- 7 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:38:58.93 ID:bXHC7kE00
-
「よくやってくれた。報酬はむこうで払う」
( ゚∋゚)「船で運べばいいの?」
「ああ。すでに用意してある」
( ゚∋゚)「わかったわ。今日晩出発する」
「同じ轍は踏むなよ」
( ゚∋゚)「信用がないみたいね」
「ふん。貴様らみたいな化物が何を考えているかなんてわからんからな」
( ゚∋゚)「化物、ね。必要ないものは存在しないわ」
「何を言っている?」
( ゚∋゚)「なんでもないわ」
( ^ω^)「う・・・・・・ん」
( ゚∋゚)「目を覚ましたわ。また後で」
- 8 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:40:37.03 ID:bXHC7kE00
-
( ^ω^)「ここは・・・・・・?」
記憶がはっきりしない。
( ^ω^)「確か、ヒートとジョルジュの、!」
両腕が縛られていて、身動きが取れない。
おまけに目隠しまでされていた。
( ^ω^)「誰かそこにいるのかお?」
( ゚∋゚)「いるわよ」
声は前方から聞こえてきた。その声は意識を失う前に聞いたものと同じだ。
低いトーンなのに変な女喋りをしている。
( ^ω^)「なんでこんなこと・・・・・・」
言いかけて口をつむぐ。
「最後になるかもしれないのです」
ダイオードさんの言葉が胸のうちによみがえる。
(;^ω^)「そん、な・・・・・・。か、帰りたいお!!ブーンは北の国なんかにいきたくないお!!」
- 9 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:42:34.14 ID:bXHC7kE00
-
心臓が普段よりも何倍も早焼く動いているように感じる。
( ゚∋゚)「うるさいわよ!!猿轡をかまされたくなかったら静かにしなさい!」
( ;ω;)「ぐすっ。わ、わかったお」
( ゚∋゚)「あんたを船に乗せてここから連れ出すのが目的よ。傷つけるつもりはないわ」
( ;ω;)「いやだおっ。ここにいたいお」
声が大きくならないように必死で訴える。
( ゚∋゚)「しばらく、諦めなさい。とりあえず、夜になるまでは暇だから話し相手になってあげるわ。好きな質問をしなさい」
冷静になれ、と言い聞かしても涙はとまらない。
自分は友人たちの新しいスタートに最低の泥を塗ってしまった。
帰らなければならない、その想いだけが心の大半を占めていく。
( ;ω;)「こ、っすん、ここはどこだお?」
( ゚∋゚)「まぁ、牢屋みたいなもんだと思ってくれていいわ」
( ;ω;)「あなたは八本柱かお?」
- 11 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:44:10.89 ID:bXHC7kE00
-
( ゚∋゚)「自己紹介をまだしてなかったわね。私はクックル。八本柱の一人よ。あんたの親もよく知ってるわ」
( ;ω;)「!? 父さんと母さんの事を聞きたいお」
( ゚∋゚)「あの二人とね、私は学生時代よく競ったわ。遺伝じゃないのに二人とも情報に気づくのが早かった。
私も情報をかなり使いこなしてる自信はあったけど、あの二人にはまったくかなわなかった・・・・・・」
( ;ω;)「父さんも母さんも天才だったんだお・・・・・・」
( ゚∋゚)「まぁ、そうね。話だけ聞いてたらそう思うのもしかたないわ」
( ;ω;)「どういうことだお?」
( ゚∋゚)「あんたよりは早かったけど、あの二人も入学した時点では情報を知らなかったってことよ。
あんたならよくわかるでしょう?」
( ;ω;)「わかるお」
父さんも母さんも自分と同じ道を歩んでいたことを知って、涙が止まらない。
二人とも最初から天才であったわけじゃない。自分には出来なかったことをやりのけた。
( ゚∋゚)「そうい・・・・・・」
クックルは急に黙り込んだ。
( ゚∋゚)「わかったわ。警戒を怠らない」
- 14 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:46:00.89 ID:bXHC7kE00
-
返事がかみ合わない。
ほかの人が来た気配はない。両手を自由にしようと試みるが、植物のようなもので完全に縛られている。
( ゚∋゚)「ふぅ・・・・・・無駄よ」
( ゚∋゚)「その植物には私の合成がかけてあるわ。簡単には外れない」
( ;ω;)「誰と話してたんだお?」
( ゚∋゚)「それはさすがに言えないわね。ただ、どうやらあんたを救うために動き出したみたいね」
( ;ω;)「みんな・・・・・・」
( ゚∋゚)「無駄よ。今度は万全の準備をしてある。死人が出ないことを祈ってなさい」
足音が遠ざかっていくのが聞こえ、恐怖が考えを支配しようと迫ってくる。
( ;ω;)「待つお!」
思わず声をかけてしまった。
( ゚∋゚)「じきに戻ってくるわ」
そう言って足音が小さくなっていき、聞こえなくなった。
- 15 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:47:40.05 ID:bXHC7kE00
-
( ^ω^)「みんななら、きっと助けてくれるお」
もぞもぞと両手を動かすが、やはり取れない。きつく縛られているのでなく、縄と違い"遊び"がない。
されならせめて、目隠しだけでもとろうと頭を揺らす。
しばらくそうやっているうちにだんだん布が緩んできた。
( ^ω^)(こっちには合成がかかってないお)
するり、と目隠しが外れる。目の前に飛び込んできたのは大量の植物だった。それがブーンを囲っている。
( ^ω^)(根っこがないから、もともと生えていたものではないお)
冷静に一つずつ問題を解決しようとする。
( ^ω^)(山の中・・・・・・かお?)
周りには木々が生い茂っていて、鳥のさえずりも聞こえてくる。
太陽はだいぶ傾いていた。
( ^ω^)(連れ去られてからだいぶ時間が過ぎてるお)
がさがさ、とひとが来る音が聞こえる。
思考をやめて音がするほうをじっと見つめた。
草を分ける音と同時に荒い息が聞こえる。
- 16 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:49:16.43 ID:bXHC7kE00
-
(;^ω^)(やばいお・・・・・・絶対に人じゃないお)
草むらから出てきたそれと目が合う。
巨大な猪だった。
(;^ω^)「・・・・・・」
声が出ない。猪はじっとこっちを伺っている。
(;^ω^)(この植物はきっとそこまで硬くないお。ぶつかってこられたら死んでしまうお!)
助けを呼ぶか迷う。すぐに猪は強く地面をけり一気に近づいてくる。まぶたを閉じることもできない。
だが、猪は植物にぶつかる直前に何かに当たったかのように止まり、そしてそのまま動かなくなった。
(;^ω^)「な、なにがおこったんだお?」
( ゚∋゚)「あんたに死なれて困るのはこっちなのよ」
クックルが戻ってきていた。
(;^ω^)「合成かお?」
( ゚∋゚)「そうよ」
- 18 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:51:01.46 ID:bXHC7kE00
-
それにしても危なかったわ、そう言ってクックルは猪の上に座った。
( ゚∋゚)「もう少し日が落ちたら出発よ」
(;^ω^)「みんな助けに来てくれるお!」
( ゚∋゚)「言うだけなら勝手よ」
二人の間に初めて沈黙が訪れた。
(;^ω^)(こいつの情報はいったいなんだお?みんなに伝えられたら・・・・・・)
日が落ちるのは早く、考えをまとめることもできなかった。
( ゚∋゚)「行くわよ」
闇の中でクックルが立ち上がったと同時に周りの植物がほどける。
( ゚∋゚)「ここから先は、悪いけど猿轡をかまさせてもらうわ」
言われるがままに猿轡をかまされる。
(;^ω^)「んごおもご」
( ゚∋゚)「黙って着いてきなさい」
両手は相変わらず後ろで縛られていて、そこから続く植物をクックルが握っている。
- 19 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:52:37.29 ID:bXHC7kE00
-
(;^ω^)(とりあえず、ついていくしかないお)
黙々と歩く。すぐに潮風においが鼻腔を満たす。
(;^ω^)(ここは・・・・・・)
( ゚∋゚)「あんたたちがニダーを捕まえた海岸よ」
月の光が反射する海面に船があった。島内では見たことのない大きさだ。
(;^ω^)(なんで、こんなに大きな船があるんだお?誰かが気づくはずだお)
( ゚∋゚)「さて、乗り込んでもらおうかしら」
(;^ω^)「んっっむむ!」
無駄とは知りつつも最後の抵抗をする。
(-_-)「いつのまにこんなに近づかれたのでしょう」
声が聞こえた。やはり助けに来てくれたのだ。
/ ゚、。 /「今回は一人のようですね」
( ФωФ)「さて、ブーンを返してもらえますかな?」
- 21 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:54:13.26 ID:bXHC7kE00
-
( ゚∋゚)「あら、やっぱり来たわね。悪いけど、私たちにも目的があるの」
(#ФωФ)「子供をさらっておいてふざけたことを・・・・・・」
(-_-)「やはり、力ずくになるのでしょうか」
( ゚∋゚)「残念ですが、あなた方では勝てませんよ」
(#ФωФ)「何を!情報で力を見てもらっては困る」
(;^ω^)「んーーーーーーー!!」
力の限り叫んだ。だが、その叫びは届かなかった。
(;-_-)「うぐっ!」
ヒッキー先生が後ろから"刺された"。そのまま重力にしたがって倒れる。
/ ゚、。 /「残念ですね。彼をさらってしまえば、もう用はありません」
(#ФωФ)「なっ! ダイオードぉ、がはっ!!」
( ゚∋゚)「おやすみなさい」
クックルが腕を一振りするとロマネスク先生が吹っ飛び、そのまま倒れて動かなくなった。
- 23 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:57:27.15 ID:bXHC7kE00
- / ゚、。 /「行きますか」
( ゚∋゚)「殺す必要はなかったんじゃない?」
/ ゚、。 /「やつらが死のうと、あなたには関係ないはずですが?」
( ゚∋゚)「そうね・・・・・・」
( ;ω;)「んーーんーー!」
必死に叫んでも二人は起き上がってこない。
( ゚∋゚)「行くわよ」
クックルに担がれ船の中に運ばれる。手足に力が入らずろくな抵抗も出来ない。
船は音もなく港を出港した。浜辺に横たわる二つの体は、闇に喰われたように見えなくなった。
( ;ω;)「ぷはぁ」
船の中の牢屋のような部屋に閉じ込められると猿轡をはずされた。
( ゚∋゚)「さて、無事島を出れたから、少しだけ話を聞いて」
( ;ω;)「何が話を聞け、だお!人を殺しといてよくも!!」
( ゚∋゚)「刺したのは私じゃないわ」
( ;ω;)「お前も、あいつと同じだお!!ダイオードは裏切り者だったお!!
殺してやるお!殺してやるお!」
- 24 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 21:59:05.55 ID:bXHC7kE00
-
(#゚∋゚)「命を奪われる覚悟のないやつがそんなこと言ってんじゃないわよ!」
初めて怒鳴られた。その形相があまりにも恐ろしく、黙るしかなかった。
( ゚∋゚)「まぁ、いいわ。一つだけ覚えておきなさい」
クックルが耳元で囁いた。
(;^ω^)「ど、どういうことだお?じゃあ、なんで?」
( ゚∋゚)「それじゃ、国に着くまでおとなしくしてなさい」
クックルは部屋を出て行った。
(;^ω^)(いったいなにがどうなってるんだお?)
考えているうちに眠たくなってくる。
(;−ω−)「駄目だお・・・・・・起きてな・・・・・・きゃ」
( −ω−)「すぅ・・・・・すぅ」
考えることをやめ、眠りについた。
- 25 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:01:23.38 ID:bXHC7kE00
-
--------甲板--------
( ゚∋゚)「ふぅ・・・・・・」
一番伝えたかったことは伝えた。邪魔者も取り除けた。
( ゚∋゚)(さて、次の一手はどうしようかしら)
/ ゚、。 /「クックル殿、風邪を引きますぞ」
( ゚∋゚)「ご親切にどうも」
/ ゚、。 /「あの老いぼれを殺したことをお恨みかな?」
( ゚∋゚)「いいえ、そうではないわ」
/ ゚、。 /「ふむ、そんなことより、重大なお話があります」
( ゚∋゚)「なんでしょうか」
/ ゚、。 /「さきほど、国から連絡がありました。スパイを捕まえた、と。
もちろん、ご存じないでしょうね?」
( ゚∋゚)「そのスパイは八本柱の中から出たの?」
/ ゚、。 /「いいえ、違いますが・・・・・・」
( ゚∋゚)「それなら、私とはかかわりのないことがすぐわかるはずでは?」
- 27 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:03:13.48 ID:bXHC7kE00
-
/ ゚、。 /「すいません。八本柱をすぐに調査しろ、といわれたものですから」
( ゚∋゚)「スパイはなんて?」
/ ゚、。 /「時期にこの国は滅ぶ、とだけ言って息絶えたそうです」
( ゚∋゚)「敵ながら、根性のあるやつね」
適当に話を流す。これからの事について考えたいのだ。早く立ち去ってほしい。
/ ゚、。 /「・・・・・・。それでは、失礼します」
そう残して、ダイオードは部屋の中に戻っていった。
( ゚∋゚)「ふぅ・・・・・・」
前方を眺めると、明かりをつけてない船がこちらに進んできていた。
( ゚∋゚)(海賊だわ)
( ゚∋゚)「海賊よーーー!」
よく通る声で叫んだ。部屋の中から武装した兵士が次々と出てくる。静かな夜が騒がしくなる。
対面する船が真横につけてきた。ロープで次々人が入ってきた。
( ゚∋゚)「ブーンを見に行かないと」
急いでブーンを閉じ込めてる部屋に向かった。
- 29 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:05:10.15 ID:bXHC7kE00
-
--------船の一室--------
( −ω−)「んにゃむにゃ・・・・・・」
ドン!!
(;^ω^)「はっ! な、なんだお?」
たくさんの人の怒号、悲鳴が聞こえる。そして、船が大きくゆれている。
(;^ω^)「な、なにがおこってるんだお」
( ゚∋゚)「海賊に攻撃されてるのよ」
いつのまにかクックルが部屋の中に立っていた。
(;^ω^)「まずいお! 早く逃げないと・・・・・・」
( ゚∋゚)「さっきの言葉、忘れないでね」
ドォン
ひときわ大きく船が揺れる。それも気にせず、ダイオードが駆け込んできた。
/ ゚、。 /「クックル殿、援護をお願いします。私の情報では太刀打ちできません」
( ゚∋゚)「遅かれ早かれ、いずれすべてを知ることが出来るわ」
クックルはダイオードに向き直って両手を広げ、一気に閉じた。
- 30 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:07:28.71 ID:bXHC7kE00
-
/ ゚、。 /「クックル殿?何を・・・・・・ごふっ!そん・・・・・・・な」
全身に無数の弾痕のようなものができ、ダイオードは血を吐いて倒れた。
( ゚∋゚)「復讐ってのは子供の考えることじゃないわ。」
(;^ω^)「・・・・・・」
( ゚∋゚)「それじゃあ、ね」
クックルは部屋を出て行った。その後も、大きな音は何回か続いた。
静かになるまで長い時間を要した。
(;^ω^)「やっと、静かになったお・・・・・・」
ガシャン!!
部屋の扉が蹴り開けられた。
(´・_ゝ・`)「こいつが"例の子"か?」
入ってきたのはおおよそ海賊に似つかわしくない男と、その部下と思われる男たちだった。
- 31 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:09:11.88 ID:bXHC7kE00
-
( `ハ´)「おい、ガキ。神の力とやらを使ってみろ」
(;^ω^)「ブ、ブーンは使えないですお」
( `ハ´)「このぉガキ、嘘ついてたら耳削いじまうぞ」
(;^ω^)「ほ、本当ですお!」
手下らしい男はナイフをもてあそんでいる。怒らせれば、本当に耳がなくなるかもしれない。
(´・_ゝ・`)「まぁ、待て。使えないのだとしたら情報通りだ。約束の金はもらってるんだ。
こいつをうちで保護しようじゃないか」
(;^ω^)「待ってください! どういうことですかお?」
(´・_ゝ・`)「何者かがこの船を襲い、子供一人を連れ出すことで大量の金を出すと言ってきたのさ。
俺たちはその依頼を受けた、それだけのことだ。質問は俺の船で答えてやる。連れてこい!」
先ほど脅してきた男がいともたやすく牢を開けた。鍵は握っていない。
(;^ω^)(誰かのおかげで助かったお・・・・・・)
男たちについて船を離れた。水平線の端に太陽が昇ってきていた。
甲板を見回してみたが、クックルは何処にもおらず、あたり一面は真っ赤に染まっていた。
- 32 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:11:13.28 ID:bXHC7kE00
-
船を乗り換えるとすぐに船長室のような部屋に連れてこられた。
(´・_ゝ・`)「さて、質問の続きだ」
(;^ω^)「あなたがたは?」
(´・_ゝ・`)「さっきも言ったが、海賊だよ。まぁ、漁の副業として、だけどな」
(;^ω^)「依頼者の詳細を聞きたいですお」
(´・_ゝ・`)「それも言った。知らん。同じ質問しかしないのなら、俺はやるべきことがあるから、失礼する」
(;^ω^)「待ってくださいお。ブーンはVIP島に帰りたいですお。つれて行ってくださいお」
(´・_ゝ・`)「それはできねぇ。俺らは多額の金をもらう代わりにいくつか条件を突きつけられている。
島に帰すな、も条件の一つだ」
(;^ω^)(いったい誰なんだお)
父さんや母さんなら島に帰さないはずがない。だが、クックルにここまでされる義理はない。
- 33 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:13:01.36 ID:bXHC7kE00
-
(´・_ゝ・`)「質問は終わりか?」
(;^ω^)「はいですお」
(´・_ゝ・`)「そうか。なら、シナー!!」
男の呼びに応じて男が入ってくる。
( `ハ´)「なんでしょうか?」
(´・_ゝ・`)「こいつを部屋に連れて行ってやれ」
( `ハ´)「はい。よし、着いて来い」
シナーと呼ばれた男の案内で一つの部屋に連れてこられた。
小さな部屋だが、きれいに整えてある。
( `ハ´)「さっきは脅かしちまって悪かったな。ま、ゆっくりしてくれや、客人」
そういってシナーさんは出て行った。何もすることがないのでベットに横になる。
(;^ω^)(この海賊にいれば保護はしてもらえるお。でも、いつかは島に帰らなきゃいけないお)
( ^ω^)「暇だお・・・・・・。船の中を散歩するお」
- 35 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:14:37.51 ID:bXHC7kE00
-
部屋を出て右に向かう。
( ^ω^)「まずは甲板に出るお」
階段を上るとすぐ甲板に出る。乗り込んだときは気づかなかったが、この船はかなり大きかった。
( ^ω^)「広いおー。ところで、何処に向かってるんだお?」
たまたま近くにいた少年に話しかけてみる。
( ・∀・)「あぁ?東の国に決まってんじゃねーか」
同じ年ぐらいであったが、雑なしゃべり方をする少年だった。
( ^ω^)「普段は何をしてるんだお?」
( ・∀・)「漁だよ、漁。センチョーに聞かなかったのか?」
( ^ω^)「忘れてたお」
( ・∀・)「バカだなーおめぇ」
( ^ω^)「どのくらいで東の国につくんだお?」
( ・∀・)「昼ぐれーには着く」
( ^ω^)「ありがとうだお」
- 36 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:17:18.20 ID:bXHC7kE00
-
そう言って甲板をぐるりと一周しようと少年に背を向けて歩き出した。
すぐに少年は追いかけてきて質問をしてきた。
( ・∀・)「名前は?」
( ^ω^)「ホライズン、だお。みんなブーンって呼ぶお。君は?」
( ・∀・)「俺様はモララーだ。船の案内なら俺様がしてやるよ」
( ^ω^)「よろしく頼むお」
モララーに船の色んなところを案内してもらった。
時間はあっという間に過ぎ、甲板に帰ってきたときには大陸の一端が見えていた。
船はスピードを落とし、ゆっくりと港に入る。
(´・_ゝ・`)「船を固定しろぉ!!」
船長の怒鳴り声が聞こえてくる。船から投げられたロープが港に固定される。
(´・_ゝ・`)「よぉし!ご苦労!各自家に帰ってゆっくり休め!」
おぉーー!
男たちの声が響く。
- 37 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:19:24.89 ID:bXHC7kE00
-
(´・_ゝ・`)「客人、ついてきてくれ」
( ^ω^)「ブーンにはホライゾンって言う名前がありますお。でも、ブーンってみんな呼びますお」
(´・_ゝ・`)「そりゃ、悪かったな。ブーン、来てくれ」
船長について最後に船を下りる。案内されたのは船長の家だった。
(´・_ゝ・`)「自己紹介がまだだったな。俺の名前はデミタス。漁、兼海賊の船長だ。
この町は東の大陸最東端のウェストレスだ。普段は漁で、たまに海賊業でくってる町だ」
( ^ω^)「ブーンはVIP島出身のホライゾンですお」
(´・_ゝ・`)「住む場所を見つけるまで俺の家にいてくれていい」
( ^ω^)「ありがとうございますお。ところで、いつになったら帰れるんですかお?」
(´・_ゝ・`)「俺たちは協力するな、といわれているだけだ。自分で帰るのには問題はないだろう」
( ^ω^)「お、お。ありがとうございますお」
どうやら、協力を制限されているだけで行動を制限されてはいないようだ。
( ^ω^)(思ったより早く帰れるかもしれないお)
(´・_ゝ・`)「この部屋を使ってくれ」
デミタスに案内された部屋は子供部屋のようだった。
- 39 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:21:22.39 ID:bXHC7kE00
-
( ^ω^)「この部屋誰も使ってないんですかお?」
(´・_ゝ・`)「ああ。気にするな。晩御飯は太陽が山の陰にかかった時からだ。
そのときまではここにいてもいいし、町中を歩き回ってもいい」
( ^ω^)「それじゃあ、町をうろついてきますお。行ってきますお」
家を出ると、モララーが立っていた。
( ・∀・)「暇ならあそぼーゼ」
( ^ω^)「お、いいお。なにするお?」
( ・∀・)「番人ゲームしよう!みんなきてくれ」
モララーが呼ぶと同い年ぐらいの子が何人か走ってきた。遠くから見てたのだろう。
( ^ω^)「番人ゲーム? どういうゲームだお?」
( ・∀・)「この木の棒を地面にさすんだ。これは世界の要で、倒れると世界が壊れる。
だから、じゃんけんで勝ったやつはこの木の棒を倒されないように守らなきゃいけない。負けたやつはこの棒を倒したら、勝ちだ」
( ^ω^)「どうやって」倒してもいいのかお?
( ・∀・)「飛び道具はナシだ。あと、倒す側は倒される側につかまると、逮捕されて牢屋にいれられる。
そうなると、ここから出ちゃいけない」
モララーは足で地面に大きな四角を書く。
- 40 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:23:28.69 ID:bXHC7kE00
-
( ・∀・)「倒す側は全員が捕まったら、負けだ」
( ^ω^)「わかったお」
( ・∀・)「全員、自己紹介してくれ。こいつはホライズンさんだ」
( ^ω^)「ブーンって呼んでくれお」
(=゚ω゚)ノ「はじめまして。イヨウです」
\(^o^)/「オワタです」
ξ゚听)ξ「ツンデレよ。よろしく」
( ・∀・)「じゃあ、じゃんけんで番人を決めようぜ」
じゃんけーん、ぽん
( ^ω^) グー
(=゚ω゚)ノ パー
\(^o^)/ パー
ξ゚听)ξ パー
( ・∀・) パー
(;^ω^)「負けたお・・・・・・」
- 43 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:25:18.84 ID:bXHC7kE00
-
( ・∀・)「よし、じゃあここに立てとくぜ」
モララーたちは各々走り去っていく。
( ^ω^)「勝ってやるお!」
周りには多くの家が立ち並んでいて死角を生み出している。
( ^ω^)(後ろからに気をつけないといけないお・・・・・・)
数歩、枝から離れて塀の奥を覗く。
(=゚ω゚)ノ「取ったりぃ!!」
背後の塀からイヨウが走ってくる。
( ^ω^)「甘いお!」
すぐに振り向きイヨウが枝を倒す前にタッチした。
(;=゚ω゚)ノ「な!?」
( ^ω^)「背後に隙を見せたのはわざとだお」
イヨウは"牢屋"の中に入る。
- 45 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:26:56.32 ID:bXHC7kE00
- (;=゚ω゚)ノ「罠だったのか・・・・・・」
( ^ω^)「んふっふっふ。すぐに全員捕まえるお」
再び数歩、枝から離れた。今度は誰も走ってこない。
( ^ω^)(二度目はなし、かお)
じらすように数歩枝から離れてはすぐに戻るのを繰り返す。
( ^ω^)(これならどうだお?)
手近な塀に身を隠して枝を伺う。イヨウが後ろを振り向いて首を縦に振ってる。
こちらが確認していることには気づいていない。
( ^ω^)(そこにいるのかお・・・・・・来いお)
ξ゚听)ξ「もらったあぁ」
走り出してきたのはツンデレだった。しかし、飛び出す準備をしていたブーンのほうが先に枝にたどり着く。
ξ゚听)ξ「!?」
( ^ω^)「残念だお」
急いで引き返そうとするツンデレにタッチした。
ξ゚听)ξ「あんた、使えないわねぇ」
(;=゚ω゚)ノ「す、すまん」
- 46 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:28:42.90 ID:bXHC7kE00
-
( ^ω^)「あとはオワタとモララーだけだお」
ξ゚听)ξ「あんたにモララーは捕まえられないわ!」
( ^ω^)「やってみないとわからないお」
っくしゅん!
( ^ω^)「そこかお!」
塀の後ろを見ると案の定オワタがいた。
\(^o^)/「オワタ!」
しかし、ブーンは追いかけない。というよりは追いかけれない。
( ^ω^)(オワタの足が速かったら、追いかけてる間にモララーに枝を倒されるお)
オワタは塀の向こうに姿を隠した。
( ^ω^)(どうするお?モララーの場所がわかんないお・・・・・・)
\(^o^)/「これで勝ちだ!」
枝から少し離れたとこで振り向くと、塀の上にオワタが立っていた。
(;^ω^)(間に合わないお!?)
- 48 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:30:29.83 ID:bXHC7kE00
-
しかしオワタは塀から飛び降りず、いったんしゃがんで塀にぶら下がっている。
(;^ω^)(いまだお!)
塀からやっとのことで降りたオワタと枝の間に立つ。オワタは塀で逃げられない。
(;^ω^)「逮捕、だお」
\(^o^)/「オワタ!」
オワタも牢屋に送り込んで、残るはモララーのみ。
( ^ω^)(どうでてくるお?)
無言の緊張か続く。何処にいるのかまったく見当がつかない。
( ^ω^)「とりあえず、動かなければゲームじゃないお」
枝から離れる、戻る、の動きを数回繰り返す。しかし、モララーはでてこない。
今回の戦利品だよー
かごに色々なものを入れたおっさんがすぐ近くを通り過ぎていく。
おそらくブーンののってた船から奪ったものだろう。
- 50 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:32:34.00 ID:bXHC7kE00
-
再び塀の後ろに姿を隠した。
しかし、モララーは出てこない。そのまま家をぐるりとまわっておっさんの後ろにつく。
( ・∀・)「もらったあぁぁ!!」
モララーはかごから立ち上がる。しかし、
( ^ω^)「あまいお」
真後ろから声をかけタッチする。
(;・∀・)「な、俺様がよまれた・・・・・・だと?」
( ^ω^)「全員逮捕。ブーンの勝ちだお」
(;・∀・)「くっそぉ」
ξ゚听)ξ「モララーが・・・・・・負けた」
( ^ω^)「次はどうするんだお?」
( ・∀・)「最後につかまったやつが次の番人だ」
( ^ω^)「わかったお。じゃあ、逃げるお」
- 51 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:34:12.24 ID:bXHC7kE00
-
何回かこの遊びを繰り返したときには太陽が山の端にかかろうとしていた。
( ^ω^)「そろそろ晩御飯の時間だから、帰るお」
( ・∀・)「また遊ぼうゼ」
ξ゚听)ξ\(^o^)/(=゚ω゚)ノ「ばいばーい」
( ^ω^)「ばいばいだおー」
( ^ω^)「ただいまだおー」
(´・_ゝ・`)「おかえり。もうすぐご飯が出来る。自分の部屋で待ってな」
( ^ω^)「わかりましたお」
部屋の外からはおいしそうな匂いが漂ってくる。しばらく我慢していたが、あきらめて台所に行く。
机の上には既に料理が並んでいた
( ^ω^)「おいしそうですお・・・・・・。デミタスさん一人で作ったんですかお?」
(´・_ゝ・`)「そうだ。好きなだけ食ってくれ」
( ^ω^)「いただきますお」
無言でご飯を食べていたが、半分ほど食べたところでデミタスさんがフォークをおいて話しかけてきた。
- 54 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:36:07.53 ID:bXHC7kE00
-
(´・_ゝ・`)「もし、お前が良ければこのままんでてもいいぞ?」
( ^ω^)「?」
(´・_ゝ・`)「ここに、すんでくれてもかまわん」
( ^ω^)「・・・・・・うれしいですお。でも、ブーンは帰らなければならないですお」
(´・_ゝ・`)「一晩だけ、考えてみないか?村の人間も優しいし、子供たちとも上手くやっていたじゃないか」
( ^ω^)「ごちそうさまですお」
席を立って貸してもらっている部屋に入った。
時間は早いが布団に入る。
( ;ω;)「うっ、うっ・・・・・・。ドクオ、ジョルジュ、ヒート・・・・・・」
目を閉じればはっきりと思い出せる親友たちの顔。デミタスさんはいい人だし、今日始めてあった友人たちもそうだ。
だけど、自分には帰るべき場所がある。
( ;ω;)「かえりたいお・・・・・・」
静かに泣いていると、デミタスさんが入ってきた。
- 56 名前: ◆gMIGdyOjeA :2008/11/11(火) 22:38:18.22 ID:bXHC7kE00
-
(´・_ゝ・`)「すまなかった。お前の気持ちを考えずに誘ってしまった」
独り言のように続ける。
(´・_ゝ・`)「昼にも言ったが、残念ながら送ってやることは出来ん。あのお金は村のものだからだ。
俺の一存で約束を破り、それがばれてしまうと困ったことになる。だが、帰る方法は教えてやる。
明日、起きたら俺のところに来い」
扉が閉まる音がした。おそらく、出て行ったのだろう。帰る方法はある、それだけが心の支えである。
( ;ω;)「みんな・・・・・・まってるお。どれだけ大変だろうと絶対帰るお」
声に出して、意思をより強固なものにする。薄れ行く意識の中でふと、クックルの言葉を思い出した。
「八本柱全員が裏切ったと思わないで」
彼は確かにそう呟いた・・・・・・。
望むものは手に入らないかもしれない。
ただ、諦めないことは新たな道を作る。
to be continued...