第二魔術
- 77 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:41:39.71 ID:aN9BLLrE0
- 青空。
死ぬ前に見えるというらしい走馬灯はあいにく見えなかったが、
仰向けに倒れ、跳ね上がった視界には一面の青だけが溢れ返っていた。
( ω )「い……今起った事三行で」
('A`)「小型ドラゴン着陸
その地点にお前が居た
一行たりない」
( -ω-)「把握。で、僕、生きてるかお?」
('A`)「…………」
ドラゴン熱もすっかり冷めたらしいドクオが、いつのまにか傍に寄ってきていた。
そうして無表情でブーンの足もとを指す。
丁度、あの飛空竜がいる方向であった。
- 79 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:44:12.89 ID:aN9BLLrE0
- ( ^ω^)「…………」
足がー! 僕の足がー! 的な展開はこの際なしの方向でお願いします、と
懇願の念も込めて、ブーンは上体を起し、おそるおそる自分のそれを見た。
(; ^ω^)「ちゃ……ちゃんと足、ついてるお」
('A`)「小型竜は結構賢いんだよ。着地地点にいる人間を避けるくらい、造作もねー」
(; ^ω^)「な、ならなんでこんな九死に一生的な……」
('A`)「だからだな、結構賢いから――」
まだ腰の抜けた状態で、必死に抗議するブーンを軽くあしらうドクオ。
腰はまだ抜けていて、ブーンは立ち上がれない。
ブーンの体は、飛竜の爪の間にあった。
もう少しどちらかがズレていれば、今ごろスプラッタな光景が繰り広げられているだろう。
低く唸るような鳴き声が、前方の小型竜からあがった。
「いたずらするのはやめろっていっつも言ってるじゃない、ラインハット!」
次いで、聞こえてくるのは玉を転がすような女の子の声。
それから、ぺシ。とウロコを叩く音が聞こえた。グルル。少し情けなさそうなドラゴンのうねり声
- 82 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:46:25.46 ID:aN9BLLrE0
- ('A`)「たまーに、こうやって意図的に脅かすんだ」
( ^ω^)「ドクオ、少し嬉しそうなのは僕の見間違いかお?」
('A`)「そうだろうな。幻覚だ幻覚」
ξ )ξ 「ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」
いつも通りの会話をしていると、上空から声が投げられた。
あの女の子の声だ。――つまりはこの小型飛空竜の乗り手であり、諸悪の根源と言う事にもなる。
逆光でシルエットでしか捉える事が出来ないが、ブーンは彼女を睨みつける。
(#^ω^)「ちょっと、君ドラゴンの操作くらいちゃんとし――っ!?」
非難の声をあげようと立ち上がり、
そして、
ξ;;゚听)ξ 「ラインハット! きゃ、きゃぁぁぁあああ!!」
(;;^ω^)「っうぉぉぉおお!!?」
ドラゴンが首を大きく振った。
- 86 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:47:28.14 ID:aN9BLLrE0
-
('A`)「あーあ、っと」
親方、空から女の子が。
- 88 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:48:53.95 ID:aN9BLLrE0
- ξ゚听)ξ 「っぅ……ラインハット、ちょっと何す――!?」
( ω )「ど、どいてくださいお……」
ξ;;゚听)ξ 「きゃ、きゃあッ!?」
仰向けの次はうつ伏せになったブーン。
その腰あたりに着地した女の子から黄色い声があがった。
ラインハット! 女の子の怒鳴り声がドラゴンに投げつけられる。
翼を折りたたみ、ドラゴンはキュウ。鳴いた。
ξ゚听)ξ 「っ! ちょっとアンタ、ど、どこ触ってんのよ!」
( ω )「それはこっちの台詞ですお……っ、重っ」
ξ#゚听)ξ 「はっ、何、今アンタ重いって言った!?」
(;;; ω )「いい、言ってないですお!」
遥か海を越えた東国にいると言われるモンスター、子泣き爺のように女子のウェイトがあがって行く。
肺の空気を全て出し切った所で、キュウ。ブーンが鳴いた。ドラゴンよりも可愛げのない悲鳴だった。
緑一面の草原に、風が走る。
- 90 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:49:58.22 ID:aN9BLLrE0
- ('A`)「まーまーそう言いなさんな。このドラゴン……アンタのか?」
ξ;゚听)ξ 「そ、そうだけど」
( ゚ω゚)「…………」
('A`)「さっきドラゴンの頭一度叩いただろ」
ξ゚听)ξ 「え、ええ……」
いくらか殊勝顔で頷く、空から降ってきた女の子。
頭を掻き、ドラゴンに近づこうと一歩踏み出すドクオ。
ξ;゚听)ξ 「あ、ラインハットは、その子、あんまり人に懐かな――」
('∀`)「うーし、うし。いい子だ」
恐れもなく、警戒もなく、ドクオはドラゴンの肌に触れた。
人に懐かない、と言われた彼女の翼竜も、それを甘んじて受け入れているようだった。
クゥゥゥ……とラインハットの喉が鳴る。
気持ちいいと感じている節さえありそうだ。
- 92 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:50:56.13 ID:aN9BLLrE0
- ξ゚听)ξ 「……嘘」
( ゚ω゚)「ド、ドクオはモンスター牧場のむ、息子な、んだお……」
ξ゚听)ξ 「なるほど、だから扱いはお手の物って訳ね」
('A`)「この手のドラゴンは、頭を叩かれるのが嫌いなんだよ。逆鱗がこの周辺にあるからな」
ξ゚听)ξ 「え……逆鱗って、普通あごの下に生えてるものじゃないの?」
('A`)「種類によってまちまち」
ξ;゚听)ξ 「そ、そうなんだ……」
( ω )「で、で、ドラゴン談議のところに申し訳無いんだけど。
……そろそろ、どいてくれないかお?」
ξ゚听)ξ 「へ?」
('A`)「あ」
ξ;゚听)ξ 「きゃ、きゃぁ!」
再び上がる黄色い声。草原にあがる、ドラゴンの咆哮。
- 95 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:51:26.81 ID:aN9BLLrE0
- 彼女の名前は、ツン=デレギリウス。
その彼女こそが彼らの一人目の親友であり、後に王立魔術学校、
引いては王都バルテルミをも巻き込む事件の、キーパーソンとなる人物である。
( ^ω^)ブーンは赤魔術師見習い生のようです 第2魔術
- 97 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:52:55.02 ID:aN9BLLrE0
- ξ゚听)ξ 「と、すると、あんた達も魔術学校の入学生なの?」
('A`)「まあな。も、って事は」
ξ゚听)ξ 「私もよ。ああ、紹介が遅れたわね。
私はツン。ツン=デレギリウス。正門までだけど宜しくね、ドクオ」
遅れすぎた自己紹介が始まった。
石畳の道を歩きながら、ツンとドクオは二人は同一の目的地を目指している。
市場通りが近いのか、行き交う人の顔に生気が満ちていた。
心なしか、熱気も漂って来ているようにも思う。――魔術学校は近い。
('A`)「ああ、短い付き合いだがよろしくな」
( *ω*)「ぼ、僕はブーン・ホライ、ゾ、ンですお……」
ゼヒッ、とブーンが掠れた息を吐く。
- 100 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:54:37.41 ID:aN9BLLrE0
- ('A`)「おーい、ペース落ちてんじゃねーか荷物持ち」
ξ゚听)ξ 「鈍いわね」
割と勾配のある、石畳の坂道を登る二人、と、
(;;*ω*)「ゼヒッ、ちょ、ヒッ、おま――っ」
何故か二人の荷物を持つブーン。
('A`)「流石にあの荷物は女の子に持たせらんねーって言って自分で言うんだもんな、ブーン」
ξ゚听)ξ 「どうしようかと私も悩んでた所だったのよ。ありがと、ブーン」
勝手な言い分が前方から上がるけれど、誓ってそんな事は言ってない。
自分のリュックサックで一杯一杯だったのに、
何を詰め込んだか分からないけどとにかく重い女子の荷物持ちを
押し付けられるとは何たる事だろうとブーンは自分自身を叱咤する。
ともあれこれが、三人の力関係が決定した瞬間だった。
('A`)「あのドラゴン、よく手入れされてたな。触って解った」
ξ゚听)ξ 「……ラインハットは、家族みたいなものだから」
- 102 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:56:36.76 ID:aN9BLLrE0
- ('A`)「そうか。大事にしてやれよ」
ξ゚ー゚)ξ 「勿論」
( *ω*)「おぉ、お二人さん……? そのいいふいんきな所申し訳ないんだけど
――も、もう死ぬお!」
('A`)「おいおいなっさけねー声出すなよブーン。……ほら、着いたぜ」
ドクオとツンの歩みが止まった。つられ、ブーンもそれに倣う。
それからずり落ちてきたリュックサックの紐を直し、
ツンのバックをゆっくりと降ろし、ドクオのボストンバックは無造作に地面に置いた。
はひ、と息を吐き、見上げる。
( ^ω^)「――うぉ」
思わず感嘆する。
坂を登り終えた先にあったもの。それこそが、
- 105 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 19:58:04.76 ID:aN9BLLrE0
-
ξ゚听)ξ 「王立魔術学校……」
憧れていた学び舎の正門だった。
積み上げられた赤レンガ。
その佇まいは一見すれば城の城壁とも見間違うほど立派である。
感動は、天空城を始めて見た時のそれに勝るとも劣らない。
体の奥から突き上がって来るような歓喜がある。もう一度ブーンは大きく息を吐いた。
('A`)「天空城のレンガと同じもんを使ってるらしいぜ」
(^ω^ )「パンフレット情報?」
('A`)「うるせー」
―― 王立魔術学校
ロマティネス王国の首都バルテルミ、
円形状のその都市の上辺に位置する、一大魔術学校である。
創立から実に1万と2千年 『学ぶ意志のある者』に開かれる広き門。
世界の四大魔術(黒、白、青、赤)研究の権威であり
55の学部、555の学科から成る。
- 108 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:00:34.85 ID:aN9BLLrE0
- ( ^ω^)「つーかコレ、どうやったら開くんだお?」
ξ゚听)ξ 「……さあね」
('A`)「入学のしおり書いてあったかね……」
三者三様の言葉が出た。三人の前には、閉ざされた巨大な鉄製の門。
人4人が両手を伸ばしても直径にまだ足りないそれは、
見た目の重厚さを裏切らず押しても引いても動かなった。
ご丁寧に呼び鈴がある訳でなく、看守小屋がある訳でもなかった。
('A`)「……まあ待て。俺に考えがある」
川 ゚ -゚) 「ほう」
( ^ω^)「聞かせて戴きますかお」
よっしゃ。と意気込んで、魔術学校の朱印が入った封筒を天にかざすドクオ。
一週間前に送られてき、魔獣列車でブーンに見せたあの入学許可証だった。
('A`)「ひらけゴマぁぁああ!!」
- 110 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:02:03.51 ID:aN9BLLrE0
- ξ゚听)ξ 「……」
川 ゚ -゚) 「…………」
( ^ω^)「………………」
一通りの沈黙があり、
( ^ω^)「さて、どうしたもんかおね」
ξ゚听)ξ 「入学手続きの時間は合ってるハズなんだけど……」
('A`)「スルーかよ畜生。セオリーだろ、お約束だろ、おいコラ!」
ドクオ撃沈。
川 ゚ -゚) 「……お困りのようだな」
ξ゚听)ξ 「ええ、そりゃまあ、普通に困って……」
( ^ω^)「ってぇ……」
ξ゚听)ξ 「「「誰?」」」(^ω^ )
突然、と言うよりはいつのまにか輪の中に入っていた女の子を見、声は見事にユニゾンした。
当然と言えば当然の疑問に、涼しげな顔つきの彼女は口元をやんわりと歪める。
- 113 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:04:22.93 ID:aN9BLLrE0
- ツンのそれとは対照的な黒髪が揺れ、ドクオが息を呑む。
端麗。
そんな言葉が似合いそうな清楚な印象を受ける女の子が、いつのまにかツンの隣に立っていた。
白いローブの中に着込んだ、絹の服。
授業でやった白魔術師の服装のそれとまったく同一のものだった。
ブーンは小首を傾げながらもう一度聞く。
( ^ω^)「あの、……誰ですかお?」
川 ゚ -゚) 「ああ、自己紹介はコイツを通してすればいいさ」
( ^ω^)「コイツ……?」
再度小首を傾げたブーン。
彼女が人差し指で指しているのは、あの鉄の扉だった。
ξ゚听)ξ 「あ、まさか――」
合点の行ったらしいツンが目をしばたかせながら彼女を見た。
どういう事だお? 理解していないブーンを尻目に、黒髪の女の子は言う。
- 115 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:06:19.30 ID:aN9BLLrE0
- 川 ゚ -゚) 「教皇領はモンテ=カシノから参った、クー・スナオと言う!」
《――汝 学びの意志はありきか?》
瞬間、地を這うような低音が、大気を震わせた。
ビリビリと刺激される鼓膜をブーンたちはとっさに抑える。
やばい破れる。マジ鼓膜破れる。冷や汗が背中を流れた。――いや、それにしてもしかし。
(;'A`)「な……」
(;;^ω^)「も、門が喋っ!?」
ξ゚听)ξ 「やっぱり!」
ブーンとドクオとは違う色をした声をツンが上げた。
そうだったのね、と確かめるように何度も言いながら、クーと名乗った少女の方を見た。
- 118 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:07:53.10 ID:aN9BLLrE0
- (;;^ω^)「ツ、ツン? それ、どういう事だお!」
ξ゚听)ξ 「王立魔術学校の特色って言ったら?」
('A`)「そ、そりゃ古い歴史と、『学ぶ意志のある者』に開かれる広いも……あぁ!!」
(;;^ω^)「ド、ドクオ?」
まだ状況の掴めていないブーンを置いてけぼりに、今度はドクオが納得した。
奇声を上げてそうか! そう言うことか! と何度も言っていた。
(;;^ω^)「……どういう事だお?」
ブーンのぐるぐると回る思考はいくら待っても答えまでたどり着かない。
川 ゚ -゚) 「黒魔術を学びたく思う心は本物だ。その門、開いてはくれないか」
黒髪の女の子の目は真摯で真っ直ぐだった。ウソ偽りのない光、と言えば簡単なのではあるが。
- 121 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:09:12.00 ID:aN9BLLrE0
-
《その目や、良し!》
クーの目が見えてるかどうかは定かではないが、鉄の扉は重低音で言った。
少しだけ満足そうでもある声だった。
それから、ギギギギギギィィィイ――――と、
重苦しい金属の摩擦音が辺りに響き、閉めきられていた扉はその口を開ける。
おおおお、と一同から感嘆の言葉が出た。
川 ゚ ー゚) 「と、言う事だよ」
振り返り、クー・スナオと名乗った女の子は笑う。
一見すると清楚であるが、いや。どこかに、かすかな腹黒さが垣間見えるようなそんな笑顔である。
- 124 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:10:34.04 ID:aN9BLLrE0
- (*'∀`)「き……きれいだ」
もっとも、何かのフィルターを全開にさせているドクオには
まったく感知できない事だったのかも知れないが。
ブーンはそろりと一つ息を吐き、ツンとクーの方へ向き直った。
( ^ω^)「で、どういう事ですお……?」
ξ゚听)ξ 「アホくさいわね、アンタ」
(;;^ω^)「ア、アホくさ……?」
ξ゚听)ξ 「バカじゃないの、って言ってんの。学ぶの意志がある者に開かれる広き門、それが」
('A`)「比喩や誇張じゃなくて、本当の意味で、ってことか」
川 ゚ -゚) 「さもありなん」
ドクオの正確な合いの手に、クーが同意する。
(*^ω^)「ほ、ほぉーー」
感心しきりのブーンに、ツンからため息漏れた。
それから、彼女は一人が通れるくらいに開かれた扉の前に立つ。
- 126 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:11:32.92 ID:aN9BLLrE0
- ξ゚听)ξ 「帝国はデルギリウス家領邦から参上しました。名は、ツン=デレギリウス!
白魔術を学びたく思います、その門、開けてくれませんか!」
《その志や、よし!》
またあの金属音が響く。扉は二人分の隙間を渡す。
ツンの視線が、硬直していたブーンとドクオに配られる。やれ、と言う事らしい。
('A`)「お、王国はノークからまいった、名前はドクオ・モーオと言う!
親父の牧場を継ぐために青魔術を学びたい! その門、開いてはくれないか!」
《その夢や、よし……!》
重厚な扉は、ゆっくりと。だか確かに開かれていく。
向こう岸から燦々と漏れてくる光に、ブーンは一瞬目を瞑った。
あの向こうに、求める知識があるのだと思うと胸が高鳴る。
そうして残るはブーン、ただ一人。
- 129 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:12:53.48 ID:aN9BLLrE0
- 一歩踏み出し、ブーンは正門を仰ぎ見た。
『学ぶ意志のある者に開かれる広き門』が、堂々とそびえ立っている。
よし、と決意一つ、ブーンは声を張り上げる。
( ^ω^)「同じく、王国はノークから来た、名はブーン・ホライゾンだお!」
《――汝 学びの意志はありきか?》
扉は、少ない振動数で大気を震わせる。耳の奥に深く刻みこまれるような声だった。
それに耳と目を背けることなく、見据えるようにして、僕は。と、ブーンは思う。
――僕は、
( ^ω^)「ある! 赤魔術を学びたい! その門、開けお!!」
- 130 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:13:19.90 ID:aN9BLLrE0
- ややあった、
《その意志や、よし!》
許容の音が響いた。
- 134 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:15:32.38 ID:aN9BLLrE0
-
《偶然なるが必然なるが、ここに四色の魔術師が揃った》
続けて、扉が何かおかしな事を言い出す。
つられてか、4人の周りの空気もなんだか変な方向に固まりだしていた。
川 ;゚ -゚) 「な……君、専攻は赤魔術だったのか!?」
(;;^ω^)「そ、そうだけど……なんだお?」
ガシ、とクーに肩を掴まれ狼狽するブーン。
顔近い。顔が近いです。
通常の男子ならば赤面モノだが、辺りに漂うのは不穏な空気である。手放しでは喜べない。
ξ;゚听)ξ 「聞いてないわよそんなの!」
('A`)「ど、どういう事だ?」
川; ゚ -゚) 「く、くそっ、専攻式になってから赤なんて選ぶ奴いないだろうと思って油断した!」
(;;^ω^)「おっ? ……おぉ?」
四者二様の反応があり、
- 135 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:16:03.59 ID:aN9BLLrE0
-
《古き伝承に従い、ここに汝らを――》
川 ゚ -゚) 「……何て事だ。パーティ、組まされるぞ」
(; ^ω^)「パ、パーティー?」
ξ;゚听)ξ 「雑用係みたいなものよ……あー、もう信じられない!」
- 138 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:16:27.16 ID:aN9BLLrE0
-
《模範見習い生とする――!》
- 142 名前:赤魔 ◆/u1GirgBlw :2008/02/19(火) 20:18:48.32 ID:aN9BLLrE0
- (; ^ω^)「ざ、雑用係?」
オロオロとブーンが周りを見渡した。
男子はひたすら狼狽し、女子はひたすら混乱している。
なんだかとても混沌とした空気になっていく魔術学校正門前。
ξ゚听)ξ 「もう色々やらされるのよ! っ、ブーン、そう言う大事な事は先に言ってよ!」
(;'A`)「色々って……」
川 ゚ -゚) 「掃除とか魔獣の世話だとか他の生徒の世話だとかだな……ああ、もう」
(;;^ω^)「そ、そんなの……」
川 ゚ -゚) ξ゚听)ξ 「「「「絶対嫌だぁぁ!!」」」」(^ω^ )('A`)
初めて四人の心が一つになった瞬間、その心に溢れていたのは任務の拒否だったと言う。
広き門は、調度4人分の隙間を開けて、見習い生たちの入学を待ち構えていた。
( ^ω^)ブーンは赤魔術師見習い生のようです 第三魔術に続く