( ^ω^)は赤い石に立ち向かうようです

1 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:17:54.25 ID:u+QqTs4N0
第一話「手紙」


――全ては一通の手紙から始まった――


1915年、9月10日。ニューヨーク州ニューヨーク。
ガス灯から電灯へと変わりつつ、家庭にも電気が普及し始めた頃。
男はリビングで新聞を読んでいた。

???「ふぅ、休日の朝はゆっくりと新聞を読む、これが一番の贅沢だお」

男の名はブーン・ホライゾン。

???「……郵便です」

小さな声と扉を叩く音が部屋に響いた。
ブーンは新聞をテーブルに置くと、嫌そうな顔をして扉の前へと歩み寄った。


2 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:18:42.29 ID:u+QqTs4N0
(#^ω^)「まったく、時間を考えてほしいお」

扉を開けると郵便配達の男が立っていた。
走り回っているのが目に分かるように顔を汗がつたっている。

(#^ω^)「ドクオ、配達ご苦労様だお。
       早く郵便物を渡して帰ってくれお」

男の名はドクオ・ポーツマン、ポストマン(郵便配達)をしていてブーンとは幼少の頃からの仲だ。

('A`) 「ごめん……ブーン。郵便です」

ブーンはドクオから郵便物を受け取ると勢いよく扉を閉めた。
ブーンはこの時間の来訪者を何より嫌う。例えそれが友人であっても。
彼にとってはこの時間が一時の幸せなのだろう。

( ^ω^)「ん? この手紙はモナーからだ……懐かしいお」


3 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:19:43.38 ID:u+QqTs4N0
手紙の送り主はモナー、幼少の頃から仲が良かったのだが父親の仕事のため引っ越しをした。
引っ越し後は住所を聞かなかったのもあり手紙を送ることも出来ず、どうしているのかは分からなかった。
思わぬ友人の手紙にさきほどまでのイライラは嘘のように吹き飛んでいた。
手紙の内容は「ブーン、久しぶりだモナ。引っ越ししてから手紙の一つも送れなくてごめんモナ。
色々あったんだモナ。ふと、君の事が頭に浮かんで突然この手紙を書いたモナよ。
ブーンは学校楽しんでるかモナ? モナは楽しんでるモナ。
機会があったらに遊びに来てモナ。それじゃバイバイモナ」と現在の近況を書いた手紙のようだ。

(;^ω^)「うん? もう学校なんて年齢じゃないが、モナーは学者かお?」

手紙を見つめていると突如、眠気が襲ってきて眠ってしまった。


4 名前: 宇宙飛行士(埼玉県) :2007/03/19(月) 17:21:02.50 ID:kBxT+uqi0
産業で

5 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:22:03.17 ID:u+QqTs4N0
(?^ω^)「ここはどこだお?」

どこかの地下道だろうか、薄暗くロウソクのわずかな灯りが通路を照らしている。
壁には爪でひっかいたような跡が何重にもあり、床には大量の血痕がある。
ブーンは上から見下すように見ていて、体は硬直したように動かない。

???「う、うわぁぁ。た、助けてくれ!」

若い男の声が通路に響き渡る。

???「……全ては、この町のためだ……」

中年の男がゆっくりと足取りで若い男に近づいていく。
手には宝飾が施されたナイフが握られている。

???「あ、あんたはどうしちまったんだ!? 何があったんだ!?」


6 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:22:48.07 ID:u+QqTs4N0
???「……」

若い男は中年の男から逃げるが、ついに壁に追い詰められてしまう。

???「お、お願いだ。助けてくれ。何でもするから」

若い男は必死で中年の男を説得しようとする。
だが、中年の男は聞く耳を持たず、ナイフで若い男を突き刺した。

???「ぐ……がぁ……」

若い男は地面に倒れ込むと二度と動くことは無かった。

???「……これで、私の……」

ナイフの宝飾部分は、血のように赤く光を放っていた。
その瞬間、ブーンの視界は黒く染まり何も見えなくなった。


7 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:24:11.01 ID:u+QqTs4N0
気が付くとブーンは部屋にいた。

( Vω⊂)「ふわぁ? 電話だ……」

ブーンは眼を手でこすりながら、電話の受話器を手に取った。

('A`) 「ブーン、こんばんは。今から家に行ってもいいか? 仕事終わったからさ」

( ⊃ω^)「おぉ、ドクオ。こんばんはって、もうこんばんはかお? 」

('A`) 「何言ってんだ? もう夕方だ」

(;^ω^)「そうか、それはすまない。おk、待ってるお」

('A`) 「うん、じゃあな」

( ^ω^)「それじゃ切るお」


8 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:25:35.47 ID:u+QqTs4N0
受話器を置くとブーンは時計の方へと目を向けた。
時計の針は午後6時を示していた。

( ^ω^)「結構長い時間眠っちゃってたお。疲れてもいないのに不思議だお」

電話からしばらくすると、扉を叩く音が部屋に響いた。

( ^ω^)「ドクオ、ちょっと待っててくれお」

ブーンは扉を開けるとドクオを中へと入れた。

('A`) 「お邪魔するぞ。あいかわらず綺麗な部屋だな。あんまり物がないだけだけどな」

(#^ω^)「ビキビキ、ド、ク、オ? 」

(;'A`) 「じょ、冗談だ、ブーン。ほら、ブルマンブレッド買って来たから食べよう」


9 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:26:57.30 ID:u+QqTs4N0
(=Oω^)「それは僕の好きなパンじゃないかお。ありがとだお、ドクオ」

ブーンはドクオからパンを受け取ると満面の笑みを浮かべる。

('A`) 「では、いただきます」

(=Oω^)「いただくお」

二人はパンを幸せそうに頬張った。

('A`) 「おいしいな、このパンは」

(=Oω^)「うむ、おいしいお。
       しかし、ドクオは家に遊びに来る時と外とでは全然性格が違う気がするお」

('A`) 「仕方がない、人と接するのが苦手だ。外だと大声出せないし」


10 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:28:40.65 ID:u+QqTs4N0
(=Oω^)「そんなんでよく郵便配達なんてやれるお。すごいお」

(*'A`) 「す、すごくなんてない」

(=Oω^)「ふぅ、ごちそうさまだお。そういえば今日、モナーから手紙が来たお」

('A`) 「モナー!? そうなんだ、なんて手紙には書いてあったんだ?」

( ^ω^)「それが、笑っちゃう内容なんだお。モナーは未だに学生生活を送ってるらしいお。
       ほら、読んでみるといいお」

ブーンはドクオに手紙を手渡した。

($'A`) 「……本当だな。それに一言も俺について書かれていないな。鬱だ(ry」

(;^ω^)「ちょ、強く生きるんだお。
       それで、一週間の休暇をもらってたからモナーの住む街に行ってみようと思ってるんだお」


11 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:30:01.12 ID:u+QqTs4N0
('A`) 「そうか、一週間の休みなんて羨ましいな。図書館の職員は暇なんだな、ブーン。
    良いんじゃないのか、俺は仕事があるから行けない。何かお土産買ってきてくれ」

(#^ω^)「図書館の職員だって大変だお。失礼しちゃうお。
       おk、今日はパンありがとだお」

('A`) 「おっと、もうこんな時間か。それじゃぁ、帰るよ」

( ^ω^)「うん、気を付けて帰るんだお」

ドクオが帰ると、ブーンは明日に備えてベッドに横になると眠るのだった。

※ブルマンブレッドとは四角い食パンの事です。四角い食パンはアメリカ生まれ。
 山型食パンはイギリス生まれ。ブルマン社が考案したパンでブルマンブレッドと名付けられたそうです。


12 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 17:33:07.88 ID:u+QqTs4N0
これで第一話は終わりです。
30分後ぐらいに第二話を投下します。


>>4
( ^ω^)が
とある町に行って
うんじゃらほんにゅん

13 名前: ネコ耳少女(コネチカット州) :2007/03/19(月) 17:35:02.68 ID:oUVO2h4MO
期待

14 名前: 忍者(北海道) :2007/03/19(月) 17:35:09.00 ID:1gj6QaRs0



15 名前: 保母(北海道) :2007/03/19(月) 17:37:51.49 ID:KQ6paDF3O
今後に期待

16 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:12:25.45 ID:u+QqTs4N0
それでは投下します。

17 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:20:22.01 ID:u+QqTs4N0
第二話「出発」



9月11日。
ブーンは早速、旅支度を始めていた。

( ^ω^)「この少し大きめの鞄にするお。お土産はドクオから貰ったパンにするお」

この鞄はブーンが随分と前に買った物なのだが、傷一つ無く新品そのものだ。
それもそのはず、一度も使ったことが無いからである。
値段が高いためもあるが、気に入ったため汚したくなかったからなのだろう。

( ^ω^)「でも、こんなにパンを持っていってあげても食べきれないと思うお。
少し食べるかお」

ブーンは一枚のパンを手に取り、頬張った。


18 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:21:41.28 ID:u+QqTs4N0
(=Oω^)「やっぱりおいしい、幸せだお」

パンはあっという間に胃袋の中へ吸収されてしまった。

(;^ω^)「幸せとは、かくも儚きものなのかお。
       うむむ、もう一枚食べてもいいかお」

ブーンは一枚のパンを手に取り、頬張った。

(=Oω^)「パン職人は天才、憧れちゃうお」

パンはあっという間に胃袋の中へ吸収されてしまった。

(;^ω^)「あわわ……もう一枚、もう一枚だけなら食べてもいいかお」


19 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:22:22.32 ID:u+QqTs4N0
こんなことを繰り返しているうちに、10枚あったパンは無くなってしまった。
時間にして10分ほどの出来事である。

(;゜ω゜)「ぜ、ぜ、ぜ、全部食べちゃったお」

我に返るも後の祭り、ブーンは落ち込むも必要な物を鞄の中へ入れていった。
旅の準備が終わると部屋の戸締りを確認し、家を出た。
向かう先はグランド・セントラル駅。
駅へと歩くブーンの後ろ姿をドクオは優しく見守っていた。

( 'A`)「ふふ……」


20 名前: 魔法少女(東京都) :2007/03/19(月) 18:23:19.95 ID:+OesEtEs0
支援
ジャンルは?

21 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:25:49.81 ID:u+QqTs4N0
――グランド・セントラル駅。

ニューヨークの玄関口と言われるだけあって人であふれている。
この頃の交通手段と言えば鉄道であったためでもあるのだが。
人が出たかと思えば、また人が入ってくる、まるで寄せては返す浜辺の波のようだ。


( ^ω^)「あいかわらず人がいっぱいだお。切符を買うのも一苦労だお」

ξ `ε´ ξ「待ちなさいよ、マルセオ!」

(;´д`)「違うって、浮気なんてしてないよ。信じてくれよ、アン」

ξ#`ε´ ξ「フ ル ボ ッ コ に し て や ん よ」

(;´д`)「じゃ、じゃあな。俺もう行くから。信じてくれよ」

ξ#`ε´ ξ「あっ、待ちなさい! まったく私の気持ちも考えなさいよ」


22 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:26:53.21 ID:u+QqTs4N0
Σ(;^ω^)「これなんて修羅場?」

人が集まると同時に感情が集まる場所でもある。
ブーンが見た別れ、再会、旅立ちなど実に様々だ。
人混みをかきわけて切符売場までたどり着いたブーンだが、すでに疲れていた。

(ι^ω^)「はぁはぁ、疲れたお。だから、駅は嫌いなんだお。
      すいません、ホルックまで行きたいんですお」

_[◎]
(-。- )「はい、ホルックまでですね。3ドルになります」

(ι^ω^)「はい、3ドルですお」

_[◎]
(-。- )「はい、確かに3ドルですね。では、良い旅を」

(ι^ω^)「ありがとうだお」


23 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:34:54.57 ID:u+QqTs4N0
流れるように客へ対応している駅員だが、ブーンには機械のような態度が不快に感じた。
さっと切符を受け取るとブーンはホームへと向かった。

(#^ω^)「ふぃ〜、何だお。人と話す時は心で話すんだお」

手紙によるとモナーが住んでいるのはウエストヴァ−ジニア州ホルック。
ホルックは炭坑都市として知られている。

( ^ω^)「ぬぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬぬるぽ」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「ガッ」

Σ(;^ω^)「あう、あう、その」


24 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:36:29.43 ID:u+QqTs4N0
ブーンに突っ込みをいれたのは黒いスーツを身に纏い、黒い帽子を被った男。
重たそうなアタッシュケースを持っている。

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「すまないね、謝って許してもらえるとは思っていない。
        でも君はぬるぽと言った時、ガッを期待していたと思う」

( ^ω^)「これはこれは親切にありがとうございますお」

ブーンは表面上は冷静に振舞ったが、心臓の鼓動が早くなっていた。

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「私の名はショボルフ。これも何かの縁だ、よろしく」

( ^ω^)「僕の名前はブーンですお。よろしくお願いしますお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「ブーン君か。良い名だ」


25 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:37:43.75 ID:u+QqTs4N0
(*^ω^)「そ、そんなことないですお」

二人が他愛のない会話をすること数分、
騒がしいホームを裂くように機関車が近づいてきた。
車輪の回転する音、甲高い汽笛、黒い車体。どれをとっても存在感がある。

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「来たようだね。では乗ろうか」

(♪^ω^)「はいですお」

乗客が降りると、ホームにいた人々は次々と乗り込む。
その波に乗るように二人も機関車の中へと入っていった。

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「ここに座ろうか」

ショボルフは座る席を決めるとさっと座った。


26 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:40:12.42 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「では、失礼しますお」

ブーンも慌てて座席に座った。

( ^ω^)「あ、あの、ショボルフさんの――」

ブーンは途中で口を結んだ。
アタッシュケースの中身は一体何なのか、出会ってからずっと疑問に感じていた。
だが、大事そうに抱えるショボルフの姿を見て聞かない方が良いと思い、
その先を言うのはやめたのだった。

_[ニニニ]r_
 (*´・ω・`)「私の何かね?」

ブーンの思いを知ってか知らぬか、ショボルフはとぼけた返事をした。

(;^ω^)「ちょ、顔赤くなってますお。
       帽子は高そうですが、いくらですかお?」


27 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:41:46.58 ID:u+QqTs4N0
_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「この帽子か。父親から貰ったものだから値段は分からない。
        だが、お金で買えない物もある。父親の帽子、プライスレス」

(;^ω^)「そ、そうですお。心がこもった物は値段なんてつけれないお。
       すいません、失礼なことを聞いてしまいしたお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「いや、気にしてはいないよ。そうだ、このパンでも食べるかね?
        お土産に駅近くの店で買ったんだが、少し小腹が空いたから食べようかと思う」

(;^ω^)「おぉ、食べたいですお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「では食べようか。二袋買ったから一袋食べてもいいか」

Σ(;゜ω゜)「あぁ! 思い出したお。お土産買うの忘れてたお。
       ナンテ/(^O^)\コッタイ」


28 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:42:30.21 ID:u+QqTs4N0
_[ニニニ]r_
 ( ´^ω^`)「ははは、面白いリアクションだね。
        どれ、パンでも食べて元気を取り戻すと良い」

ショボルフはアタッシュケースに手にかけると神妙な顔つきになった。

_[ニニニ]r_
 ( ^・ω・`)「……」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「すまない、見ないでくれるかな」

( ^ω^)「あ、はい、分かりましたお。窓の景色を眺めてますお」

ブーンが窓の方へと顔を向けるのを確認し、
他の乗客を見回すとショボルフはゆっくりとアタッシュケースを開けた。
その中から素早くパンの袋を取り出すと、再び閉める。
ショボルフのパンはパンではあることは色で判断出来るのだが、
潰れて一枚の板状に変形してしまっていた。


29 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:43:51.28 ID:u+QqTs4N0

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「……」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)(……アウアウ!)

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「すまない、パンが潰れてしまった」

(;^ω^)「いえ、形は味には関係ないですお。
       パンは好きだから嬉しいですお」

__[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「そうか。では食べようか。どうぞ」

ブーンはショボルフからパンを受け取り、頬張った。

( ^ω^)「ありがとうございますお。おいしいですお」


30 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:44:15.99 ID:u+QqTs4N0
_[◎]
(-。- )「間もなく、セントラル駅を出発します」

発車時間になると機関車はセントラル駅を後にした。
汽笛を鳴らしながら、まるで名残惜しむかのように。


31 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 18:46:48.04 ID:u+QqTs4N0
これで第二話は終わりです。
1時間ほど出掛ける用事があるので、帰ってきたら第三話、第四話を投下します。


>>20
ジャンルは難しいのですが、切ないホラーと言った感じでしょうか。

32 名前: チャイドル(東京都) :2007/03/19(月) 19:12:35.24 ID:GCvvXzrZ0
>>31
おkっす。保守

33 名前: 共産党幹部(関西・北陸) :2007/03/19(月) 19:18:15.15 ID:JyStWwKnO
待ってまつ

34 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:47:13.99 ID:u+QqTs4N0
第三話「ホルック」



_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「――それで、ブーン君はどこまで行くのかね?」

( ^ω^)「友人に会うためにホルックに行きますお。
       何でも炭坑の町だとか言われてますお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「そうか、かつては賑わっていたみたいだが、
        最近はあまり聞かないね。最もそのような町なんて数多くあるがね」

( ^ω^)「そうなんですかお。地理に詳しくないからそんなこと知らなかったですお。
       ショボルフさんはどこへ行かれるのですかお?」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「私はコスタリア村に行くんだ。……とある用事でね」

ショボルフは消え入りそうな声で答えた。
ブーンは悪いことを聞いてしまったような罪悪感で黙り込んでしまい、
二人の間に長い沈黙が流れた。


35 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:48:24.62 ID:u+QqTs4N0
_[◎]
(^へ^ )「間もなくホルック、ホルックです」

( ^ω^)「あっ……」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「着いたようだね。短い時間だったが楽しかったよ」

(;^ω^)「こ、こちらこそ楽しかったですお。
       また、どこかで会えたらよろしくお願いしますお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「あぁ、では元気でな」

( ^ω^)「はい!」

機関車はホルック駅に到着すると、静かに停車した。

_[◎]
(^へ^ )「ホルック、ホルックです。停車時間は――」


36 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:49:08.26 ID:u+QqTs4N0
扉が開くとブーンは風を切るように飛び降りた。

( ^ω^)「ふぅ、さすがにニューヨークとは比べちゃいけないが、人は少ないお」

ブーンがしばらく立ち止まっていると機関車はホルック駅を後にした。
ブーンは鉄の旅人にお礼を言うように静かに見送った。
だんだんと小さくなっていくその姿に寂しさを感じながらも。

_[ニニニ]r_
 ( ´;ω;`)「用事か……私は……私は――」

まるで自分に言い聞かせるようにショボルフは
何度も何度も同じ言葉を繰り返していた。


37 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:52:28.95 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「さて、行くかお」

ブーンはゆっくりとした足取りで歩き出す。
目的地のホルックまでは駅から30分ぐらい掛かると手紙には書いてある。
辺りを見渡しても変わることのない景色に驚いていた。

(;^ω^)「と、途中まで何にも無いのかお。ん?
あれは炭坑跡かお? 大きいお」

かつてのホルック名所であったであろう炭坑。
たが、今は遠くから見ても分かるほど入り口に木の板が張り巡らされている。
ブーンが変わることの無い砂利道に嫌気が差してきた頃、目の前に立て札を発見した。

(;^ω^)「ふぅ、もう少し歩けばホルックかお。頑張るお」

38 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:53:16.65 ID:u+QqTs4N0
立て札に従い、左右に分かれた道を右に進んでいくと林道が見えてきた。
さきほどまでの無機質な砂利道から一変して、林道が広がっている。
5メートルはあろう大木が並んでおり、
林道の中には太陽の光はごく僅かしか届かず薄暗い。
だが、怖いという感情は湧かずどこか温かく優しい気持ちにさせてくれる、不思議な空間だ。

( ^ω^)「ふんふんふん〜♪」

長い林道を抜けると、町が見えてきた。
ブーンは小走りで向かって行く。
いよいよモナーに会える、そんな気持ちから心から踊っていた。
だが、すぐ近くまで来るとその気持ちは小さくなってしまった。
ホルック全体を白い霧が包み込んでいて町全体を見ることが出来ない。
かろうじて、出入り口周辺は見ることは出来るのだが。


39 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:54:12.54 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「不思議な霧だお……」

ブーンは戸惑いながらもホルックの中へと入っていった。
周りを見渡しても人の気配は無い。

( ^ω^)「どうするかお。ひとまずはあの家の人に事情を聞いてみるかお」

ブーンは大きな家を見定めると扉の前まで歩み寄った。

( ^ω^)「すいません、お聞きしたいことがあるのですが、
       ちょっとよろしいですかお?」

小さな声で言うも反応は無い。

(;^ω^)「すいません、お聞きしたいことがあるのですが、
       ちょっとよろしいですかお?」


40 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:55:35.51 ID:u+QqTs4N0
今度は大きな声で言ったが反応は無い。
ため息を漏らし、取っ手を掴んでみると鍵は掛かっていなかった。
ブーンはためないながらも恐るおそる扉を開け、家の中へと入っていった。

(;^ω^)「泥棒はこんな気持ちなのかお? あわわわわわ。
       すいません、お聞きしたいことがあるのですが、誰か居ますかお?」

再度、大きな声で言うもやはり、反応は無かった。
ブーンは部屋を調べてみることにした。

灯りはついておらず薄暗い。
じゅうたんがひかれ、壁には小さな風景画が立て掛けられている。
この部屋には特に何も無く、ブーンは扉を開け次の部屋へと向かった。


41 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:56:35.49 ID:u+QqTs4N0
連絡通路だろうか、壁に燭台がいくつか立て掛けられている他は何も無く一面、
木の板が見えている。
ブーンは次の部屋に向かうため扉の前へと歩いている時だった。
背後から、声が聞こえた気がして振り返ると驚愕した。
透けるほど体が青ざめた少女がこちらへ向かってきている。

从οーο从「うふふふふ……」

(;゜ω゜)「うっ、うわぁあぁぁ!」

ブーンは直感した、目の前の少女は間違いなく人間では無い。
一刻も早く逃げなければと思い、扉の前に駆け寄った。
だが、扉は開かない。
扉の前に何かがいて開けられない。


42 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 19:57:14.65 ID:u+QqTs4N0
(;゜ω゜)「な、何なんだお! 何で開かないんだお!」

ブーンの鼓動は急激に早くなり、頭の中が白くなり始めた。

从οーο从「うふふふふ……」

ゆっくりと少女はブーンに向かって近づいていく。

(;゜ω゜)「あ、あ、あ、ああ」

( ><)「……分かんないんです。鍵の、鍵の場所が分かんないんです」

(;゜ω゜)「へ?」


43 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:00:08.64 ID:u+QqTs4N0
(;゜ω゜)「な、何なんだお! 何で開かないんだお!」

ブーンの鼓動は急激に早くなり、頭の中が白くなり始めた。

从οーο从「うふふふふ……」

ゆっくりと少女はブーンに向かって近づいていく。

(;゜ω゜)「あ、あ、あ、ああ」

( ><)「……分かんないんです。鍵の、鍵の場所が分かんないんです」

(;゜ω゜)「へ?」


44 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:03:14.45 ID:u+QqTs4N0
突然の声にブーンは驚いた。
薄暗くて分からなかったが、扉の前にいたのは男だったようだ。

(;゜ω゜)「あ、あの、早く扉を開けないと!」

( ><)「……」

ブーンが男に話しかけた途端、体が引っ張られるような感じがし段々と意識が薄れていった。
薄れゆく意識の中、ブーンはモナーの事を思い出していた。


45 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:04:27.23 ID:u+QqTs4N0
これで第三話は終わりです。

>>43は誤爆です。

46 名前: 女性音楽教諭(東京都) :2007/03/19(月) 20:12:24.72 ID:gydjVkWC0
また一話目から投下?

47 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:39:47.66 ID:u+QqTs4N0
それでは第四話を投下します。


48 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:40:35.80 ID:u+QqTs4N0
第四話「二つのペンダント」



――暖かい。
ブーンは目が覚めるとそう思った。
自分はどうなったのだろうか、死んでしまったのか、様々な思いが頭に浮かぶ。
起きあがり、連絡通路を見渡すと我が目を疑った。
燭台には蝋燭が置かれ火を灯し、壁も綺麗に磨かれている。
そして、少女と男の姿も無かった。

( ^ω^)「どうしたんだろう……僕は助かったのかお?」

ブーンは変わった連絡通路に驚きながらも、
少女が居なくなったことに安堵の胸をなで下ろした。

( ^ω^)「さて、向こうの部屋にでも行ってみるかお」


49 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:41:22.55 ID:u+QqTs4N0
男がいて開けることが出来なかった扉に手を掛ける。
だが、鍵が掛かっているのかビクともしなかった。

( ^ω^)「……あの男の人はここの鍵を探していたのかお?」

男が気にはなったがここにいても何も分からないままだ、
ブーンは道を引き返すことにした。
反対側の扉を開け、次の部屋へと向かった。

( ^ω^)「あ、あれ?」

この部屋もさきほどとは見違えるぐらい綺麗であった。
机にはメモ用紙とペンが置かれている。ブーンはメモ用紙を手に取った。

( ^ω^)「クロッカスは白色と黄色と紫色。この順番を守ること。
       多分、花のことかお」


50 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:42:54.51 ID:u+QqTs4N0
ブーンはメモ用紙の内容を確認すると机の上に戻した。

( ^ω^)「とりあえず、外に出てみるかお」

ブーンは扉を開け外へと出た。
外は白い霧など嘘のように明るく、人々は立ち話しなどをしている。

(;^ω^)「うぅ……」

ブーンが考えていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

( ><)「どうしよう、分かんないんです」

( ^ω^)「良かった、無事だったんですかお。心配していましたお」

( ><)「誰ですか? 分かんないんです」


51 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:44:02.55 ID:u+QqTs4N0

( ^ω^)「あ、えっと、ほら、連絡通路で会いましたお。ブーンといいますお」

(;><)「あなたみたいな人は会ったことないんです。ワカンナイです」

(;^ω^)「そうですか、それで何が分かんないんですかお?」

( ><)「鍵の場所が分かんないんです。どこかにしまったはずなんです! 
      一緒に探してほしいんです」

( ^ω^)「わ、分かりました、探すのを手伝いますお」

ブーンは渋々、ワカンナイの物探しを手伝うことにした。
とはいうもののワカンナイはどこに鍵をしまったのか、
まったく検討がつかないらしく、手掛かりは無に等しい。


52 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:45:02.92 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「それじゃ、僕は外を探してみますお。
       ワカンナイさんは自分の家の中を探してくださいお」

( ><)「はい、分かったんです」

ワカンナイは走るように自分の家の中へと入っていった。

( ^ω^)「さてと、地面を探してみるかお」

ブーンは地面を探していくが小石、ゴミがあるだけで見つからない。

( ^ω^)「あのメモ用紙はこれのことかお。とっても綺麗だお」

花壇にはクロッカスの花が植えられていて、花で作られた円形が小さいながらも美しい。
白色が15本、黄色が5本、紫色が5本咲いている。
その近くには倉庫だろうか、小さい家がある。


53 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:47:03.01 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「ここは?」

ブーンは小さい家の前までいくと、鍵が掛かっていることに気が付いた。
鍵は4桁のダイヤルロック。
ブーンは頭をフル回転して、鍵の番号を考える。

( ^ω^)「0721、シコシコ」

鍵は開かない。合っているはずはないだろう……常識的に考えて。

(;^ω^)「おっおっお」

( ^ω^)「えぇい、僕の誕生日に合わせるお、0810」

鍵は開かない。


54 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:48:20.03 ID:u+QqTs4N0

( ^ω^)「もしかしたら!」

ブーンは、はっと閃いてたのか1555にダイヤルロックを合わせると鍵は開いた。

( ^ω^)「やったお」

ブーンは小さい家の中へと入っていった。
やはり倉庫なのだろう、中には肥料、ジョウロ、植木鉢などが棚に置いてある。
棚をくまなく探してみると、植木鉢の中から鍵が落ちてきた。

( ^ω^)「これのことかお? 不思議な鍵だお」

鍵にはチェーンが付けられていてペンダントといった感じだ。
ブーンは鍵を手に取ると、小さい家の鍵を閉めた。
そして、ワカンナイの元へと向かった。


55 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:49:24.18 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「ワカンナイさん、鍵とはこれのことですかお?」

( ><)「それなんです。ありがとうございますなんです」

ブーンは鍵を手渡した。
ワカンナイが持っていた箱が付いたペンダント。

( ><)「これでっと……開いたんです」

その箱に鍵が付いたペンダントを差し込むと、中から鍵が出てきた。

( ^ω^)「この鍵がこの扉の鍵なんですかお?」

( ><)「そうなんです。ちょっとこのペンダントを持っててほしいんです」

ワナンナイはペンダントを手渡した。


56 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:50:20.55 ID:u+QqTs4N0
( ><)「……開いたんです。
      鍵とペンダントを置いてあった場所に戻しておいてほしいんです」

( ^ω^)「分かりましたお」

その瞬間、ブーンは体を引っ張られるような感じがし、意識が薄れていった。


57 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:52:16.54 ID:u+QqTs4N0
ブーンは目を覚ますと辺りを見渡した。

(;^ω^)「また、汚い連絡通路になったお」

( ><)「分かんないんです。鍵の場所が分かんないんです」

扉の前にはまたワカンナイがいた。

( ^ω^)「ワカンナイさん、鍵ですお。
       分からなくならないようにペンダントを
       いつでも持っていると良いと思いますお」

ブーンはペンダントを手渡した。

( ><::::::「良かったんです。鍵……が開い……たんです……」


58 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:53:10.45 ID:u+QqTs4N0
ワカンナイは言い終えると光に包まれ、消えていった。
光は幻想的で線香花火のように儚く輝いていて、それは美しいものであった。
ワカンナイがいた場所には紫色に輝く球体が浮かんでいる。

( ;ω;)「これは……一体何なんだお。
       ワカンナイさんは……どこに行ってしまったんだお」

ブーンは悲しい顔を浮かべ、紫色の球体を手に取った。
その時だった、背後に気配を感じて後ろを振り向くと、少女の姿があった。

从οーο从「うふふふ……」

(;゜ω゜)「あ……」

从οーο从「あははは……」

少女が手を振り上げると壁に立て掛けられた燭台が次々と宙に浮かびあがる。


59 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:54:53.47 ID:u+QqTs4N0
(;゜ω゜)「な、何だお!?」

从οーο从「あははは……」

少女が手を振り下ろした瞬間、燭台はブーンめがけて飛んできた。弾丸のような速さで。

(;゜ω゜)「うわぁぁぁ!」

ブーンはしゃがみ、扉に手を掛けた。
鍵はワカンナイが開けてくれたから、今度こそ開くはずだ。

从οーο从「あははは……」

燭台は次々と扉に当たり、床に叩き落ちる。
幸運にも、ブーンには一つも当たることはなかった。

(;゜ω゜)「い、今だお」

ブーンは扉を勢い良く開け、飛び込んだ。
少女は悲しい表情を浮かべるとその場から消えていった。


60 名前: 不動産鑑定士(神奈川県) :2007/03/19(月) 20:59:57.73 ID:u+QqTs4N0
これで第四話は終わりです。
今日の投下はこれで終わりです。

>>46
はい、3日前のスレは次を投下しようとしたらdat落ちしてました。
なので初めから投下しました。

赤い石は全十話を予定しています。
すぐに五、六話を投下できるかは分からないので、どなたかまとめをしてもらえるとありがたいです。

61 名前: ブロガー(大阪府) :2007/03/19(月) 21:36:02.70 ID:vOW0/26n0
kitai

62 名前: パート(コネチカット州) :2007/03/19(月) 21:56:41.52 ID:UJVAA9jkO
期待
wktk

63 名前: 空気(兵庫県) :2007/03/19(月) 22:11:18.78 ID:TPtHh4lt0
wktk
保守

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