- 1 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:39:49.02 ID:ksRqmApy0
- 第12話
( ^ω^)「【内藤】と【エスカルゴ】の合成!!」
。 。
ノ ノ
ィ( ^ω^)そ パ
_,,(@ つと )
`ー〜ー〜' ズリーンズリーン
。 。
ノ ノ
ィ( ^ω^ )!?
_,,(@ つと )
`ー〜ー〜'
。 。
ノ ノ
ィ( ^ω^) <はじまるよ
_,,(@ つと )
`ー〜ー〜' ズリーンズリーン
内藤エスカルゴ様の提供でお送りします。
ttp://www.geocities.jp/local_boon/
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:43:07.59 ID:ksRqmApy0
- 今回の話では、複雑な合成が出てきます。
質問がありましたら、聞いてください。
後、終りに説明します。
(ついに、狙い打てたッ)
では、しばしの間お楽しみください
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:44:47.87 ID:ksRqmApy0
-
天に歯向かう牙のようにそびえる塔。それを中心に広がる都市。
中心部は日が沈もうと光を失わない。それは強い光。
郊外には何一つとして光源はないが、それでもうろつくことができるような強い光。
{Ξ^ω^}「多くの犠牲の上に成り立つ光など・・・・・・」
都市の郊外でもさらに辺境、一軒の使われていない家。
訂正しよう。使われていなかった家。
窓際に立った男のつぶやきは隣の女性にも届かない。
J川^ー^し「そろそろ連絡が来てもいいころですね」
傍らの女性はおっとりとした声で問いかける。
{Ξ^ω^}「連絡が来なければ、己らだけで行動すればいい。
アレは届くかどうかわからん」
J川^ー^し「ですが・・・・・・・」
女性がさらに言い募ろうとした時、不意に家が震える。
屋内の空間が中心に向かって引き込まれる。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:47:14.53 ID:ksRqmApy0
-
( <_ )「繋ぐ島より」
密度を増した空間は歪みを生みだし、声を届ける。
{Ξ^ω^}「【神の順序に逆らう者】」
男は窓際を退き、歪みの正面に立って声に答えた。
J川^ー^し「【万物の源】」
(´<_` )「ご無事でしたか。連絡は受け取りました」
二人の言葉が合言葉にでもなっていたのだろうか。ゆがんだ空間の先にいる者は抑揚を表に出す。
{Ξ^ω^}「遅かったな」
(´<_` )「船の上では合成の安定が難しいので。現在、北の国南部海岸に上陸させたところです」
{Ξ^ω^}「ここからどうするつもりだ?」
(´<_` )「【色】の合成士とともにステルス状態で北上します」
事は以前、打ち合わせた通りに動いている。成功すれば間違いなく北の国を潰すことができるだろう。
{Ξ^ω^}「島のほうはどうなっている?」
- 6 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:49:38.42 ID:ksRqmApy0
- (´<_` )「先ほど連絡したので、もうじき艦隊の殲滅が始まるかと」
{Ξ^ω^}「・・・・・・」
(´<_` )「どうしたのですか?」
声しか伝えない空間の亀裂での会話は、沈黙が不安に変わる。
(´<_` )「氏?」
{Ξ^ω^}「いや、すまん。己らは先に出るぞ。まず、首都を混乱させておく」
(´<_` )「我々が到達するまでお待ちいただきたいのですが・・・・・・」
彼はもちろんそれができれば最上なのはわかっていた。しかしどうしても安心しきれない思いが心の隅に残っている。
その不安を取り除くために自ら危険な最前線に赴く、と告げた。
(´<_` )「子供たちの数人が捕らわれている可能性があります」
{Ξ^ω^}「その情報は確かか!?」
冷静な男の声に焦りが入り込む。
(´<_` )「確実ではありませんが、可能性は高いです。それでは、お気をつけください。我々もすぐに向かいま」
空間のゆがみは別れの一言を最後まで伝えなかった。
J川^ー^し「よろしいのですか?」
会話に口を挟まなかった女性が問いかける。
- 8 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:51:17.49 ID:ksRqmApy0
-
{Ξ^ω^}「ああ。まずは君が城に攻撃。己は中に忍び込み気になることを調べてくる」
J川^ー^し「私は構いませんよ」
廃屋からでてきた二人は中心部に向かって移動を始めた。
{Ξ^ω^}「城まで一気に突っ走る。【人の速度】と【風の速度】を合成!」
その場に残ったのは土埃。二人は控え目に言っても人の速度ではない速さで、巨大な城に向かって一直線に進んでいく。
※
(´<_` )「さて、連絡もすんだ。進軍の準備はできているか?」
( ゚∋゚)「ええ」
クックルが最後の船を解体し終えた。解体され、固められた資材は海岸に掘られた穴に隠されていく。
lw´‐ _‐ノv「こっちもおっけいです」
( ゚∋゚)「彼等は?」
- 11 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:52:56.21 ID:ksRqmApy0
-
クックルの質問にシュールも動きを止める。二人の視線を受けオトジャが答える。
(´<_` )「二人は、先に城を攻めるそうだ。私たちは迅速に首都に向かい、派手な陽動役になる」
声に宿るのは信頼。それに尽きる。
lw´‐ _‐ノv「そうですか・・・・・・それなら、行きましょうか」
(´<_` )「クックルを右翼、シュールを左翼、俺を本陣司令官とする。進めぇ!」
合成士軍隊が動き始めた。
大切なものを守るために。
そう、大義をかかげ北の国の首都を目指す。
※
爪'ー`)y‐「さて、私たちもそろそろ行動しないといけない」
オトジャからの報告を受け、覚悟を声に出す。
<_プー゚)フ「・・・・・・ええ。さらに六艦増えていますが、どうされるつもりで?」
爪'ー`)y‐「一艦につき二団にする。全部で二十団を用い、残り一つは私が沈めます」
- 12 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:55:03.06 ID:ksRqmApy0
-
広い会議室にはたった三人。うち一人は深い眠りについている。
爪'ー`)y‐「モラズ!」
部屋の中に声が響き渡る。少しして男が、否、男たちが入ってきた。
( ・∀ ∀・)「はは」
それは到底一人の人間といえる形をしていなかった。
二つの体の頬と体がくっついている。彼は、彼らは双子だった。
生まれる前の物理的衝撃で、体がくっついて生まれてきたこと以外は普通の人と変わらない。
爪'ー`)y‐「第一〜二十団に連絡だ。つなげろ」
( ・∀ ∀・)「り了解」
そのアンバランスな体で戦争に参加するのは難しいだろう。だが、彼らは【空間】合成に長けていた。
そのため、伝令兵として本部に留まることになったのだ。
( ・∀ ∀・)「ダ第一団コンタクト開始・・・・・・二、三・・・・・・十九、二十、か完了」
- 13 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:57:22.27 ID:ksRqmApy0
-
彼らと話すことは二人の人間と同時に話すのと同じだ。
多くの人間が彼らを敬遠する中、フォックスは彼の実力を見抜き本部伝令兵とした。
爪'ー`)y‐「よし。各団に告ぐ。明日の早朝に戦艦十一艦を破壊する。各ポジションに向かい準備をしておけ」
空間の裂け目から返事が聞こえてくる。そしてあわただしく移動する音は直接会議室に聞こえるようになった。
爪'ー`)y‐「エクスト、君とスカルチノフはここにいてもらえるか?」
<_プー゚)フ「それしか・・・・・・できませんから」
残念そうに答える。彼の情報は【灯】。最も戦闘に向かない情報の一つだ。
/ ,' 3「ん・・・・・・気ぃつけぇい」
眠っていた年寄りは一言だけ話すと、再び眠りについた。
爪'ー`)y‐「それでは、外に出てくる」
二人を残し会議室を出る。そのまま、隠れ家から表への階段を昇る。
爪'ー`)y‐(島を囲う艦隊。たしかに巨大だがそこまで高威力な装備が整っているわけではない。
一瞬で沈めれるだろうな)
- 15 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 20:59:17.86 ID:ksRqmApy0
-
頭上を見上げれば燦然と輝く月。その光は島中に降り注ぐ。
まるで島が舞台であるかのように。
世界の中心であるかのように。
( ・∀ ∀・)「明日は早いですし」「お休みになったほうが」
爪'ー`)y‐「同時にしゃべるな、といっただろう。なんて言ったか分かり辛い。
まぁ、気にしてくれるな。残りの時間ひたすら移動し続ける団もあるんだ」
( ・∀ ∀・)「ははい。そそれでは」
モラズは階段を下りて行った。
爪'ー`)y‐(オトジャ達、あの二人は無事に作戦を開始できるだろうか・・・・・・)
フォックスに心配事はなかった。オトジャは頼れる存在であり、あの夫妻は最強だ。
爪'ー`)y‐(だが、気にかかることがある。子供たちは連れ去られているのではないか?
そして、オサムは本当にこれだけ大規模な動きに気付いてないのか?)
時間はあっという間に経過し、計画実行の時が来る。
階段から再びモラズが顔を出した。
- 16 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:01:32.30 ID:ksRqmApy0
-
( ・∀ ∀・)「時間です」「全団配置につきました」
爪'ー`)y‐「そうか・・・・・・。全団、かかれぇい!!」
それぞれの目標に向かって攻撃を開始する。陸から砲撃するもの、空から中に侵入するもの。
爪'ー`)y‐(私も行くか)
( ・∀ ∀・)「お一人で行くつもりですか?」「危険では?」
爪'ー`)y‐「私も、最強の一端を担っているのを忘れないでくれたまえ」
フォックスは目の前の一艦にむかって駆け出す。
爪゚ー゚)y‐「【全身】と【飛べる】を合成!!」
真上に急上昇し、ある程度の高さを得たところで戦艦に向かって接近する。
( ・∀ ∀・)「御無事で」
その様子を下で見ていたモラズは、飛翔を見送ったのち、隠れ家への階段を下りていった。
爪゚ー゚)y‐「見せてやろう、不可能を可能にする合成を・・・・・・」
- 19 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:04:03.88 ID:ksRqmApy0
-
※
{Ξ^ω^}「仕掛けるぞ」
J川^ー^し「はい」
巨大な塔の足元。小さな建物の中。
※
lw´‐ _‐ノv「やっぱり見つかましたね」
(´<_` )「当然だろ、だが装備を見るにおそらく一般兵だ。
恐れる必要はない」
軍隊の見つめる先には即席の塹壕。そこからは近代兵器がのぞいている。
※
{Ξ^ω^}
爪゚ー゚)y‐ 「開戦だ!」 (´<_` )
- 21 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:06:37.07 ID:ksRqmApy0
-
※
城のすぐ近くの家。埃の積もった部屋の中、多重戦線最初の火ぶたが切って落とされようとしていた。
{Ξ^ω^}「さっき話した通り、君は外で敵を引き付けておいてくれ」
J川^ー^し「わかりました。では、早速」
女性は両手を広げ目を瞑った。
J川^ー^し「【窒素】と【酸素の性質】を合成」
マッチを擦り火をおこす。
その小さな火は酸素で作られた城への道のなかを、大気中のゴミを燃やしながら走る。
クリスマスの飾りのように城の周囲が光り・・・・・・その後、城の側面数ヶ所から爆音とともに火の手が上がった。
- 23 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:08:28.91 ID:ksRqmApy0
-
{Ξ^ω^}「さすがにあらかじめ仕掛けておいたのには気づいてなかったみたいだな。
それでは、しばらくまかせた」
男は正門から堂々と侵入していった。すれ違いざまに驚く敵兵を吹き飛ばしていく。
J川^ー^し「それでは、私はここで(あまり近接戦闘は向いてませんからね・・・・・・)」
際限なく飛び出してくる兵は凶悪な近代兵器で武装している。
J川^ー^し「さぁ、原子の合成、お魅せしましょう」
暗い部屋の中で合成を始める。
使用するのは水、木の屑、そして、大気中の窒素。
J川^ー^し「原子は十分。作り出すのは爆弾。トリニトロトルエン(TNT)!」
それぞれの化合物から原子を取り出し、それらを繊細に結合していく。
外から見ればただ眼を閉じているだけの女性。
が、彼女の右手の上に複数の黄色い結晶が着実に成長していく。
J川;^ー^し「はぁ、はぁ・・・・・・」
- 25 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:10:12.37 ID:ksRqmApy0
-
原子を自由に操る合成。圧倒的応用力を持つが、彼女以外の人間では碌に使いこなせないであろう。
J川;^ー^し「九つ・・・・・・少ないですね」
少し大きめの黄色い欠片。
衝撃を与えることによって周囲に多大な被害を与える物質。
J川;^ー^し「まずは、一つ・・・・・・」
女性はそのうちの一つを窓から外の兵士たちに向かって投げ、直ぐに身を隠した。
轟音と震動が同時に襲い掛かってくる。着地地点にいた兵士たちは呻きながら倒れ、付近の窓ガラスは粉々に吹き飛んでいる。
J川;^ー^し(移動しないといけませんね。民間人の被害が少ないといいのですが・・・・・・)
裏口から外に出た女性は住宅密集地を駆け抜ける。
J川;^ー^し(ここまでくれば直ぐには・・・・・・)
徐々に騒ぎが大きくなる。
J川;^ー^し(捕まる前に離脱しなければなりませんね)
- 26 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:11:48.00 ID:ksRqmApy0
-
「テロか?」
「わかりません」
「何もないところで爆発するはずがないだろ!」
「そこの家から何か飛んできて、地面に着いたと同時に爆発が起こったそうです」
J川;^ー^し(声が大きすぎですよ。全部聞こえてるじゃありませんか)
イライラしている上司ととばっちりを受けないように必死な部下。
J川;^ー^し(これなら時間を稼ぐのも簡単そうですね・・・・・・)
「裏口から逃げたんだろう! 探せぇ! 中に入ってきたやつはどうした!?」
「今、戦力を増強しています。どうやらVIP島の八本柱のようです」
「なんだとぉ? あいつら裏切りやがったのか!!」
J川;^ー^し(っと彼の援護もしないといけないわけですね)
- 27 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:13:01.39 ID:ksRqmApy0
-
「と、とりあえず、中のやつを捕まえろ!」
J川;^ー^し「させませんよ。【TNT】と【水素の性質】を合成!」
黄色い欠片は城に向かって放られ、初速を維持し城の上空を進んでいく。
J川;^ー^し「合成、解除」
大気中での浮遊能力を失った、輝く太陽のかけらは自重で落下する。
欠片が当たったであろう城の一部は、火の手を上げ瓦解していく。
J川;^ー^し「これで、少しはこっちに兵が集まるでしょう」
「早く探し出せぇ!!!!」
兵の喧騒がどんどん大きくなってくる。さらに戦力を増強したのだろう。
J川;^ー^し「ここも危ないかもしれませんね」
女性はさらに奥の住宅街に向かって走る。
J川;^ー^し「はぁ、はぁ(まだ人が起きてくる時間ではりませんし、この辺にいれば大丈夫でしょう・・・・・・
そういえば、どのくらいの時間を稼げばいいのか聞いてませんでしたね・・・・・・)」
- 29 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:14:38.35 ID:ksRqmApy0
-
ポケットから黄色い欠片をとりだし、城に向かって構える。
{Ξ^ω^}「もういい」
後ろに構えられた手は、男性に止められる。
J川;^ー^し「お帰りなさい。どうでしか?」
{Ξ^ω^}「子供たちが連れてこられたかどうかは知らなかったみたいだが、別の情報を得られた」
かなりの移動距離があったはずだが、汗一つ書いていない。
J川;^ー^し「それは?」
{Ξ^ω^}「私たちの避難所に敵が向ってるらしい」
J川;^ー^し「!? 本当ですか?」
驚きを隠せない。用意周到に練っていた計画だったのだ。
ばれていたとは思えない。
{Ξ^ω^}「ああ。中で夜勤の奴数人に問いただした。"手紙"はあと何枚ある?」
女性は懐から取り出した紙の枚数を数える。それは、連絡用の手紙。
島へ向かうよう合成されており、二人の貴重な連絡手段であった。
- 30 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:16:07.18 ID:ksRqmApy0
-
J川;^ー^し「三枚です」
{Ξ^ω^}「そうか。VIP島に一枚送れ」
"手紙"は女性の手から離れ南に向かい滑るように飛んでいく。
J川;^ー^し「私たちは?」
{Ξ^ω^}「すぐに帰還し、避難所防衛線に手を貸す」
「それは、困る」
J川;^ー^し「!?」{^ω^;Ξ}
暗闇から姿を現した人影。それは紛れもなくこの国の頂点に立っている男。
背景さながらの漆黒のマントと巨大な棺桶。
常に堂々と椅子に座っていた男が目の前にいる。
【+ 】ゞ゚)「何を、驚いて、いる?」
- 32 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:18:04.47 ID:ksRqmApy0
-
幼子に語りかえるように文を細かく切る話し方。
病を患っているのではないかと思うほど真っ青な顔。
{Ξ;^ω^}「気づいて・・・・・・いたのか?」
この男が放つ圧倒的プレッシャー。ただ向かい合って立っているだけで心臓の鼓動は早くなり、鳥肌がたつ。
それは、VIP島最強合成士でさえ正面切って向かい合いたくないほど。
【+ 】ゞ゚)「気づかん、など、ありえん」
認識が甘かった、そう思った。一世一代で北の国をここまで強大にした男を、心のどこかでなめていたのではないか?
そう自問自答する。答えはYesだ。
J川;^ー^し「わざわざ出てきていただけるとは。探しに行く手間が省けましたね」
気丈にふるまってみても、冷汗は止まらない。だが、自分はひとりではない。
隣には長年ともに歩いた最高の最強がいる。その思いが彼女に力を与える。
【+ 】ゞ゚)「」
それは、一瞬。油断はしていなかった。だが、女が気付いた時には、転送は始まっていた。
オサムが放った言葉は傍らの男にしか届かない。
{Ξ#^ω^}「貴様ぁ!!」
【+ 】ゞ゚)「なぁに、邪魔者を退けただけさ」
- 34 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:20:23.14 ID:ksRqmApy0
- 男も隣の女性の転送に気付かなかった。オサムにばかり集中力が向かっていたことを悔いる。
もう一人、いるとは思わなかった。
〈:: − 〉「おい、邪魔したか?」
【+ 】ゞ゚)「かまわん」
フードをかぶった大男が現れた。玉座の隣に常に立っていた男で間違いない。
オサムに敬語を使わずに話していたのは、その大男だけだった。
合成士だということは知らなかったが・・・・・・。
{Ξ#^ω^}「場所を変えよう」
合成士同士がぶつかれば周囲への被害は甚大なものになる。民間人を巻き込むつもりはない。
【+ 】ゞ゚)「ィシ」
〈:: − 〉「おい、ああ」
※
J川^ー^し「っ!」
気づけば、敵兵の正面。きれいに隊列を組み、待機していた。
それぞれが、銃器と呼ばれるもので武装をしている。
- 35 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:21:41.98 ID:ksRqmApy0
-
( ・3・)「どうも、六本柱、ゲンシさん。わたくし、ぼるじょあ、と申しましゅ」
ぼるじょあは隊列には入っておらず、一人だけ前に出ている。
隊を指揮しているものだろう、という予測は簡単につく。
J川^ー^し「私をどうするつもりですか?」
ただただ、時間を稼ぐことを目的とした質問。
ここはどこなのか。抜け出すにはどうすればいいのか。
彼女の頭は解決案を見つけるためにフル稼働する。
( ・3・)「どうするって、決まってるじゃないでしゅか。。死んでもらうんでしゅよ」
J川^ー^し「っ!」
それは残酷な宣言。勝者が敗者に告げる圧倒的で一方的であるもの。
彼は、ぼるじょあは、見誤っていた。
オサムに、ここに八本柱の一人を飛ばすから待機しておけ、と言われていただけだったから。
考えることもしていなかった。百数人の部隊にたった一人で対抗できる人間がいるということを。
- 37 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:23:30.74 ID:ksRqmApy0
-
( ・3・)「どうやって死にましゅ? なんならここにいる兵士の相手でもしましゅか?」
だから、自らの愉悦を満たすために、会話を引き延ばす。
時間を与える。
J川^ー^し「下衆・・・・・・」
( ・3・)「あるぇ〜? そんなこと言っていいんでしゅか?」
小型の銃器を構えるぼるじょあ。
大きく息を吸う女性。
J川;^ー^し「・・・・・」
( ・3・)「死ぬのは嫌でしゅか? なら服を脱いで許しを乞うのはどうでゅか?」
気づかない。自分の周りに起きている微細な変化に。
J川;^ー^し「そろそろですか・・・・・・?」
( ?3?)「何をい・・・・・・って・・・・・しゅ」
泡を吹いて倒れるぼるじょあと兵士たち。
J川;^ー^し「はぁ、はぁ。ここは・・・・・・?」
開けた場所ではあるが、近くに城があることから城下町は出てないだろう。
- 40 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:26:51.73 ID:ksRqmApy0
-
( ∵)「強者・・・・・・」
*(‘‘)*「確かになの」
倒れた兵士の束の向こう、立っているのは二人の幼子。
だが、溢れ出す殺気はぼるじょあの比ではない。
J川;^ー^し「あなたたちは・・・・・・?」
( ∵)「初見」
*(‘‘)*「初めましてなの。【原子】。さっきのはどうやったの?」
気安く話しかけてくる二人。すぐに撒けるか、と考えたが、そうはいきそうにない。
J川;^ー^し「敵であるあなたたちに話すことはありません。どきなさい」
( ∵)「拒否」
*(‘‘)*「逃げようと思わないでくださいなの。私たちにも仕事があるの」
J川;^ー^し「まだ、先が長いので死に急ぐ必要はありませんが」
ポケットから取り出したのは黄色いかけら。高威力の劇物。
再三の警告も無駄だった。それなら、と彼女は欠片を二人のほうへ放った。
- 42 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:28:57.29 ID:ksRqmApy0
-
轟音と震動。
爆発で死んだ者の死体など見たくはないが、確認だけ使用と爆心を見ていた。
爆風と砂煙が晴れたとき、巨大な土の壁に熱も爆風も遮られていることを知った。
そして、もう一人の人物の登場に気付く。
ハハ ロ -ロ)ハ「やぁ! 二人とも早い。僕がいなけりゃどうするつもりだったんだい?」
場に似合わないほど明るい女性。だが、この女には見覚えがあった。
昔から、両耳にガラスのイヤリングをつけていた。
J川;^ー^し「ハロ!」
ハハ ロ -ロ)ハ「んーひっさしぶり! ロマは元気?」
彼女たちと同時代にVIP学園に入学した少女。
ハロは彼女の目標だった。
合成ができなかった彼女と比べ、ハロは入学当初からかなりレベルの高い合成能力を有し、
あらゆるもののベクトルを捻じ曲げていた。
そして、ロマネスクの情報発見の手助けをした。
- 44 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:31:27.75 ID:ksRqmApy0
-
J川;^ー^し「行方不明になったと思っていたのですが・・・・・・北の国に加担してるとは思いませんでした」
ハハ ロ -ロ)ハ「まぁ、そう言わずに。まっさか戦争になるとはねぇ。僕は連れてこられた子供たちの世話をしてたんだ。
ひどい目にあったらかわいそうだから」
J川;^ー^し「後ろの二人も・・・・・?」
少年少女はハロの後ろに並んで立っている。
ハハ ロ -ロ)ハ「そだよー。子供はあと数人いるよ。
この子たちはかなりちっさい頃に連れてこられたから、そんなに苦労しなかったけど。
残りの子たちは言うこと聞いてくれなくてさぁ」
脳内に電撃が走る、とはこのことだろう。
J川;^ー^し「まさか・・・・・・避難所に向かう舟を?」
ハハ ロ -ロ)ハ「みたいだね。僕にゃ関係ないことさ。それに・・・・・・もう壊れちゃったから」
壊れちゃった。子供が興味のないおもちゃを捨てるような気軽さで出てきた。
思えば、子供のころからハロは少し変わっていた。
小さな虫を簡単に殺すし、壊れやすいものを非常に大事にしていた。
それが壊れた時なんかは数日間精神が落ち着かない状態だった。
J川;^ー^し「何を、したのですか?」
- 45 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:34:16.04 ID:ksRqmApy0
-
ハハ ロ -ロ)ハ「したのは、僕じゃなくてオサムどのさ。うん、みんなひどく怯えてたなぁ・・・・・・。
後は・・・・・・一緒に捕まった大人の人がいなくなってたかな?」
脳だけではなく、全身に電流が流れた。
ヘラヘラ笑っているハロは人間のようで、そうではない異様さを醸し出している。
J川;^ー^し「あああああ!!」
叫ばずにはいられなかった。一時期、目標であった女性は、すでに別人。
そして、捕まった子供たちを助けなければいけない。
集中をし、合成をする。それだけで確実にここにいる人間は葬れる。
それだけの自信があり、なおかつ実力が備わっている。
J川;^ー^し「ああぁぁっあ!!」
響き渡る短音。
それが銃声だと気づいたときには前かがみに倒れていた。
右足から熱が伝わってくる。熱くなりすぎていた。
そのことが倒れた兵士たちの存在を頭の隅に追いやっていた。
(#・3・)「許さないんでしゅ。とっとと死ねでしゅ」
- 47 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:36:20.89 ID:ksRqmApy0
-
一発、二発、三発。
弾は残った四肢を穿っていく。
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたも、壊れちゃうんだね?」
ハロが見せたさみしい顔は、やはりおもちゃを壊してしまった子供そっくりだった。
(#・3・)「はぁ、はぁ」
世界が滲む。胸ポケットから緊急用の赤い手紙を取り出し、放つ。
それはすぐに南へ向かって飛んでいく。
(#・3・)「い、今のはなんなんでしゅか? 答えるでしゅ!」
また、銃声が響く。
すぐに意識を失わないことから致命傷は避けられているのだろう。
J川;^ー^し「っふ! さっさと止めを刺さないからこうなるのですよ」
命を削り、大気を合成した。大気中にある窒素に酸素の性質を付加する。
そしてポケットに手を入れ、すべてのかけらを取り出し、安全のための合成を解いて、地面に叩きつけた。
熱は感じなかった。最期に思い浮かんだのは、成長した子供の顔だった。
- 48 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:38:28.34 ID:ksRqmApy0
-
※
三人を囲むように光の輪ができる。それは同時に三人を別の場所へ運ぶ合成。
ほんの一瞬で、あたりに民家がない開けた場所に出てきたのがわかる。
{Ξ#^ω^}「あいつをどこにやった?」
【+ 】ゞ゚)「お前の、勝利で、教えよう。だが、一生、来ないだろうが」
腰に下がった長剣を鞘から解き放つ。一瞬で終わらせるつもりだった。
だが、不可解なことが起き、思考で腕が止まってしまった。
ここで腕を止めることがなければ異なる結果に終わっていただろう。
オサムが側近の大男、確かィシといったか、を下げた。
{Ξ#^ω^}「何がしたい?」
【+ 】ゞ゚)「? 何を、言っている?」
純粋な質問だったのだろう。だが、相対する男はそれで切れた。
{Ξ#^ω^}「もういい。死ね」
、、、、、、、、
構え、繰り出す攻撃は刺突。風よりも速く接近し、突き出した攻撃はオサムを後方へ弾き飛ばした。
- 49 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:39:52.26 ID:ksRqmApy0
-
{Ξ#^ω^}「!?」
手に残る感触は人を貫いたそれであるはずがない。オサムは砂埃を払って立ち上がったからだ。
そして大声で叫ぶ。
【+ 】ゞ゚)「突然変異だ!!」
背負った棺桶がオサムを覆うように鎧となり、武器となる。
( ゚ゞ゚)「驚いただろう?」
{Ξ#^ω^}「そういうことか・・・・・・」
ィシを下げた理由が納得できる。
( ゚ゞ゚)「先祖に、合成士の一族がいたのかも知れんがな」
普段の口調は消え去り、急に饒舌になる。
お前と喋るのはこれで最後だ、と言わんばかりに。
{Ξ#^ω^}「時間の無駄だ」
再び剣を引く。
- 50 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:41:56.59 ID:ksRqmApy0
-
( ゚ゞ゚)「ははははは!! お前の合成は知っているぞ! 【順】だろう!」
不快な唸り声を上げ巨大な爪が地面を抉る。
{Ξ#^ω^}「情報から導き出せる合成は数千、数万ある。その知識の意味はない!」
オサムの攻撃動作が終わるころには剣を突き出す。
が、今度は受け止められ、弾き飛ばすこともできなかった。
( ゚ゞ゚)「合成とは便利なものだなぁ!」
振り上げられた爪は、またも無駄に振り下ろされた。
{Ξ#^ω^}「ちぃ」
オサムの攻撃はただ爪を振り下ろしてくるだけであって、全く恐怖はない。
だが、攻撃が通らないため、ダメージを与えることもできていない。
このままでは、無駄に時間が消費してしまう。
早期決着をつけなければ、避難所が危ない。
そんな考えが脳の中を行ったり来たりする。
{Ξ#^ω^}「これならっ!」
生まれる焦りを無理やり抑え込み、剣を振るう。
- 51 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:43:10.26 ID:ksRqmApy0
-
( ゚ゞ゚)「はっ!」
剣にかぶさるように迫る爪。それを避けようとすぐに距離をとった。
甲高い音とともに剣先がたたき折られ、半分の長さになる。
( ゚ゞ゚)「お前・・・・・・本当に最強か?」
{Ξ#^ω^}「・・・・・・」
質問には答えない。
( ゚ゞ゚)「答えぬのなら、別に答えんでもよい」
{Ξ#^ω^}「はっ・・・・・・」
繰り返される爪の攻撃。上から振り下ろす右手。
地面に突き刺さったそれを起点に宙を舞い降りてくる両足の爪。
( ゚ゞ゚)「ははははは」
それらの連続攻撃を避け、潜り、受け流す。
{Ξ#^ω^}「温存して貴様を倒す、というのは無理なようだな。合成に慣れていないのなら、と思ったが・・・・・・」
- 52 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:45:44.40 ID:ksRqmApy0
-
( ゚ゞ゚)「そんな事を考えていたのか?」
攻撃をやめ、立ち止まる。それだけの余裕がオサムにはあるのだろう。
折れた剣をしまい、精神を集中する。
{Ξ#^ω^}「全ての並びを奪う【順】の合成」
( ゚ゞ゚)「ふん・・・・・・」
オサムは受け身の体勢を取る。が、それはすぐに無意味なものになった。
{Ξ#^ω^}「風より早く」
呟き、オサムの後ろに移動した。
{Ξ#^ω^}「鉄より堅く、重く」
出した拳は最短経路を辿ってオサムを襲う。
( ゚ゞ゚)「のぁ!」
吹き飛ぶ。だが、やはりそれだけ。少し離れたところで何事もなかったように起き上がる。
{Ξ#^ω^}「っ!」
- 54 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:47:46.18 ID:ksRqmApy0
-
( ゚ゞ゚)「お前の攻撃は軽・・・・・・い゙」
{Ξ#^ω^}「これでも軽いか?」
組んだ両手で思いっきり殴りつけた。
( ゚ゞ゚)「くそがぁぁ」
体勢を崩した状態で放たれる足払いなど当たるはずもない。
{Ξ#^ω^}「おおぉぉ!!」
折れた剣を抜き、鎧の隙間へ突き出す。
( ゙ゞ゚)「があぁぁぁ」
それは左の眼球を割いたところで止まる。
変化した鎧が剣を固定し、とげ状になりオサムの周り360°を覆う。
{Ξ#^ω^}「っくそ」
鎧を変化させた棘に弾き飛ばされる。
とっさに全身を【鉄より堅く】合成したことにより、ダメージを最小限に抑えた。
- 55 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:49:49.09 ID:ksRqmApy0
-
( ゙ゞ゚)「あぁぁぁぁ」
一直線に影が伸びる。それは質量のある影。棺桶を合成したもの。
{Ξ#^ω^}「おぉ!」
強化した右手で攻撃をはじいた。
{Ξ#^ω^}「!?」
弾かれた影は鞭のようにうねりそのまま右手にからみつく。
( ゙ゞ゚)「はぁ、はぁ、捕まえたぜぇ。ィシ!!」
{Ξ#^ω^}「しまっ!」
〈:: − 〉「おい、なんだ?」
オサムの合図で下がっていた大男が出てきた。
( ゙ゞ゚)「半分にしてやれ」
〈:: − 〉「おい、ああ」
光の輪が腹のあたりに現れる。
右腕にまとわりついていた影は今や全身の自由を奪うほど。
{Ξ#^ω^}「・・・・・・くそ」
- 57 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:51:57.85 ID:ksRqmApy0
-
小さく悪態をついた。何かより上、を合成する【順】の情報は、理解していないものの上をいくことはできない。
星より重く、光より早くなどがそうだ。
男は右腕に巻きついている物質は修の棺桶から作り出されたもの、つまり鉄であるが、
それを断てるものの存在を知らなかった。
{Ξ#^ω^}「仕方ねぇ。【左手】と【剣より鋭く】の合成」
振り上げた左手は躊躇いなく右腕を肩から影とともに削ぎおとした。
( ゙ゞ゚)「!」
{Ξ#^ω^}「これでお互い傷を負ったな」
( ゙ゞ゚)「ははははは。面白いぞ、順! だが、もうおしまいだ」
オサムの装甲から無数のロープが迫る。
ロープが伸びることに比例して装甲は薄くなっていく。
ある程度距離をとったところでひたすら回避し、チャンスを窺う。
{Ξ#^ω^}「止めだ!」
風のごとき速さで鉄のロープを振りほどき、背後に回る。
最後の一撃を振りかぶったところで制止の声が響いた。
- 59 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:54:51.10 ID:ksRqmApy0
-
〈:: − 〉「こいつがどうなってもいいのか?」
ィシが抱えているのは小さな子供。髪の毛は汚れ、目は虚ろになっている。
{Ξ#^ω^}「!! やはり貴様らがっ!」
( ゙ゞ゚)「よくやった」
オサムの賛辞がィシに贈られた。
全身にロープを巻かれた男は悔しさを表現するために歯ぎしりをする。
{Ξ#^ω^}「人質とはっ、卑怯な!」
唯一残った自由な部分を使って非難する。
( ゙ゞ゚)「さぁ、終演だ。ィシ!」
先刻と同様に光の輪が腹部に出現する。
{Ξ#^ω^}「すまねぇ・・・・・・」
目をつむり謝罪を呟く。それは常に共にいた最強の女性に対して贈られたものだろう。
- 60 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:56:44.04 ID:ksRqmApy0
-
目を開けた時、強い光が視界を覆った。
それが何だったのかは彼にはわからずじまいだった。
光の輪は閉じ、上半身だけになった男はもう反応することもない。
オサムはそれを足蹴にする。
〈:: − 〉「おい、目は治せんのか?」
( ゙ゞ゚)「こんな繊細な器官は下手に合成できん。この糞が」
左目を抑える。出血は止まっていたが眼球が損傷していて、自然に治る見込みはない。
〈:: − 〉「おい、城に帰るか?」
( ゙ゞ゚)「途中でハロ達を拾え」
〈:: − 〉「おい、ああ」
ィシの空間で移動する。移動先はさっき女を飛ばした場所だ。
移動が終わって最初に気付いたのは何かが焼けた臭い。
- 62 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 21:58:44.58 ID:ksRqmApy0
-
ハハ ロ -ロ)ハ「あ、オサムどの。すいませんー」
( ゙ゞ゚)「何があった?」
ハハ ロ -ロ)ハ「みんな死んじゃった」
黒こげになっているのはよく見ると武装した兵士たち。
無事なのはハロと二人の子供だけだった。
( ∵)「謝罪」
*(‘‘)* 「ごめんなさいなの。自殺されたんですの」
( ゙ゞ゚)「構わん。所詮ただの人間だ。お前らが無事でさえいたらいい」
右目から流れ出る血に気付いたハロが聞いた。
ハハ ロ -ロ)ハ「それより目は大丈夫ですかー?」
( ゙ゞ゚)「こちらも手間取った。ィシ、城に帰るぞ」
再度光の輪により移動を開始する。
小さな明かりしかない玉座の間に移動した。
- 63 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 22:00:43.24 ID:ksRqmApy0
-
オサムは椅子に座り、他の人員はその前に跪く。
オサムが口を開いたとき、静かな空間を破る声が響いた。
i!iiリ゚ ヮ゚ノル ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「おかえりー」「えりー」
ハハ ロ -ロ)ハ「二人とも、座りなさーい」
i!iiリ゚ ヮ゚ノル ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「はーい」
声をそろえて返事をすると二人の少女はおとなしく座る。
( ゙ゞ゚)「さて、聞いてほしい。我々はついに動くことにする。
VIP島を落とせば我々に敵う戦力を持つ国はなくなる。
偽りの情報で島の護衛は薄くなっているだろう」
声は反響し、何倍のも恐ろしく、激しく聞こえる。
- 66 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 22:02:49.90 ID:ksRqmApy0
-
( ゙ゞ゚)「お前たちのうちから数人を残し、残りには島を攻めてもらう。おそらく、反撃の一手がくる。
それに対応するためだ」
i!iiリ゚ ヮ゚ノル ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「攻めるー」「めるー」
( ゙ゞ゚)「誰がどうするかは我が決めておく。もう下がってよい」
太陽が顔を出す時間、暗い部屋の中。一つの決定が言い渡された。
それはVIP島にとって最悪の決定。
世界は加速を始める。
空いた二つの穴は埋まらない。
壊れたものは戻らない。
思い出は心の中にだけ。
to be continued...
- 70 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 22:11:02.93 ID:ksRqmApy0
- 今回の投下は以上です。
なれない第三者視点、ちろいろとおかしなところもあったかと思いますが、ご了承ください。
支援ありがとうございました。
では、【順】と【原子】の説明を少々。
{Ξ^ω^} ブーンの父親
情報は【順】
その名の通り順番を入れ替えるもの。
本人が認識していてるものであれば入れ替え可能。
J川^ー^しブーンの母親
情報は【原子】
原子を操る合成が可能。
大気中の窒素に酸素の性質を付加する合成などの『付加合成』と
それぞれの原子を単体として扱い、新たな化合物を生み出すなどの『創造合成』
をつかいわけてます。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 22:15:03.87 ID:BERjQcbG0
- ちょっと思ったんだけど、最強の合成って決めれないよな
使う人間の発想次第でどの合成も無限に応用できるかと
- 72 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 22:19:17.78 ID:ksRqmApy0
- >>71
そうですね。基本的には最弱の合成でも発想と努力によっては最強を打ち破ることができると思います。
- 73 名前: ◆gMIGdyOjeA :2009/04/25(土) 22:20:46.75 ID:ksRqmApy0
- 本文中の「最強」は便宜上であって
「最も強い=一人」という使い方はしていないつもりです。
追加