内藤エスカルゴ - 完結作品一覧 - ( ^ω^)カウボーイなようです - 【9th:逃走劇】

( ^ω^)カウボーイなようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:16:19.68 ID:jVC39e3fO

【9th:逃走劇】



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:21:32.89 ID:jVC39e3fO

村人は戸を締め切り、辺りは静まり返っている。
  _
( ゚∀゚)「さて……」

ジョルジュは一呼吸置き、指笛を高らかに鳴らした。
それを合図に、何処からか8人の男が姿を現す。

「何の呼び出しで?」

一人がジョルジュに問いかける。
  _
( ゚∀゚)「ネズミの駆除だ。……行け」

ショットガンを肩に掛け、ジョルジュは背を向ける。
男達は頷き、村に散っていった。


―――


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:25:55.26 ID:jVC39e3fO

ブーンとドクオは物陰に身を潜める。

('A`)「相手は全部で何人?」

( ^ω^)「わからないお」

即答。

('A`)「サクッと答えるねえ……」

( ^ω^)「酒場の中じゃジョルジュとしか戦ってないお。でも取り巻きが……」

('A`)「外に何人か居るかもって所かな?」

( ^ω^)「それに対抗するには村の西側の林、何とかそこに誘き出せたら或いは……」

ブーンは木片を拾い上げて地面に大雑把に考えを絵で表した。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:30:56.42 ID:jVC39e3fO

('A`)「ん〜、地の利を上手く活かせば五分ぐらいにはなりそうだけど」

( ^ω^)「陽が墜ちると何も見えなくなるんだお」

('A`)「林だとそこが痛いね……」

( ^ω^)「ドクオの考えは無いのかお?」

('A`)「逃げる事しか考えてない」

( ^ω^)「リスキーな事を避けると、やっぱそうなるかお」

('A`)「んだね」

( ^ω^)「じゃ、行くお」

('A`)「うし……」

二人は移動を始めようとしたその時だ。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:35:07.72 ID:jVC39e3fO

(;^ω^)「ドクオッ!」

突如、ブーンはドクオを突き飛ばすようにして倒れ込んむ。

(;'A`)「ッ!?」

反応する間も無くドクオは倒れる。
そして、ドクオはしこたま後頭部を地面に打ち付けた。

(゚A゚)「痛ッ!」

(;^ω^)「危ない所だったお……」

ブーンは額の汗を拭いながら、ゆっくりと体を起こす。
その横で後頭部を押さえながらプルプル震えるドクオ。

(;'A`)「急に何すんだよ!」

後頭部を気にしながら顔を上げ、ドクオはブーンに詰め寄る。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:40:03.54 ID:jVC39e3fO

(;^ω^)「そこ、そこ見るお」

(;'A`)「んあ?」

ドクオはブーンの指差す方へ視線を向ける。
二人が身を隠していた場所にあった樽に銃痕が空き、そこから水が漏れ出していた。

(;'A`)「な……、よく気付いたな……」

( ^ω^)「早く移動した方が良さそうだお」

('A`)「狙撃手が居たんじゃ動きにくいや……」

( ^ω^)「とりあえず樽の銃痕から一人は割り出せたお」

('A`)「どちらにせよ、じっとしてちゃ死ぬだけか……」

( ^ω^)「行くお」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:42:26.99 ID:jVC39e3fO

姿勢を低く保ちながら歩を進める。
家屋の裏手を通り、村の外れに着いた。

('A`)「背高草が生えてて助かった……」

村の外れには1メートル程に伸びた草が茂っていた。
これなら完全に身を隠すのは容易い。

( ^ω^)「ここを抜けたら林に出る筈だお」

暫く背高草を掻き分けて進んでいくと、木立の茂る林に出た。

('A`)「さて、何とか辿り着いたけど……」

( ^ω^)「早速来たみたいだお」

後方から草を掻き分ける音が聞こえてきた。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:46:14.58 ID:jVC39e3fO

('A`)「どうする?」

( ^ω^)「無駄弾撃つほど余裕は無いお   執拗に追っ手くる奴だけ蹴散らして逃げるお」

('A`)「……」

ドクオは無言で頷き、拳銃を握り直した。


―――



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:50:19.36 ID:jVC39e3fO

  _
( ゚∀゚)「林に逃げ込んだか……、ガキの浅知恵にしちゃ悪くない選択だな」

僅かに笑みを浮かべながら呟き、言葉を続ける。
  _
( ゚∀゚)「三人は奴らを追い立てろ。残りは俺と残れ」

ジョルジュの指示通り配下の内、三人が林に向かって行き、他はその場に残った。
  _
( ゚∀゚)「行くぞ」

ジョルジュと、その配下達は村の外へ向かう。


―――



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:55:35.09 ID:jVC39e3fO

陽は僅かに傾き、紅い夕陽が木々を照らし出す。

('A`)「まだ遠いか」

( ^ω^)「……」

木々に身を潜め、相手の出方を警戒しつつ徐々に後退する。
相手の姿は、背高草に隠れて見えないが、人数は音がする位置から凡そ二人程だろうか。

( ^ω^)「あっちから仕掛けて来ないと手が出せないお」

('A`)「まぁ、仕掛けて来ないなら来ないで、このまま逃げちゃいたいけど」

( ^ω^)「それもそうだけど、何か引っかかるお」

更に後退し、相手との距離はかなり離れた。
この距離だと拳銃の命中精度はかなり落ちる。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 01:59:22.79 ID:jVC39e3fO

('A`)「出てこないな……」

( ^ω^)「……」

('A`)「諦めたか?」

( ^ω^)「それは無いと思うけど……。
   ドクオちょっと良いかお?」

('A`)「何?」

( ^ω^)「この林を抜けたら何処に出るお?」

('A`)「ん、ちと待って」

ドクオは懐から周辺地図を出し、確認した。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:01:45.30 ID:jVC39e3fO

('A`)「抜けたらソニー川だね……、対岸に渡る為の吊り橋が架かってる筈だよ」

( ^ω^)「他に道はあるかお?」

('A`)「東は、さっきの背高草にワッフル村。南には鉄道。
   北は何も無しで荒野が広がってんね」

( ^ω^)「逃げた後の事も考えると……」

('A`)「荒野抜けは歩きじゃキツい」

( ^ω^)「鉄道はこの時間だと最終も過ぎた頃かお」

('A`)「吊り橋は渡りきるまでに追いつかれる可能性が高いね」

( ^ω^)「ワッフル村に戻るのは分が悪すぎるお」

('A`)「流石に引き返すとかは無しだわな……」

しばしの沈黙。
ブーンは警戒しつつ考える。
ドクオは地図と睨めっこ。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:04:00.08 ID:jVC39e3fO

('A`)「距離から考えると、やっぱり吊り橋になるね」

(;^ω^)「吊り橋かお……。もう、祈るしか無いのかお」

('A`)「神なんか信じちゃいないが、この際祈ってみるか?」

林のかなり奥まで進んだ。
木々の隙間から僅かに夕陽が差し込んでいるだけで辺りは薄暗い。
追っ手の気配は感じられるが、殺気が伝わってこないのが不気味に感じられた。

( ^ω^)「川のせせらぎが聞こえてきたお……」

('A`)「そろそろかな」

少しずつ歩を早める。



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:07:51.18 ID:jVC39e3fO

( ^ω^)「一気に抜けるお」

('A`)「うし」

木々の間から僅かに向こう側が見える。
あとは全力疾走だ。
木々をかい潜り、林を抜けると谷の間を繋ぐ吊り橋が掛けられた谷に出た。

(;'A`)「これは……」

(;^ω^)「……」

二人はその場に立ち尽くし、狼狽える。

(;^ω^)「思ってた以上に……ボロい吊り橋だお……」

林を抜け、視界に飛び込んできたのは今にも落ちてしまいそうな吊り橋だった。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:11:58.65 ID:jVC39e3fO

(;'A`)「さすがに……、コレはキツくないかな」

(;^ω^)「大丈夫だお。
   橋ってのは案外丈夫に作られてるもんだお」

('A`)「そ、そうかなぁ……」

ドクオは頭を掻きながら吊り橋へと歩を進める。

( ^ω^)「たぶん」

ボソリとブーンは呟く。

(;'A`)「あとから言うなよな。
   まぁ、とりあえず乗れたから良いけどさ……」

ドクオはブーンの言葉に顔をしかめながら吊り橋を渡り始めた。
一歩進む毎にロープが軋む。
張られた足板は今にも腐り落ちそうだ。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:13:53.26 ID:jVC39e3fO

( ^ω^)「……」

ギシギシと吊り橋のロープが軋む音が聞こえる。

(;'A`)「うわ……、思ってたより高いな」

橋下を見やると、流れる川の水面が遙か底に見える。

( ^ω^)「大丈夫かお?」

('A`)「黙って待っててよ……」

( ^ω^)「……」

ブーンは口を紡ぎ、拳銃を取り出して残弾数を確認した。


―――



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:22:41.20 ID:jVC39e3fO


未だ走り続ける列車にて。

从 ∀从「……」

( ゚Å゚)「……」

俯き、無言で頭を抱えているハイン。
その横で荷物を抱えているロイ。
そして、ハインは顔を上げて一言呟く。

从 ゚∀从「畜生、寝過ごすとは……」

ハインの眠り呆けている間に、目的地であるワッフル村に最も近い駅から、一つ先の駅からも離れてしまっていた。

( ゚Å゚)「どうするんです?」

ロイは相変わらずあっけらかんとした態度でハインに問いかける。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:25:12.70 ID:jVC39e3fO

从#゚∀从「テメェが起こさんのが悪いんだよアホゥ!!」

( ゚Å゚)「気持ちよさ気に寝てたんで、起こしちゃ悪いかなと思いまして……」

从#゚∀从「目的地過ぎちまったら元も子もねぇだろうがバカ野郎ッ!!」

( ゚Å゚)「でも……」

从#゚∀从「デモもクソもパンもハムあるかよッ!!」

ハインはそう喚き散らすと、ロイの脇腹に肘打ちを見舞った。

( ;Å;)「痛いッ、痛いですッ……」

ロイはピクピクと痙攣しながら痛みを噛み締める。
良いところにキマったらしい。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:28:18.37 ID:jVC39e3fO

从#゚∀从「がああああああ!! 泣くなウザッてぇッ!!」

激しく地団駄を踏みながらさらに声を張り上げる。

从 ゚∀从「……ん?」

と、人の気配を感じて視線をズラす。

从;゚∀从「うげ……」

そこには、腰に手を当てて顔をしかめた車掌の姿があった。

車掌「お静かにッ、他のお客様の迷惑ですので……」

从;゚∀从「わ、悪かったよ……。もう大丈夫だから行ってくれ……」

( ⊃Å⊂)「……大丈夫デス」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:37:30.71 ID:jVC39e3fO

車掌は口をへの字にしながらその場から去っていく。
去り際に何か言っていたようだが上手く聞き取ることは出来なかった。
きっとろくでもない事だろう。

从 ゚∀从 「クソッ……」

ハインは顎に手をあてがい、窓の外へ視線を向けて溜息を吐いた。

从 ゚∀从「今、どの辺りだ?」

( ゚Å゚)「そろそろ次の駅ですね」

ロイは答えながら麻袋の中を漁り、干し肉とナイフを取り出す。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:40:54.30 ID:jVC39e3fO

从 ゚∀从「また仕留められず終いか……」

( ゚Å゚)「これからは活発に行動を起こす筈ですからチャンスは有りますよ」

从 ゚∀从「だが、潰すのは早い方が良いだろ」

( ゚Å゚)「でも情報が少ないんで動きが読めないんですよねぇ……」

干し肉をナイフで削いで口に運ぶ。

从 ゚∀从「情報集めは手前の仕事だろタコ」

( ゚Å゚)「……干し肉、食べます?」

削ぎ取った干し肉をハインへ差し出す。

从 ゚∀从「いらねーよ」


―――


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:47:58.86 ID:jVC39e3fO


( ゚д゚ )「……」

ミルナを先頭にして、馬に跨った男達が遥か遠くに見える列車の影を見据える。

「あの列車ですかね」

一人が呟く。

「例のポイントまであと10分余りですミルナさん」

別の男がそう言うと、ミルナは返す。

( ゚д゚)「乗客には悪いが、これもザザを潰す為だからな……。
   ところで、アレの準備はどうだ?」

「……はい、もう済ませてあります」

少し間を置いて返される。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:49:44.54 ID:jVC39e3fO

( ゚д゚)「では行こうか……。
   荒野の狼の恐ろしさ、存分に思い知らせてやろう」

ミルナは馬の脇腹を足で蹴り、馬を走らせる。
部下達もそれに続く。
土煙を上げながら黒い集団は荒野を駆けていった。




38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/05(月) 02:50:03.04 ID:jVC39e3fO

【9th:逃走劇】 fin



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