第四話「二つのペンダント」
- 48 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:40:35.80 ID:u+QqTs4N0
- 第四話「二つのペンダント」
――暖かい。
ブーンは目が覚めるとそう思った。
自分はどうなったのだろうか、死んでしまったのか、様々な思いが頭に浮かぶ。
起きあがり、連絡通路を見渡すと我が目を疑った。
燭台には蝋燭が置かれ火を灯し、壁も綺麗に磨かれている。
そして、少女と男の姿も無かった。
( ^ω^)「どうしたんだろう……僕は助かったのかお?」
ブーンは変わった連絡通路に驚きながらも、
少女が居なくなったことに安堵の胸をなで下ろした。
( ^ω^)「さて、向こうの部屋にでも行ってみるかお」
- 49 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:41:22.55 ID:u+QqTs4N0
- 男がいて開けることが出来なかった扉に手を掛ける。
だが、鍵が掛かっているのかビクともしなかった。
( ^ω^)「……あの男の人はここの鍵を探していたのかお?」
男が気にはなったがここにいても何も分からないままだ、
ブーンは道を引き返すことにした。
反対側の扉を開け、次の部屋へと向かった。
( ^ω^)「あ、あれ?」
この部屋もさきほどとは見違えるぐらい綺麗であった。
机にはメモ用紙とペンが置かれている。ブーンはメモ用紙を手に取った。
( ^ω^)「クロッカスは白色と黄色と紫色。この順番を守ること。
多分、花のことかお」
- 50 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:42:54.51 ID:u+QqTs4N0
- ブーンはメモ用紙の内容を確認すると机の上に戻した。
( ^ω^)「とりあえず、外に出てみるかお」
ブーンは扉を開け外へと出た。
外は白い霧など嘘のように明るく、人々は立ち話しなどをしている。
(;^ω^)「うぅ……」
ブーンが考えていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
( ><)「どうしよう、分かんないんです」
( ^ω^)「良かった、無事だったんですかお。心配していましたお」
( ><)「誰ですか? 分かんないんです」
- 51 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:44:02.55 ID:u+QqTs4N0
-
( ^ω^)「あ、えっと、ほら、連絡通路で会いましたお。ブーンといいますお」
(;><)「あなたみたいな人は会ったことないんです。ワカンナイです」
(;^ω^)「そうですか、それで何が分かんないんですかお?」
( ><)「鍵の場所が分かんないんです。どこかにしまったはずなんです!
一緒に探してほしいんです」
( ^ω^)「わ、分かりました、探すのを手伝いますお」
ブーンは渋々、ワカンナイの物探しを手伝うことにした。
とはいうもののワカンナイはどこに鍵をしまったのか、
まったく検討がつかないらしく、手掛かりは無に等しい。
- 52 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:45:02.92 ID:u+QqTs4N0
- ( ^ω^)「それじゃ、僕は外を探してみますお。
ワカンナイさんは自分の家の中を探してくださいお」
( ><)「はい、分かったんです」
ワカンナイは走るように自分の家の中へと入っていった。
( ^ω^)「さてと、地面を探してみるかお」
ブーンは地面を探していくが小石、ゴミがあるだけで見つからない。
( ^ω^)「あのメモ用紙はこれのことかお。とっても綺麗だお」
花壇にはクロッカスの花が植えられていて、花で作られた円形が小さいながらも美しい。
白色が15本、黄色が5本、紫色が5本咲いている。
その近くには倉庫だろうか、小さい家がある。
- 53 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:47:03.01 ID:u+QqTs4N0
- ( ^ω^)「ここは?」
ブーンは小さい家の前までいくと、鍵が掛かっていることに気が付いた。
鍵は4桁のダイヤルロック。
ブーンは頭をフル回転して、鍵の番号を考える。
( ^ω^)「0721、シコシコ」
鍵は開かない。合っているはずはないだろう……常識的に考えて。
(;^ω^)「おっおっお」
( ^ω^)「えぇい、僕の誕生日に合わせるお、0810」
鍵は開かない。
- 54 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:48:20.03 ID:u+QqTs4N0
-
( ^ω^)「もしかしたら!」
ブーンは、はっと閃いてたのか1555にダイヤルロックを合わせると鍵は開いた。
( ^ω^)「やったお」
ブーンは小さい家の中へと入っていった。
やはり倉庫なのだろう、中には肥料、ジョウロ、植木鉢などが棚に置いてある。
棚をくまなく探してみると、植木鉢の中から鍵が落ちてきた。
( ^ω^)「これのことかお? 不思議な鍵だお」
鍵にはチェーンが付けられていてペンダントといった感じだ。
ブーンは鍵を手に取ると、小さい家の鍵を閉めた。
そして、ワカンナイの元へと向かった。
- 55 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:49:24.18 ID:u+QqTs4N0
- ( ^ω^)「ワカンナイさん、鍵とはこれのことですかお?」
( ><)「それなんです。ありがとうございますなんです」
ブーンは鍵を手渡した。
ワカンナイが持っていた箱が付いたペンダント。
( ><)「これでっと……開いたんです」
その箱に鍵が付いたペンダントを差し込むと、中から鍵が出てきた。
( ^ω^)「この鍵がこの扉の鍵なんですかお?」
( ><)「そうなんです。ちょっとこのペンダントを持っててほしいんです」
ワナンナイはペンダントを手渡した。
- 56 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:50:20.55 ID:u+QqTs4N0
- ( ><)「……開いたんです。
鍵とペンダントを置いてあった場所に戻しておいてほしいんです」
( ^ω^)「分かりましたお」
その瞬間、ブーンは体を引っ張られるような感じがし、意識が薄れていった。
- 57 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:52:16.54 ID:u+QqTs4N0
- ブーンは目を覚ますと辺りを見渡した。
(;^ω^)「また、汚い連絡通路になったお」
( ><)「分かんないんです。鍵の場所が分かんないんです」
扉の前にはまたワカンナイがいた。
( ^ω^)「ワカンナイさん、鍵ですお。
分からなくならないようにペンダントを
いつでも持っていると良いと思いますお」
ブーンはペンダントを手渡した。
( ><::::::「良かったんです。鍵……が開い……たんです……」
- 58 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:53:10.45 ID:u+QqTs4N0
- ワカンナイは言い終えると光に包まれ、消えていった。
光は幻想的で線香花火のように儚く輝いていて、それは美しいものであった。
ワカンナイがいた場所には紫色に輝く球体が浮かんでいる。
( ;ω;)「これは……一体何なんだお。
ワカンナイさんは……どこに行ってしまったんだお」
ブーンは悲しい顔を浮かべ、紫色の球体を手に取った。
その時だった、背後に気配を感じて後ろを振り向くと、少女の姿があった。
从οーο从「うふふふ……」
(;゜ω゜)「あ……」
从οーο从「あははは……」
少女が手を振り上げると壁に立て掛けられた燭台が次々と宙に浮かびあがる。
- 59 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:54:53.47 ID:u+QqTs4N0
- (;゜ω゜)「な、何だお!?」
从οーο从「あははは……」
少女が手を振り下ろした瞬間、燭台はブーンめがけて飛んできた。弾丸のような速さで。
(;゜ω゜)「うわぁぁぁ!」
ブーンはしゃがみ、扉に手を掛けた。
鍵はワカンナイが開けてくれたから、今度こそ開くはずだ。
从οーο从「あははは……」
燭台は次々と扉に当たり、床に叩き落ちる。
幸運にも、ブーンには一つも当たることはなかった。
(;゜ω゜)「い、今だお」
ブーンは扉を勢い良く開け、飛び込んだ。
少女は悲しい表情を浮かべるとその場から消えていった。
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