- 45 名前: ◆ZGuRy.Pfdg :2007/09/15(土) 20:06:52.54 ID:acgNlUDUO
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- 47 名前: ◆ZGuRy.Pfdg :2007/09/15(土) 20:08:09.90 ID:acgNlUDUO
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たった一握の自尊心を手に、ゴミ漁りという名の仕事をする僕を、年老いた男はジッと見詰めて来た。
( ^ω^) 「見せ物じゃないお」
こうもあからさまな侮辱に少々腹が立つ。
「いや、気にするな」
僕の心境を勘ぐってか、男は否定をする。
( ^ω^) 「じゃあ何だお?」
男は頭を掻き、照れ臭そうに言った。
- 48 名前: ◆ZGuRy.Pfdg :2007/09/15(土) 20:09:23.56 ID:acgNlUDUO
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「家に来ないか?」
「もちろんやましいことをする気はない」
男は笑って続ける。
「何、暇なら家に遊びに来ないか?」
生きていくことに必死で、なくしてしまった何かを、差し出された気がした。
( ^ω^) 「別に構わないお」
「とは言っても、刀しかないみすぼらしい家だがな」
男は自虐に笑う。
それでもその言葉は、どこか誇らしげにも聞こえた。
- 49 名前: ◆ZGuRy.Pfdg :2007/09/15(土) 20:10:37.20 ID:acgNlUDUO
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( ^ω^) 「刀鍛冶かお?」
「似た様な者だ」
「血に含まれる鉄分から、鉄塊を作り、その鉄塊から刀を作る」
僕にはよくわからなかった。
「血は、体という器に入っている魂そのものなんだよ。
私は、その魂を使って刀を作っている」
( ^ω^) 「何だか不思議な仕事だお」
僕は無知に笑う。
「実に不思議だ」
それは、不思議で奇怪な業。
- 50 名前: ◆ZGuRy.Pfdg :2007/09/15(土) 20:11:35.78 ID:acgNlUDUO
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「血の一滴は鉄の一塊」
「血の一滴は魂の破片」
「鉄の一塊は魂の破片」
奇異な言葉を吐くと、男は言った。
「行こうか」
空はもう、赤く染まっていた。
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