ほぼ完全と言っていい状態で終わった。







【+  】゙ゞ゚) 「ククク・・・・・・気づい、たのか」

部下からの報告を聞いたオサムはそれでも笑みを崩さない。

ハハ ロ -ロ)ハ「バレちゃったみたいですね」

【+  】゙ゞ゚) 「かまわ、ないさクク。それなら、全兵力で、叩き潰すのみだ」

オサムは笑うのをやめない。城全てが彼に合わせて震えている錯覚すら受ける。

〈:: − 〉「当初の予定を一週間延期してもかまわないか?」

フードをかぶった大男が部屋に入ってくる。【空間】の合成士、イシ。



45 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:18:50.29 ID:MPPJsRcR0

【+  】゙ゞ゚)「ふん、少々、やりすぎたか。まぁ、いい。なら、処分、しておけ」

冷酷な一言。自分の役に立たない者には一切興味を示さない。
だからこそ、国をここまで大きくできたともいえるだろう。
国にいらないものはすべて切り捨ててきた。それは、民とて例外ではない。

ハハ ロ -ロ)ハ「それじゃあ、あの子供たち、僕がもらっていいですか?」

【+  】゙ゞ゚)「好きに、しろ」

オサムの許可を得るとハロは飛び跳ねて部屋を出て行った。

ハハ ロ -ロ)ハ「ふんふ〜ん」

ハロが部屋を出て向かったのは地下の牢屋。
常に数人が見張っているが、中を覗けばそんなことは必要ないのが一目瞭然だろう。

ハハ ロ -ロ)ハ「オサムどのに、許可を貰ったんで子供たちを僕の部屋に連れて行きますねー」

監視から鍵を受け取り、牢を開けた。中には子供が四人。隅のほうで重なり合って怯えている。

ハハ ロ -ロ)ハ「みんなーでておいで。移動だよ」

明るい声のハロとは対照に、子供たちは返事もせず立ち上がる。
その中に、連れてこられたときは、真赤のキレイな髪をしていた少女を見つけた。



47 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:21:45.09 ID:MPPJsRcR0

今では、痩せこけ、髪も元の色がわからないほど汚れている。
それを見て、考えるハロ。

ハハ ロ -ロ)ハ「うーん、やりすぎたかなぁ?」

子供たちと一人の女性を連れてきたとき、言うことを聞かないので少し痛めつけた。
女性を椅子に縛り、子供たちはその前に拘束した。


──────

────

──

ハハ ロ -ロ)ハ「君たちが言うことをきかないからだよ」

ノパ听)「家に帰して下さい! 私たちは何にもしてないじゃないですか!」

そう、この娘だ。最後まで強気だったなぁ。でも、始まっちゃえばすぐに黙ったけど。

ハハ ロ -ロ)ハ「言うことをききなさい、って言ってるのがわからないの?」

使うつもりはなかったけど、用意していた爪楊枝を取り出した。
椅子に縛った女性の顔が蒼くなっていくのがわかる。

ノパ听)「なにを・・・・・・」



49 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:24:15.70 ID:MPPJsRcR0

いい終わる前に、人差し指の爪の間に爪楊枝を差し込んだ。
悲鳴が響く。訓練されていない人間なんてこれだけで、何でも言うことを聞くだろう。

ノパ听)「!!」

少女もやっと状況に気付いたみたいだ。でも、もうやめなぁい。
親指、中指、薬指、次は左手、左足・・・・・・

ハハ ロ -ロ)ハ「汚ぁいなぁ」

目から鼻から、水分が流れ出てくる。女性の足元は水たまりができていた。

ノハ;;)「やめで、くだざぃ!」

さっきまで威勢の良かった少女も涙を流して謝り始めた。

ハハ ロ -ロ)ハ「んー面白いから、もう少しだけ、ね?」

少女に微笑みかけた。女性の指から生える爪楊枝をぐりぐりと動かすたびに絶叫が上がる。

ハハ ロ -ロ)ハ「今から、そんなのでどうするの」

次は何をしたんだっけ・・・・・・。あ、そうだ。丁寧に皮を剥がしてあげたんだった。
右手を剥がし終わって、からしを塗りこんだときは面白かったなぁ。

ハハ ロ -ロ)ハ「うーん、どうしたのかなぁ?」

子供たちはみんな下を向いて泣きじゃくっていた。


52 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:26:11.46 ID:MPPJsRcR0

ハハ ロ -ロ)ハ「それじゃあ、解体ショーが見せれないんだけど・・・・・・あ、そうだ。
おーい、こっち来てくれ!」

数人の見張りを呼んで、子供たちの顔をこっちに固定したんだった。

ハハ ロ -ロ)ハ「そっれじゃあ、いっきまーす。まず、耳ぃ!」

ペンチで思いっきりひっぱたら思ったより簡単に千切れたんだよね。
両耳が無くなってもあの女性、綺麗だったから嫉妬しちゃった。

ハハ ロ -ロ)ハ「次は、目!」

爪楊枝を取り出し徐に女性の両目に近づけたんだ。目を閉じちゃったから面白くなかったなぁ。

ハハ ロ -ロ)ハ「だいじょーぶ、もうやめてあげるよ」

こうやって言ったときのあの安心しきった顔・・・・・・たまらなかったなぁ。
お礼ににっこり微笑んで刺した。
部屋中に今までよりひときわ大きい絶叫が響いて・・・・・・ふふ。


──────

────

──




54 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:29:25.51 ID:MPPJsRcR0

ハハ ロ -ロ)ハ「おっと、ついたか」

過去の妄想を思い出し、調子に乗りすぎたことを反省する。

ハハ ロ -ロ)ハ「さ、どこでも好きなとこに行きなさい」

一回の裏門前。子供たちを並べて言った。

ハハ ロ -ロ)ハ「うん、オサム殿は君たちを始末するように言ったけどね。私は、別にそんなつもりはないよ。
子供は大好きだしねぇ」

手首につながれた鎖は、ハロが触れたとたんに弾ける。

ノパ听)「どう…いう…こと?」

ハハ ロ -ロ)ハ「ん? 言ったじゃん。殺したくないんだって。どこでも好きなところに行けばいいよ」

子供たちは、巨大な出口の前から動かない。

ハハ ロ -ロ)ハ「んー? 別に後ろから撃ったりはしないよ」

一人が一歩進む。
それに引っ張られるように、もう一人が。
解放された五人の子供達は、全身で光を浴び歩いていった。
その姿を眺めているハロに声がかけられる。



56 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:32:06.60 ID:MPPJsRcR0

〈::゚−゚〉「おい、いいのか? 今ならまだ間に合う」

ハハ ロ -ロ)ハ「うん。どうせ生きていけない」

門はけたたましく閉じられた。



一週間後



【+  】ゞ゚)「さて、準備は、できたか?」

〈::゚−゚〉「おい、十分だ」

大広間は鎧一色で埋まっている。

【+  】ゞ゚)「目標はVIP島だ。落としてこい!」

オサムの声に、その場にいた全員が応えた。

〈::゚−゚〉「おい、行ってくる」

数万の軍隊は一つの個のように動き出した。





58 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:34:14.52 ID:MPPJsRcR0

爪'ー`)y‐「準備は整ったか?」

避難所の会議区、その場所に集まった強襲隊。
そのメンバーには、クックル、シュール、フォックスが選ばれた。

( ・∀  ∀・)「準備できました」

人一人がぎりぎり通れるようなサイズの空間を生み出すモラズ。

lw´‐ _‐ノv「こちらも、できました」

( ゚∋゚)「ええ」

シュールとクックル、そしてフォックスは戦闘用に編み込まれた合成服を着用する。
それは、首から下を覆う漆黒のマント。

( ´_ゝ`)「初めて見たな・・・・・・」

(´<_` )「鉄より堅く、紙より軽い、か・・・・・・おまけに、合成武器内蔵らしいな」

マントを羽織った三人は、並んで立つ。
その前には本島を守る主力メンバー達が集まる。

爪'ー`)y‐( ゚∋゚)lw´‐ _‐ノv

( ´_ゝ`)(´<_` )( ・∀  ∀・)<_プー゚)フ / ,' 3




61 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:37:25.18 ID:MPPJsRcR0

爪'ー`)y‐「では、任せたぞ」

フォックス、クックル、シュールは順番に空間を通り抜けて行った。
三人が通ったのを確認すると、モラズは空間を閉じた。

(´<_` )「さて、敵方もそろそろ動いてくるんじゃないか」

( ´_ゝ`)「だろうな。ここんところ、軍隊が集められているようだし」

アニジャはVIP島の地図の一番大きなものを、会議区のテーブルに広げた。

( ´_ゝ`)「この島、徒歩で移動するのは厳しい。向うは船で来るだろうからな、防衛拠点はVIP島中心部のここだろうな」

(´<_` )「偵察も出した方がいいか? わざわざ遠回りしてくるとは思えないが・・・・・・」

( ´_ゝ`)「いや、人数がいるからな、わざわざ士気が下がるようなことはしてこないだろう」

地図上、VIP島の北に一本の矢印が書き込まれる。

<_プー゚)フ「どのように受けるんだ?」

(´<_` )「向こうの合成士を落とす。そうすれば、勝のは容易い。そのため、モラズと俺の周辺にハイレベルな合成士を置こうと思う。
俺とモラズはここと、ここだ」



63 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:40:38.43 ID:MPPJsRcR0

VIP島の北東部と北西部の二つの点が書かれる。

( ´_ゝ`)「しかし、最強クラスの戦闘要員は、フォックスが連れて行ったからな・・・・・・」

(´<_`;)「個人で、最も戦闘能力が高いのは・・・・・・どいつもこいつも戦闘に向いてないな・・・・・・」

<_プー゚)フ「各団のリーダーから抜き出すか・・・・・・」

(´<_`;)「それがいいな・・・・・・えーっと、各団のリーダーは今すぐ会議区に来てくれ」

空間を繋ぎ、連絡する。すぐに足音とともに30名が集まった。

( ´_ゝ`)「お前たちから敵の合成士と直接戦う奴を選びたい。見ればわかると思うが、俺たちはあんまり戦闘向きじゃないんでね」

30名の中から、特に戦闘向きであると考えられる合成士が6人、選び抜かれた。

('(゚∀゚∩「私たちはどうすればよいのですか?」

選ばれた六名を含め、具体的な戦略案を組み立てる。
朝までかかり、ついに決定した。









66 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:43:33.85 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「お・・・・・・やっと自由だおー」

夜に抜け出したりしていたせいで、軟禁をくらっていた僕とドクオは久しぶりに外の空気を吸った。

('A`)「ったく、暇で暇で・・・・・・」

しばらくしていなかった合成を確かめる。

( ^ω^)「まぁまぁ、かお」

感覚は鈍っていない。これなら、戦闘にも差し支えはないだろう。

( ^ω^)「・・・・・・って何考えてるんだお」

無意識に北の国へ行こうとしていた自分を、責める。
  _
( ゚∀゚)「よぉ、ブーン、ドクオ。やっと出てこれたのか」

( ^ω^)「お! ジョルジュ、元気かお?」

いきなり、空から降りてきた。

( ^ω^)「【方向】合成の無重力移動の練習中かお?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。大分安定してきた」

ジョルジュは、数センチ宙に浮いて、まるで水の中のように自由に移動する。

( ^ω^)「お、ブーンもやってみるお」

68 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:45:55.16 ID:MPPJsRcR0

思い描くのは、ジョルジュと同じさま。
空中を自由自在に移動するイメージ。

( ^ω^)「【体】と【反ベクトル】の合成!」
  _
( ゚∀゚)「ったく、一回でできちまうかよ・・・・・・」

想像を脳内に維持しつつ、ふよふよと空気中を漂う。

( ^ω^)「おーでも、これって結構難しいお・・・・・・」
  _
( ゚∀゚)「そういや、大人の会話が聞こえてくるところを見つけたんだ。こっちこいよ」

何回やってもできなかったドクオは、ジョルジュが運ぶ。
僕はその後ろを必死についていった。
  _
( ゚∀゚)「ここだ、もうすぐ会議が始まるらしい」

( ^ω^)「お・・・・・・」

屋根が薄いのか、中からの声がよく聞こえてくる。
どうやら、北の国との全面戦争が始まるみたいだった。

だが、とロマネスク先生の声が聞こえてくる。

    「最強を失ったので、戦力が足りないのである」

( ^ω^)「え?」


71 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:47:57.41 ID:MPPJsRcR0

下からの声は耳には届かない。
聞き違いであれば、そう思ったが、それはすぐに否定された。

   「ホライゾンの両親がかい? 信じられないのだが」

( ^ω^)「お・・・・・・どういうことだお? 父さんと母さんは最強じゃなかったのかお?」

    「それで、こちらから戦力を追加したいそうなのだが」

手に力が入らない。
  _
( ゚∀゚)「あぶねぇ!」

気がつけば、僕は逆さに吊るされていた。
ジョルジュが僕の足を支えている。

( ФωФ)「ブーン、そんな所でなにをやっているのであるか?」

そう尋ねてきたロマネスク先生の表情は、忘れられないものになった。

(  ω )「父さんと母さんの話は本当なのですかお?」

( ФωФ)「・・・・・・ああ、そうである」

(  ω )「そうですかお・・・・・・」



73 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/06/12(金) 21:50:30.20 ID:MPPJsRcR0

僕は足を思いっきり振り、ジョルジュから自由にして、
そのまま【方向】合成でその場を去った。

不思議と頭の中は冷静だった。

(  ω )「許さないお・・・・・・絶対に、許さないお・・・・・・」



憎しみは一瞬の力を与え、永遠の判断を狂わす。
一つの歯車が、世界を回し始めた。


to be continued...




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内藤エスカルゴ - 完結作品一覧 - ( ^ω^)は合成士のようです - 第13話
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