内藤エスカルゴ - 完結作品一覧 - ( ^ω^)カウボーイなようです - 【10th:失落】

( ^ω^)カウボーイなようです

2 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 20:50:35.29 ID:0HBxpSZyO

【10th:失落】



3 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 20:51:57.21 ID:0HBxpSZyO


(;'A`)「どはッ!?」

吊り橋を渡るドクオの足下の板が抜け落ち、足を踏み外した。

(;^ω^)「ドクオッ!」

(;'A`)「大丈夫……、大丈夫だよ」

ロープを掴み、ドクオはなんとか落ちずに済んだ。

(;^ω^)「気をつけるんお……」

('A`)「わかってらい」

ドクオは再び吊り橋を渡り始める。
いつ、また追手が来るかわわらないのだ。
しかし、まだ三分の一しか進めていないという現実。



4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 20:54:52.61 ID:0HBxpSZyO

(^ω^;)「……」

(;^ω^)「……」

落ち着きの無い様子で周囲の警戒を続ける。
あらゆる事がプレッシャーとなり、ブーンを追いつめていく。
額からは冷たい汗が伝う。

気分を落ち着かせ、深く呼吸をしようとしたその時。

(;^ω^)「ッ!」

僅かだが蹄の音が聞こえた。



6 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 20:55:56.59 ID:0HBxpSZyO

(;^ω^)「ドクオッ!」

ドクオの方へ視線を向けながら呼びかける。
まだ吊り橋を渡りきれていないようだ。

(;^ω^)「もっと急げお!」

(;'A`)「わかってらい!」

ドクオは声だけを返す。
蹄の音は徐々に近付いて来ている。

(;^ω^)「ヤバいお……」

ブーンはそう呟きながら拳銃の撃鉄を起こす。



8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 20:57:25.98 ID:0HBxpSZyO

(;^ω^)「ッ!」

そして、その姿をはっきりと捉えた。
間違いないジョルジュと、その配下がこちらへ向かって来ている。
まだ、お互い弾に当たるような距離ではないが……。

(;^ω^)「くッ……」

牽制の為に両手の拳銃を構え、引き金を引く。

「うがッ!」

オアァッ」

数人が馬上から転がり落ちる。
連続して放たれる銃弾の幾つかがジョルジョの配下を捉えた。



10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:01:26.79 ID:0HBxpSZyO
  _
( ゚∀゚)「ハァー!!」

「ヒーホー!」

「ヤー!」

しかし、それでもジョルジョ達は止まらない。
蹄の音が、振動が土煙を上げながら迫る。
(;^ω^)「くぅッ!」

横っ飛びで地面を転がり迫る馬達の蹄を避けた。
ジョルジュとその配下が乗る馬はブーンの真横を通過していく。

(;^ω^)「おッ」

そして直ぐさま体勢を立て直し、吊り橋の方へ駆け出す。
ドクオはまだ橋を渡りきれていないが関係ない。

(#^ω^)「おおおッ!!」

そのままの勢いでブーンは吊り橋を渡り始めた。



11 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:03:09.15 ID:0HBxpSZyO

(;'A`)「のわッ!?」

吊り橋を繋ぐロープが激しく軋む。
直後、ドクオは吊り橋を渡りきり後ろを振り向く。

(;'A`)「な……、何だぁ?」

視線の先、ブーンが吊り橋をかなりのスピードで進んできていた。
踏みしめた板が抜け、あわや谷底へ真っ逆様という風になりながらも必死で渡っている。
そして次にドクオが見たのは、馬に跨った集団だ。

(;'A`)「な……、マジかよ!?」



12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:04:43.96 ID:0HBxpSZyO

急いで荷物を下ろし、ライフルと弾丸を取り出す。
弾を装填しながらも視線はブーンと猛然と迫る集団に向けられている。

(;'A`)「待てよ、待てっての……!」

弾を装填し終えると、素早くライフルを構えて馬に跨る集団の一人に照準を合わせる。
狙いを定め、呼吸を整えていく。
そして、ドクオは引き金を引いた


―――



13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:08:08.43 ID:0HBxpSZyO


从 ゚∀从「むぅ……」

窓から景色を見ていたハインが表情を僅かに曇らせた。

( ゚Å゚)「どうしたんです?」

荷物から紙とペンを取り出し、ロイは何かを書き出している。

从 ゚∀从「な〜んか嫌な予感がして、な」

窓から視線を外し、ハインは席に深く腰掛けた。

( ゚Å゚)「気のせいですよ、いつもみたいな。
   先週の仕事も同じ事言ってて、スカだったじゃないですか」

言いながらロイはペンを走らせる。

从 ゚∀从「そりゃ、アレだ……」



14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:10:14.18 ID:0HBxpSZyO

ハインが何かを言いかけたその時だ。
大きな爆発音と同時に列車全体が大きく揺れたのだ。
轟音と、乗客達は悲鳴が辺りに響き渡る。

从;゚∀从「おわあああ!!?」

(;゚Å゚)「な、何がッ―――!?」

そして、次の瞬間更に激しい衝撃が列車全体を揺さぶると、辺りは静寂に包まれた。

一瞬の出来事、時間にして僅か8秒。
線路は地面ごと抉られるように分断され、前部車両の大半は吹き飛んだ。
残った後部も脱線、横転して黒煙を上げていた。



16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:12:03.80 ID:0HBxpSZyO

その様子を少し離れた場所から観察していた一団が、その現場へ近づいていく。

( ゚д゚)「フム……、予想以上だな」

横転した列車、立ち上る黒煙と物の焼け焦げるような臭いがその周りを包んでいる。
ミルナは、それを観察するように辺りを見回す。

(゚д゚ )「ほぅ……」

( ゚д゚)「これは……」

( ゚д゚ )「ふむ……」

配下達は、列車と線路だった物の状態を調べ回っている。

( ゚д゚)「ニトロ爆薬か、実に良い買い物をした」

粗方調べ回ると、配下はミルナの周りへ集まり状況の報告をする。



18 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:15:53.99 ID:0HBxpSZyO

( ゚д゚)「成る程……、爆薬の量はもう少し減らしてもいけそうだな」

報告を受けてそれを紙に書き記し、懐にしまい込んだ。

( ゚д゚)「さて……、用は済んだな。
   面倒事が増える前に行こうか」

ミルナと、その配下達は馬に跨りその場を去って行く。
列車の残骸からは、黒煙が尚も上がり続けている。


―――



19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:17:49.59 ID:0HBxpSZyO


手綱を引き、吊り橋の近くで馬を止めるジョルジュとその配下の集団。

「ぐがぉッ!?」

僅かな銃声、短い断末魔を上げてジョルジュの配下の一人が後続の馬から転がり落ちた。
それに反応して馬がパニックを起こす。
  _
( ゚∀゚)「なんだぁ……?」

何事かとジョルジュ視線をそちらに向けた。
次の瞬間、再び銃声が響く。
  _
( ゚∀゚)「ッ!」

弾丸がジョルジュの左肩を掠めた。
次いで、鈍い痛みと熱がジワジワと伝わってくる。



20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:20:43.97 ID:0HBxpSZyO
  _
( ゚∀゚)「へぇ……」

傷に手を触れると、ヌルリとした血が指先に付着した。
  _
( ゚∀゚)「この距離で当てるかよ……」

ジョルジュは対岸を見ながらニヤリと僅かに笑みを浮かべる。
そして次に吊り橋を渡るブーンへ視線を移す。
  _
( ゚∀゚)「鐘を鳴らせよ高らかに……、別れの鐘を高らかに♪」

短い詩を口から漏らし、ジョルジュはライフルを手に取った。


―――



21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:23:00.73 ID:0HBxpSZyO


(;'A`)「くそッ、外したか」

ライフルのレバーを引き、空の薬莢を排出する。
そしてレバーが戻るとライフルの弾倉に次弾が送られる。

(;'A`)「あっちは……、ブーンはまだかよ」

言いながら、吊り橋を必死で渡るブーンに視線を向けた。
まだ真ん中を過ぎてすらいない。

(;'A`)「畜生め……」

そして、ドクオは再び狙いを定める。


―――



22 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:25:30.85 ID:0HBxpSZyO


(;^ω^)「あと半分かお……」

激しく揺れる吊り橋をブーンは進む。

(;^ω^)「おぉッ!?」

これで何度目だろうか、足元の板が腐り落ちた。
バランスを崩したが咄嗟に手すりのロープにしがみつく。
谷底へ落ちていく木片には目もくれずに体を起こして足を先へ進める。

その時だ。



23 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:28:42.81 ID:0HBxpSZyO

(;^ω^)「ッ!?」

バツンと大きな音と共に世界がズレた。
吊り橋を支える二本のロープの内、一本が断ち切られたのだ。

(;^ω^)「く、お……」

必死に手を伸ばし、何とかロープを掴む。
が、掴んだロープは激しく軋み、今にも千切れてしまいそうだ。

(;^ω^)「ぐぐぐ」

何とか体を支えるのが精一杯の状態だ。
これ以上進むのはまず無理だろう。

(;^ω^)「……」

このまま谷底へ落ちてしまうのかと視線を下へ向ける。
と、背筋から嫌な汗が滲み出した。



25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:34:18.06 ID:0HBxpSZyO

(;^ω^)「まだ……、まだ終われないんだおッ!」

自分に言い聞かせるように声を上げ、両腕に力を込める。
更にバランスの悪くなった吊り橋が激しく揺れる。

(#^ω^)「おおおおお!!」

それでもお構いなしに力を込め、ゆっくりと確実に落ち掛けの吊り橋によじ登る。

(#^ω^)「おおおおお!!」

あと少しで這い上がる事が出来る。
その時、ブーンの右耳の直ぐ真横辺りを何かが掠めていき、木片が舞い散る。



26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:38:59.80 ID:0HBxpSZyO

( ^ω^)「?」

次に耳鳴りと目眩が思考を鈍らせる。
ぼんやりとした意識の中、右頬を生温かい何かが濡らしているのに気付く。

( ^ω^)「お……?」

これは何だろうと考え。
体の力が抜けていき、手からロープが放れて吊り橋が遠ざかっていく。
ブーンには何が起こったのかまだ理解しきれていない。

( ^ω^)「……?」

次の瞬間、耳鳴りから風切り音に切り替わる。
同時に右肩を激しい痛みが走りだす。
そして、右肩から舞い散る真っ赤な血を見て撃たれたのだと理解した。



27 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:49:39.99 ID:0HBxpSZyO

(;゚ω-)「ぐぅッ」

激痛と共にハッキリとした意識が戻ってきた。
しかし、そんな物は何の役にも立たない。吊り橋は小さくなっていく。

(;゚ω゚)「ああああああああああ!!??」

もう、ブーンには叫び声を上げる事しか残されていなかった。


―――



28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:51:25.86 ID:0HBxpSZyO

  _
( ゚∀゚)「落ちた……か」

構えを解き、谷底へ落ちていったブーンを確認する。

「死にましたかね?」

配下の一人が口を開く。
  _
( ゚∀゚)「……知らねぇよ」

ジョルジュは唾を吐き捨て対岸に視線を移す。
ドクオは俯き、動こうともしない。
  _
( ゚∀゚)「相棒を失ったぐらいで戦意喪失かよ……、ツマらねぇ奴だ」

言いながらライフルを構え直す。



31 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:54:51.54 ID:0HBxpSZyO
  _
( ゚∀゚)「そんなに恋しきゃ後を追わせてやるよ」

ジョルジュは引き金を引いた。
銃声と同時にドクオは力無くその場に倒れる。
  _
( ゚∀゚)「……さて、遊びは終いだ。撃たれたアホ連れてさっさと行くぞ」

谷に背を向け、ジョルジュは馬に跨り去って行く。
あとには落ち掛けの吊り橋と、対岸に倒れたドクオが残された。



32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/08(日) 21:58:25.13 ID:0HBxpSZyO

【10th:失落】 fin



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