( ^ω^)カウボーイなようです 【Prologue】

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:06:47.10 ID:DzSuOfBzO



再開、そして物語は第二幕へ





6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:07:12.27 ID:DzSuOfBzO

【Prologue】



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:08:15.89 ID:DzSuOfBzO


目の前が真っ暗だ。

怖い……

体中が痛い。

痛い……

痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い

助けて、助けてよ……

誰か、誰か助けてよ……

死にたくないよ……




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:11:13.23 ID:DzSuOfBzO


ある日の昼下がり。

一人の男が水汲みをしようと川縁を歩いていると、岸辺に赤髪の少女が流れ着いているのを見つけた。

?「何だ死体か……?」

いつもなら素通りするのだが、何故か気になった。
男は赤髪の女に近寄り、川から引き上げ
て河原に寝かせる。

よく見ると、体のあちこちから血が出ているようだ。

?「まだ子供だな、何処かの村が襲われでもしたのか。
   だが、この傷は弾傷? 上流で何があったのだろう……?」




9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:12:46.37 ID:DzSuOfBzO


胸が微かに上下に動いている。
まだ息があるようだ。

?「……」

「う……、あぅ……」

?「何だ?」

「ブ……、ン……」

赤髪の少女が何かを呟く、だが何を伝えたいかは解らない。

?「……」

少し考え、少女を背負い男はその場をあとにした。


−−−



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:15:30.73 ID:DzSuOfBzO


「助……け……」

?「む?」

「うぅ……」

?「目が覚めたか」

見知らぬ男に支えられながら私は体を起こす。
うっすらと目を開くと窓からは陽の光が差し込んできていた。

「ここは……、アナタは……? アタシはいったい……」

?「ここは……、寂れた村、終わった場所だ。
   かつて住んでいた者は殆ど居ない」

そう言いながら男は立ち上がりコップを二つ取り出すと、ポットから何かを注いで一つを私に差し出した。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:17:02.04 ID:DzSuOfBzO


( ΦωΦ)「そして我が輩の名はロマネスク。
   しがない一人の流浪者だが訳あってここに居座っておる。
   ……そなたは上流から血だらけで流されてきたのだ」

「流されて……、血だらけ?」

( ΦωΦ)「安心しろ。酷い怪我だったが村の者と共に適切な処置はしておいた。
   だが……、完治にはまだ日がかかる」

ロマネスクは言い終わるとコップに口を付け、注がれたものを啜った。

私も同じようにコップの中のものを啜る。

「苦……、これは何?」

それ口に入れた瞬間、苦味が口中に広がった。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:19:24.11 ID:DzSuOfBzO


( ΦωΦ)「グリーンティーという物だ。
   東洋人の商人から買ったものなのだが、口に合わなかったか?」

「大丈夫です……」

( ΦωΦ)「ところで、お前の名は……?」

言われ、思いだそうとすると頭の奥に痛みが走った。

「ッ……わかりません」

( ΦωΦ)「そう……か」

そのとき、不意に下の方からガラスが割れる音と怒声が聞こえてきた。

「何!?」

( ΦωΦ)「ちょっと見てくる……。
   お前は待っていろ。弾を抜くときに付いた傷が開くからな」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:20:05.51 ID:DzSuOfBzO


ロマネスクは立ち上がり、壁に掛けられたジャケットを羽織って部屋から出ていった。

「うぅ……」

私はその後を追うようにフラフラとベッドから降りる。

「ぅ……」

床に足を着けた瞬間、体中に激痛が走りその場に倒れてしまった。


−−−



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:22:46.11 ID:DzSuOfBzO


「ロマネスクゥ!!」

ロマネスクが外に出ると10人前後のガンマンが待ちかまえていた。

「借りを返しに来たぜ!」

「忘れたとは言わせんぞ!」

ロマネスクは溜め息混じりに言葉を返す。

( ΦωΦ)「すまん……、恨みを買いすぎていつの誰の恨みかわかりかねる」

「言ってろ!」

ガンマン達の中の数名が拳銃を抜いた。




16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:23:53.88 ID:DzSuOfBzO


「グャッ!」

「ギャバ!」

「な、何!?」

同時に拳銃を抜いた者は引き金を引く事無く、膝から崩れるようにしてその場に倒れた。

( ΦωΦ)「銃を抜くとは覚悟を決めたという事だと思え。
   その者に対して我が輩は、それ相応の施しをしよう!」

いつ抜いたのか、ロマネスクの手には拳銃が握られていた。
その銃口からは一筋の煙が立ち上っている。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:25:26.27 ID:DzSuOfBzO


「う、う……」

「ひぃあああああ!」

「聞いてねぇ! 俺はこんなの聞いてねぇぞ!?」

「逃げろっ! 逃げろおおおおお!」

「あっ、待てよお前等っ! ち、畜生……」

リーダーらしき一人を残し、ほかの者達は我先にと逃げていった。

( ΦωΦ)「……お前は逃げないのか?」

「う、うるせぇ! お前が……、お前があああああ!」

リーダーらしき男はガンベルトから拳銃を引き抜く。
そして拳銃を構えた。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:27:04.12 ID:DzSuOfBzO


「あ?」

が、手首から先が拳銃を握ったまま地にズルリと落ちていった。

「ああああああああああああ!!?」

腕の傷口から血が溢れ出す。
眼前には鞘から抜かれた刀を携えたロマネスクが立っていた。

( ΦωΦ)「東洋の剣……、悪く無いな」

「ぐぁ……、あああああああああああ!!」

叫び声を上げながら男はロマネスクに突進する。

( ΦωΦ)「楽にしてやる」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:29:17.86 ID:DzSuOfBzO


刹那、風を斬るような音と共に男の頭が鮮血をまき散らしながら体とサヨナラをした。

( ΦωΦ)「永久に眠れ……」

頭が地に落ち、体は糸の切れた操り人形
のように前のめりに倒れた。

刀を振るい、こびり付いた血を落として腰に下げた鞘へ戻してロマネスクは振り返る。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:30:41.98 ID:DzSuOfBzO


私はその一部始終を見ていた。

( ΦωΦ)「……まだ動いても良い体ではないと言ったろう?」

?「その……」

( ΦωΦ)「ん?」

?「私に……、戦い方を教えてくれませんか?」

( ΦωΦ)「無理だ」

即答。

「何でもします! だから……」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:33:03.92 ID:DzSuOfBzO


( ΦωΦ)「寝言は寝てから言え」

「そんな……」

ロマネスクは続ける。

( ΦωΦ)「まともに動けるまで半年はかかる。
   そのような状態のお前には無理だという事だ。
   まずは、怪我を治してからだな……」

そう言ってロマネスクは私の前に立ち、背中を向けて屈んだ。

( ΦωΦ)「ほれ」

「……」

無言でロマネスクの背に負ぶさる。

( ΦωΦ)「お前が何故戦いたいかは聞かんよ……。
   兎に角、今は安静にすること。
   ゆっくり、じっくり進めば良いさ」

「……」

ロマネスクの背中はとても広かった。




22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 20:35:13.97 ID:DzSuOfBzO


あれから二年。

傷を癒やして、死に物狂いでリハビリを繰り返した。
その間もロマネスクからあらゆる事を学び、知識や戦闘術を身につけていった。

二年後、ロマネスクと共に渡り鳥のように各地をさすらいながら旅へと駆り出す。


そして−−−





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