第三話「ホルック」

34 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:47:13.99 ID:u+QqTs4N0
第三話「ホルック」



_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「――それで、ブーン君はどこまで行くのかね?」

( ^ω^)「友人に会うためにホルックに行きますお。
       何でも炭坑の町だとか言われてますお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「そうか、かつては賑わっていたみたいだが、
        最近はあまり聞かないね。最もそのような町なんて数多くあるがね」

( ^ω^)「そうなんですかお。地理に詳しくないからそんなこと知らなかったですお。
       ショボルフさんはどこへ行かれるのですかお?」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「私はコスタリア村に行くんだ。……とある用事でね」

ショボルフは消え入りそうな声で答えた。
ブーンは悪いことを聞いてしまったような罪悪感で黙り込んでしまい、
二人の間に長い沈黙が流れた。


35 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:48:24.62 ID:u+QqTs4N0
_[◎]
(^へ^ )「間もなくホルック、ホルックです」

( ^ω^)「あっ……」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「着いたようだね。短い時間だったが楽しかったよ」

(;^ω^)「こ、こちらこそ楽しかったですお。
       また、どこかで会えたらよろしくお願いしますお」

_[ニニニ]r_
 ( ´・ω・`)「あぁ、では元気でな」

( ^ω^)「はい!」

機関車はホルック駅に到着すると、静かに停車した。

_[◎]
(^へ^ )「ホルック、ホルックです。停車時間は――」


36 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:49:08.26 ID:u+QqTs4N0
扉が開くとブーンは風を切るように飛び降りた。

( ^ω^)「ふぅ、さすがにニューヨークとは比べちゃいけないが、人は少ないお」

ブーンがしばらく立ち止まっていると機関車はホルック駅を後にした。
ブーンは鉄の旅人にお礼を言うように静かに見送った。
だんだんと小さくなっていくその姿に寂しさを感じながらも。

_[ニニニ]r_
 ( ´;ω;`)「用事か……私は……私は――」

まるで自分に言い聞かせるようにショボルフは
何度も何度も同じ言葉を繰り返していた。


37 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:52:28.95 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「さて、行くかお」

ブーンはゆっくりとした足取りで歩き出す。
目的地のホルックまでは駅から30分ぐらい掛かると手紙には書いてある。
辺りを見渡しても変わることのない景色に驚いていた。

(;^ω^)「と、途中まで何にも無いのかお。ん?
あれは炭坑跡かお? 大きいお」

かつてのホルック名所であったであろう炭坑。
たが、今は遠くから見ても分かるほど入り口に木の板が張り巡らされている。
ブーンが変わることの無い砂利道に嫌気が差してきた頃、目の前に立て札を発見した。

(;^ω^)「ふぅ、もう少し歩けばホルックかお。頑張るお」

38 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:53:16.65 ID:u+QqTs4N0
立て札に従い、左右に分かれた道を右に進んでいくと林道が見えてきた。
さきほどまでの無機質な砂利道から一変して、林道が広がっている。
5メートルはあろう大木が並んでおり、
林道の中には太陽の光はごく僅かしか届かず薄暗い。
だが、怖いという感情は湧かずどこか温かく優しい気持ちにさせてくれる、不思議な空間だ。

( ^ω^)「ふんふんふん〜♪」

長い林道を抜けると、町が見えてきた。
ブーンは小走りで向かって行く。
いよいよモナーに会える、そんな気持ちから心から踊っていた。
だが、すぐ近くまで来るとその気持ちは小さくなってしまった。
ホルック全体を白い霧が包み込んでいて町全体を見ることが出来ない。
かろうじて、出入り口周辺は見ることは出来るのだが。


39 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:54:12.54 ID:u+QqTs4N0
( ^ω^)「不思議な霧だお……」

ブーンは戸惑いながらもホルックの中へと入っていった。
周りを見渡しても人の気配は無い。

( ^ω^)「どうするかお。ひとまずはあの家の人に事情を聞いてみるかお」

ブーンは大きな家を見定めると扉の前まで歩み寄った。

( ^ω^)「すいません、お聞きしたいことがあるのですが、
       ちょっとよろしいですかお?」

小さな声で言うも反応は無い。

(;^ω^)「すいません、お聞きしたいことがあるのですが、
       ちょっとよろしいですかお?」


40 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:55:35.51 ID:u+QqTs4N0
今度は大きな声で言ったが反応は無い。
ため息を漏らし、取っ手を掴んでみると鍵は掛かっていなかった。
ブーンはためないながらも恐るおそる扉を開け、家の中へと入っていった。

(;^ω^)「泥棒はこんな気持ちなのかお? あわわわわわ。
       すいません、お聞きしたいことがあるのですが、誰か居ますかお?」

再度、大きな声で言うもやはり、反応は無かった。
ブーンは部屋を調べてみることにした。

灯りはついておらず薄暗い。
じゅうたんがひかれ、壁には小さな風景画が立て掛けられている。
この部屋には特に何も無く、ブーンは扉を開け次の部屋へと向かった。


41 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:56:35.49 ID:u+QqTs4N0
連絡通路だろうか、壁に燭台がいくつか立て掛けられている他は何も無く一面、
木の板が見えている。
ブーンは次の部屋に向かうため扉の前へと歩いている時だった。
背後から、声が聞こえた気がして振り返ると驚愕した。
透けるほど体が青ざめた少女がこちらへ向かってきている。

从οーο从「うふふふふ……」

(;゜ω゜)「うっ、うわぁあぁぁ!」

ブーンは直感した、目の前の少女は間違いなく人間では無い。
一刻も早く逃げなければと思い、扉の前に駆け寄った。
だが、扉は開かない。
扉の前に何かがいて開けられない。


42 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 19:57:14.65 ID:u+QqTs4N0
(;゜ω゜)「な、何なんだお! 何で開かないんだお!」

ブーンの鼓動は急激に早くなり、頭の中が白くなり始めた。

从οーο从「うふふふふ……」

ゆっくりと少女はブーンに向かって近づいていく。

(;゜ω゜)「あ、あ、あ、ああ」

( ><)「……分かんないんです。鍵の、鍵の場所が分かんないんです」

(;゜ω゜)「へ?」


44 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 20:03:14.45 ID:u+QqTs4N0
突然の声にブーンは驚いた。
薄暗くて分からなかったが、扉の前にいたのは男だったようだ。

(;゜ω゜)「あ、あの、早く扉を開けないと!」

( ><)「……」

ブーンが男に話しかけた途端、体が引っ張られるような感じがし段々と意識が薄れていった。
薄れゆく意識の中、ブーンはモナーの事を思い出していた。



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